「非常に手探りだった」1年前の新型コロナの病院対応開始 現場医師が語る

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東京都医師会理事で「河北総合病院」理事長補佐 心臓血管外科医の新井悟氏が3月1日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスへの対応が始まった当初の苦労について語った。

「非常に手探りだった」1年前の新型コロナの病院対応開始 現場医師が語る

河北総合病院に設置された新型コロナ「発熱外来センター(仮)」用陰圧テント=2020年4月22日午後、東京都杉並区 写真提供:産経新聞社

飯田浩司アナウンサー)新型コロナウイルスの現場において、ずっと最前線で対応されてきたそうですが、本格的な対応は、昨年の3月頃から始まったという形でしょうか?

新井)そうですね。東京都からの説明があったのと同時に、国のほうから資料を見せていただきまして、これから感染が非常に拡大する可能性があるということを知りました。当時でいうと、ニューヨークやイタリアで感染が拡大して大変だというのがニュースで流れていたと思いますが、それと同じようなことが日本で起きる可能性があると知らされ、対応が始まりました。

飯田)そのタイミングというのは、新型コロナウイルスが一体どういうものかということが、わかりかけてきた頃でしょうか?

新井)いえ、あの頃はまだわかりませんでした。どういう状況なのか、どういう感染形態経路が起きるのか、どういう経過で重症化しているのかなど、今ではある程度わかっていますが、あの頃はわからなかったですね。

飯田)では、手探りの状態で始めざるを得なかったということですね。そのプレッシャーというのは、現場に関わる方々にとっては、相当なものだったのではないでしょうか?

新井)そうですね。準備をするに越したことはないのですが、どれほどの資材が必要なのかといったことや、治療法もまだきちんと決まっていなかった時期ですから、どういった薬を使ったらいいかなども含めて、非常に手探りだったと思います。

飯田)病院ですので、元々感染症対策については当然かなり厳しくやってこられたと思うのですが、コロナに関しては、通常の対策に加えてやらなければならないこともありましたか?

新井)やはり治療法がまだ確立していないということで、患者さんを他の方から離して隔離しなければならない。そういうところで、病室をきちんと整えるのに工夫をしました。

飯田)完全に場所を空けたり移動する際の導線を空けたりといった、ゾーニングと呼ばれるようなことも行われたのでしょうか?

新井)そうですね。うちの病院の場合は、本院と分院に建物が分かれていますので、ゾーニングに関してはある程度やりやすかった面もあります。しかし、患者さんが移動する際の導線の確保においては、非常に苦労しましたね。

「非常に手探りだった」1年前の新型コロナの病院対応開始 現場医師が語る

新井悟氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)当時、河北総合病院が報道で取り上げられていたのを拝見しました。テントを作るといったことが行われていましたが、その意図についてお伺いできますか?

新井)あのテントは、発熱外来という熱を出した患者さんを診る際に、患者さんに待っていただく待合室です。院内の待合室で待っていただくと、別の患者さんにうつってしまう可能性がありますので、院外にテントを作ってそこで待機してもらっていました。実際になかに入っていただく際も、また別の導線で入っていただいたのですが、その診察室も、別途新しく設けていました。うちの病院の場合には、比較的広いリハビリ室という場所がありましたので、そのリハビリ室を別のところに移し、そこに新たに発熱外来というのを設置して、診察やPCR検査を行いました。

飯田)世間では、一口に「病室を増やせばいい」といった声もありましたが、現場では、そういったやりくりが本当に大変だったのですね。

新井)そうですね。

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