菅政権の半年~課題は「風通しの悪さ」、2つ説のある「解散時期」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月18日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。菅政権のこれまでの政策を総括し、衆議院の解散時期について解説した。
菅政権を総括、衆議院解散の可能性は
2020年9月に発足してから3月16日で半年を迎えた菅政権のこれまでの政策、そしてそこから見えて来た課題について、さらには、今後控える日米首脳会談、東京オリンピック・パラリンピック、衆議院の解散時期はいつになるのか……菅政権を総括する。
飯田)半年経つのですね。
鈴木)もう半年、まだ半年、どちらですかね。菅さんにしてみると、そんなに時間が経過したとは思えないくらい、追われて来たのではないでしょうか。
支持率低下の2つの原因~ワクチンによって下げ止まる
鈴木)いろいろな評価があると思います。最初のころは支持率も高く、いまは総務省は別の展開になっていますけれども、携帯電話の値下げも含めて、期待値が高かった。しかし、その後、支持率が下がって来た。原因の1つは、菅さんのメッセージ力の足りなさ。紙を見て喋ることなど、いろいろなことがありました。その辺りの印象は絶対に避けられない。もう1つは、やはりコロナでの、後手後手に回っている感じ。こういうもので、支持率が下がって来てしまった。いまは少し、支持率は下げ止まりしています。これは、私はよく「ワクチン支持率」と言うのですが、ワクチンによって少し希望が見えて来た。これに対して、「もう少し菅政権を見てチェックしてみようか」という人も増えて来たのだと思います。
課題は官邸内の風通しの悪さ~現場に不信感をもたらしかねない菅総理の政治手法
鈴木)私が取材をしていて気になるのは、官邸内の風通しの悪さです。いろいろな場面でそれがときどき出て来る。「連携しているのかな」ということです。
飯田)風通しが悪い。
鈴木)菅さんの1つの政治手法は、あまり周りに相談しないで「ズバッ」とやるやり方です。これは、危機管理的にもそうなのですが、相談をして時間がかかると、邪魔が入って潰されたり通らなかったりするのです。だから、できる限り言わない、そして一気に行く。でも、これをやると、周りはついて行けないわけです。「ええ? 急に?」となる。これが現場からすると、菅さんに対してのある種の不信感のようなものにつながる可能性があります。
黒岩知事が直接総理と話している~西村大臣に疑心暗鬼が生じる
鈴木)側近や周りの支えている人たちの問題を政治主導的に考えると、ポイントになる人が3人います。それは加藤官房長官、西村経済再生担当大臣、それから、田村憲久厚生労働大臣。この3人と菅さんとのコミュニケーションはどうだろうかと思うのです。3人それぞれが違うことを言っているときがあります。最近で言うと、首都圏の4知事との関係です。これまで、各知事との接点は西村さんが一生懸命やって来ました。
飯田)そうですね。いままでは。
鈴木)いろいろな地方の知事さんに聞くと、「西村さんはよく話を聞いてくれる」と、ある種の信頼感のようなものもあります。首都圏の4知事では、黒岩さんと小池さんがちょっとゴタゴタしていたけれども。
飯田)ありましたね。延長のあと。
鈴木)ここ数日で出て来ているのは、黒岩さんが直接総理とも話をしているのです。そうなると、西村さんにしてみれば「外されているのですか」ということになります。「それは総理がやることですから」ときっと言うでしょうけれども、総理と黒岩さんが直接話したということで、西村さんも疑心暗鬼になる。そんななかで、総理と意見調整ができているのかなと。取材をしていると、「僕は聞いていない」「僕は知っていました」というような話が多いのです。これは官僚もそうです。このように、お互いに風通しが悪いと、重要な決断のときに官邸のなかが1つになるのだろうかと、不安ですよね。
飯田)コロナ対策をもちろん最後に決めるのは総理になりますけれども、そこまでの段階で誰がリーダーシップをとっているのかというと、これはわからない感じがします。
鈴木)そうなのです。イメージですけれども、3人とも菅総理に「総理、こうしたほうがいいです」「この決断は間違っていますよ」とは言わないのではないでしょうか。そういうことを平気で言うのは河野太郎さんくらいでしょう。河野さんと総理の間だけは、頻繁に電話をしています。ワクチンも、比較的うまく回っているのは、そこのような気がします。しかし、チームですから、その辺りの風通しが課題です。
解散総選挙の時期についての2つの説
鈴木)あとは解散総選挙です。2つ説があって、1つは4月解散説というのが、ここのところ永田町で出回っています。
飯田)それは、予算が通ったあとということですか?
鈴木)通って、日米首脳会談がありますよね。これは大きい局面になるのだけれども、それを挟んで、いま支持率が持ち直しているこのタイミングしかないと。このあとオリンピックがあって、何がどうなるかわからないので、4月解散ではないかと。4月に解散して総選挙になったら補選がずれるのです。
飯田)4月25日の予定が後ろにずれると。一緒にやると。
9月に菅総理の任期満了で選挙する「菅おろし」
鈴木)もう1つは、怪文書が出回っているのですが、これは9月に菅さんを降ろすという、「菅おろし」です。任期満了で選挙というスケジュールまで入った怪文書が出回っていて、これも、さもありなんと。このまま支持率が低ければ、「菅さんでは戦えない」ということです。
飯田)看板を変えて。
鈴木)だけど、どちらにしても、針の穴を通すようなタイミングであることは間違いない。このコロナのなかで、4月解散に国民がOKと言うかというと、なかなか難しい。
ワクチンが落ち着くまで選挙はできない
鈴木)もう1つだけ言うと、総務省の某幹部と話したら、「ああ」と思ったのだけれど、「選挙できません」と言うわけですよ。
飯田)選挙ができない?
鈴木)コロナのワクチンを打つので、全国の自治体で、職員も応援してワクチンにかかっているのです。そしてその集団接種の場所について……。
飯田)開票センターや投票所を使う場合もある。
鈴木)物理的にいま、自治体の職員はワクチンに全力をあげているから、ここに選挙の事務なんて無理だと。ワクチンが落ち着くまで無理だと、総務省の幹部がそう言っていたので、「なるほどな」と思いました。そういうことも、菅さんの解散権を奪ってしまう要因になっているのかも知れない。ということは、本当に解散のタイミングは針の穴を通す、もしくは任期満了ギリギリになるかも知れません。
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