ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。緊急事態宣言が首都圏を除く6府県で解除されたニュースについて解説した。
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2021年2月26日、会見する菅総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202102/26bura.html)
緊急事態宣言が首都圏除く6府県で2月28日解除
10都府県に出されていた緊急事態宣言のうち、大阪・兵庫・京都の関西3府県と愛知・岐阜・福岡の合わせて6つの府県で2月28日をもって緊急事態宣言が解除された。残る東京・埼玉・千葉・神奈川の4都県は期限となる3月7日での解除を目指す。
飯田)6府県の医療提供体制の状況はいずれも、感染状況が2番目に深刻なステージ3相当まで改善をしたと。4から3になったということで解除になったようであります。
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「大阪コロナ重症センター」で研修する看護師ら=2020年12月11日午前11時9分、大阪市住吉区の大阪急性期・総合医療センター 写真提供:産経新聞社
医師会の了承を得られなければ緊急事態宣言を解除できない
須田)医療提供体制がどうなっているのか。2週間ほど前でしたか、大阪府の吉村知事が解除に向けて動き出すと発言しました。そのため、1週間ほど前倒しされて解除するのではないかという観測が流れましたよね。しかしそれは先送りされて、1週間遅れの解除ということになりました。なぜ1週間遅れになったのかと言いますと、地元医師会の了解が得られなかったのです。そういう点で言うと、今後、4都県が解除するにあたっても、医師会の協力体制が重要になって来ます。医師会の了解が得られないと、解除に向けて動き出すことができないというのが、実態なのです。
飯田)そうですね。
須田)医療提供体制という点で考えると、第3波が収束方向に向かっている状況になっても、来るのか来ないのかわかりませんが、第4波に備えて医療提供体制をどう強化するのか。それに対して、どう目途を立てて行くのかというところを考えないと、「解除してよかったね」では済まないと思います。
飯田)前もそうでしたが、喉元過ぎれば熱さを忘れるで、2020年4月7日に緊急事態宣言が出て、5月25日に解除されたあと、一旦収束しかかったところできちんと体制を整備して予算をつけていれば、もしかしたら、いまの状況も変わっていたかも知れないと指摘されていますよね。今回はそれを繰り返してはいけない。
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大阪で新型コロナワクチン接種開始 ワクチン接種の準備をする看護師ら=2021年2月19日午後0時4分、大阪市中央区の大阪医療センター 写真提供:産経新聞社
民間病院の協力体制をどう構築できるのか
須田)重要なポイントは、「民間病院の協力体制をどう構築できるのか」という点に絞られると思います。感染症法が改正されて、病院に対して病床、または医療従事者の提供を勧告することができると。それに対して応じないところについては、病院名を公表する。法改正されるまでは、新型インフルエンザ等対策特別措置法、所謂特措法で対応していた。これは都道府県、自治体が前面に出るというものでした。感染症法が改正されて、自治体に加えて国、つまり厚労省がその権限を持つということなのですが、この法律案が出て来たときに、日本医師会が猛烈に反発したのです。寝耳に水だったものですから。
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新型コロナウイルスのワクチンを接種する医療従事者(左)=2021年2月17日午前9時16分、東京都目黒区の国立病院機構東京医療センター(代表撮影) 写真提供:産経新聞社
水面下での医師会とのせめぎ合いも大きなポイントに
須田)なぜそういう状況になったのかと言いますと、ピンポイントなのですが、東京都がなかなか動かないという状況に対して国は相当いらだっていた。国だけではなく、島根県知事が聖火ランナーの問題を出したときも、あれは東京都の小池都知事に対する怒りなのです。「東京は感染を抑えていないではないか」というところに対する反発だったのです。話を元に戻しますが、そうなって来ると、国が出ることによって、どの程度それが実効性を伴うのか。日本医師会の反発を受けて、急に厚労省が腰くだけになってしまって、「了解を取ってやります」というようなことになれば、「それで実効性はあるのですか」というところもあります。水面下での医師会とのせめぎ合いも、大きなポイントになると思います。
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【政治 菅首相ぶら下がり】記者の囲み取材に応じる前、マスクを外す菅義偉首相=2020年11月21日午後、首相官邸 写真提供:産経新聞社
看護師さんに対する報酬なども含めて、見直すべきところは見直して、付けるべき予算は付ける
飯田)コロナの病床に関しては、かなり予算が付いているけれども、現場のお医者さんに聞くと、「回復期にあっても、まだ入院させておかなければならない人を前線から後ろに送る病床にも、お金を付けてもらえないと診られない。だから前線の病床が停滞するのです」と言います。その辺りも、仕組みで改善できるところはあるのではないかと思いますが。
須田)看護師さんに対する報酬なども含めて、見直すべきところは見直して、付けるべき予算は付けるというところをきちんとやって行く必要があるのではないでしょうか。その辺りについて、きちんと通常国会で議論してもらいたいと思います。
飯田)「予備費で積んでいたではないか」という話を厚労省に聞くとされるのですが、積んでいたものを積んだままにしてしまったのは、何がいけなかったのだろうと、そこを考えないといけないですよね。
須田)使おうとしなかったではないか。そして、それが十分なのかどうかというところも、検証されていないですよね。「5兆円弱ある」と言われているのだけれども、果たしてそれで十分なのか。お金がスムーズに回っていたのかどうかを含めて、検証する必要があると思います。