東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が3月12日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。2月16日に発表された、東京都の小池百合子知事と東京商工会議所の三村明夫会頭との三者共同宣言について、その目的を語った。
飯田浩司アナウンサー)先月、三者で共同宣言を発表されたと伺っております。こちらは、どういう目的で行われたのでしょうか?
尾﨑)一般的には、経済対策と感染症予防は両立しないとされています。どちらかというと対立構造のようになってしまっていますが、しかし実際には、感染症を十分に抑えて、ある程度長い期間感染者が増えない状態を作るほうが、経済的にもメリットが大きいのです。できるだけ感染者を抑えることが経済界にもメリットが高いということを、商工会議所の三村さんにもご理解いただきました。医療界と経済界が一緒になって、緊急事態宣言下で感染者を減らす努力をしていきましょうという合意のもと、そこに知事にお入りいただいて、共同宣言を出させていただいたということです。
いま東京都は、テレワークを7割実施していただきたいと呼びかけていて、大企業は比較的皆さん取り組んでいらっしゃいます。中小企業でも取り組んでいらっしゃるところはたくさんあると思いますが、いろいろな事情によって、まだできていないところもあると思います。やはり通勤をすると、帰りにどこかに寄って食事をするということも増え、その結果感染者の増加に繋がるということがありますので、テレワークを勧めていきたいと考えています。
緊急事態宣言が解除された後もそれを続けていただくということは、非常に効果的な1つの政策です。そういったことを、経済団体の方と協力し、宣言して、取り組みましょうということです。感染を抑えることと経済が活性化することが、必ずしも相反するというわけではないのです。感染症下の新しい経済学的な流れも、私は今後できていくと思いますので、そういったなかで、しっかりと医療に取り組みたいと思っています。
飯田)最後に、改めて皆さんに伝えたいことを、お聞かせいただけますでしょうか?
尾﨑)100年前、新型のインフルエンザでスペイン風邪というものがあり、その終息には3年間程かかりました。いま、いろいろなコロナワクチンができて進歩していますが、この厄介なコロナを乗り切るまでには、やはりまだ1~2年はかかると私は思います。申し訳ないのですが、100年に一度のこういったものにどのように立ち向かっていくのかということを、長期的な視野で、もう一度考えていただきたいと思います。そして、皆さんで協力して、対立せずに、一緒にやってきたいと考えています。
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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます