コロナ医療と従来医療の両立の必要性と難しさ 東京都医師会・尾﨑会長

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月11日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスへの対応によって、従来の医療が受ける影響について解説した。

コロナ医療と従来医療の両立の必要性と難しさ 東京都医師会・尾﨑会長

「大阪コロナ重症センター」で研修する看護師ら=2020年12月11日午前11時9分、大阪市住吉区の大阪急性期・総合医療センター 写真提供:産経新聞社

飯田浩司アナウンサー)最近になって、コロナの感染拡大によって従来の救急医療が大きな影響を受けていると報じられるようになりましたが、現場でご覧になっていていかがでしょうか?

尾﨑)救急医療の中で特に一刻を争うというものというと、心臓の病気、大動脈や血管系の病気、脳卒中などです。榊原記念病院というところが府中市にありまして、ここはそういった循環器系の病気だけを扱っている専門病院で、ベッドもおよそ260はあったと思います。そこの院長先生とのやり取りでいろいろと近況を伺っていると、やはりコロナ禍でかなりの影響が出ているというお話を耳にします。

飯田)コロナの患者さんを受け入れるということになると、最初は急性期病床に入りますが、そうすると、ほかの救急医療と受け入れが重なってしまうというお話をよく聞きます。そういった部分が、直接的に影響してくるということでしょうか?

尾﨑)榊原記念病院の場合は、循環器系の病気だけを扱っている専門病院ですので、コロナの患者さんは受け入れていません。しかし一般の救急病院では、コロナの患者さんを受け入れながら従来の救急医療も対応しています。そうすると、そこで院内感染が起きることもありますし、コロナの患者さんを診るために病床をさらに広げるということをしていきますと、一般救急の部分はどうしても狭くなります。それによってベッドも少なくなりますから、冬場の循環器疾患が急増するような時期には、受け入れられないという状態になってしまいます。

飯田)そうなると、コロナを診ていない病院にもしわ寄せがいき、そこもまた逼迫してしまうのですね。

尾﨑)「コロナではそれほど多くの人が亡くなってないのだから、騒ぐ必要はない」という方もいますが、実際は他の救急医療にもしわ寄せがいき、それによって本来助かる命が助からないということも出てきます。もちろん我々は、コロナ以外の病気にもきちんと対応しなければならないと考えていますが、病院のキャパシティー的に難しいのが現状です。ですので、結局はコロナの患者さんがあまり増えないようにしていかないと、通常医療や救急医療に様々なしわ寄せが来てしまうということになります。

コロナ医療と従来医療の両立の必要性と難しさ 東京都医師会・尾﨑会長

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)コロナの感染拡大という元の部分を絶っておかないと、全体の医療が影響を受けるということなのですね。

尾﨑)病院数や医師の数からすると、もっとコロナの患者さんを診られるはずではないかという議論がありますが、それはコロナの患者さんだけを診る場合の話です。超高齢社会の中で、いろいろな病気を持っている救急患者さんも増えていますので、常々私どもは、そういった方々を含めて、トータルに診るということを考えながら対応しています。ですので、そういった点もご理解いただきたいです。

飯田)あちらを立てればこちらが立たずという状況ですが、それを両立させなければならないということですね。

尾﨑)どちらかを捨てるというわけにはいかないのです。いま健康診断でも、がん検診がどんどん減っていて、早期発見が遅れ、進行がんで見つかる方が増えるのではないかという予測もあります。そのように、いろいろなところに影響が来ているのです。医療というものは、それらをきちんとトータルで診ていかなければならないのです。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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