コロナで逼迫した東京の救急 現場医師が語る

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東京都医師会理事で「河北総合病院」理事長補佐 心臓血管外科医の新井悟氏が3月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルス以外の患者の受け入れと、医療現場の逼迫した状況について解説した。

コロナで逼迫した東京の救急 現場医師が語る

ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」

飯田浩司アナウンサー)ここのところ世間はコロナに意識が集中してしますが、その一方で、他の病気の方々が検査を受けていないという問題も出てきております。現状、救急の負担というのは、どのようになっていますでしょうか?

新井)救急の場合は、もちろん突然病院に来られるので、その患者さんが新型コロナウイルスを持っているのかどうかというところからきちんと区別するため、検査が必要になってきます。熱が出ている患者さんの場合は、他の患者さんにはうつしてはいけませんので、きちんと結果が出るまでは救急外来の陰圧室で対応します。

飯田)空気やウイルスを、外に出さないようにするということですね。

新井)そうですね。外に広がらないようにして、それに対応する医師たちも、きちんと個人防護服を着て対応します。そして必要であればCT検査などをするのですが、一人の患者さんを診察し終わって、それから換気をしたり消毒をしたりしていますと、どんなに短くても20分、場合によってはもっと時間がかかってしまいます。病院によっては、さらに長く時間を空けているところもあります。そうしますと、やはり時間内に受けられる患者さんは限られてきます。

飯田)その点が、コロナ前と大きく変わった部分でしょうか?

新井)そういう負担が出ました。ですので、今までと同じ数は受けられなくなってきています。そういう意味でも、救急外来は逼迫しています。新型コロナウイルスの患者さんが増えた頃のデータを調べてみますと、やはり救急病院の応需率が下がっているということがわかります。特に第3波のときには、ぐっと下がってしまいました。それは救命救急センターもそうですし、二次救急の病院もそうでした。そしてそれは、まだ回復していません。

コロナで逼迫した東京の救急 現場医師が語る

新井悟氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)コロナ前から、東京の救急は結構逼迫しつつあると報道されていましたが、それに対応するルール作りなども、いろいろと行われているのですよね?

新井)東京ルールというものがあります。5つ以上の病院に電話しても搬送先が決まらない場合、あるいは決まらないまま20分以上時間が経っているような場合には、地域の救急センターというところが病院選定をしてくれます。これを、東京ルールと言っております。11年程前にこのルールができてから段々と受け入れが良くなってきまして、コロナ前ですと、1日に10例、多くても30例程になっていました。しかし、第3波のときには100例を超え、それだけ選定困難の患者さんが増えてしまいました。

飯田)コロナだけではなく、そういったところにも様々な負担がかかっているのですね。

新井)そういう状況になりますと、周りの病院がカバーするのですが、そうするとまたその病院も医療が逼迫します。心筋梗塞や心不全の患者さんが、普段の倍程度の数来るといった形になります。

飯田)そういった患者さんであっても、コロナであるかもしれないと思いながら、受け入れなければなりませんよね。現場には想像を絶するような苦労があり、いろいろなところにしわ寄せがいっているということですね。

新井)そうですね。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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