テレワークによって大きく変わる「職場と住居」環境
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月24日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。新型コロナウイルスの影響により、公示地価が前年比マイナス0.5%となったニュースについて解説した。
公示地価
国土交通省は3月23日、全国の土地の価格動向を示す2021年の公示地価を発表した。住宅地や商業地を含めた全用途の全国平均は前年比マイナス0.5%で、新型コロナウイルスの影響による需要の落ち込みで6年ぶりの下落となった。
飯田)国交省公表の1月1日時点での土地価格ということですが、コロナの影響は当然ながら受けているようです。
テレワークにより、オフィス需要が減少
高橋)コロナの影響が、一時的なのかどうかという問題はありますが、テレワークが多くなれば、オフィスの需要は少なくなるでしょう。オフィス需要はいままで大きいものでした。ビルの1フロアを全部借りるなどということも普通にありました。でもそれほどいらないということになったのです。それが土地の価格にも反映するのでしょう。
飯田)かつては土地資本主義のような、土地の担保がないとお金が借りられないということがありました。
高橋)土地が基本になっていたのは事実です。土地はどこかに必要なのですが、「都心でなくてもいい」と思い始めたのかも知れません。
飯田)拠点と生活する場所が必要ですよね。
高橋)生活する場所で仕事ができるということになれば、仕事の拠点はあまり大きくなくていいかも知れません。
飯田)そうすると、いままで一生懸命やろうとしてできなかった都心集中の格差対策や地方創生というものが、自然とできるようになりますよね。
高橋)極端な話をすると、1週間に1度、東京へ行くというライフスタイルができます。新幹線を使えば、軽井沢などは通勤圏でしょう。通勤手当さえ出してくれたら、都心に家を持たなくてもいいという職が増えつつあるのではないでしょうか。
飯田)そうするといろいろなところが変わって来ますね。
高橋)たまに東京へ行けばいいのです。
飯田)23日の財政諮問会議のなかで、菅総理大臣が最低賃金の話をされていました。働き方が変わると、そういうところの数字も変わって来ますか?
高橋)いまは地方と東京の格差がありますが、テレワークなら関係ありません。
テレワークが進めば地方の中核都市の土地が値上がりする可能性も
飯田)テレワークできる仕事とできない仕事というのが、どうしてもありますね。
高橋)テレワークできるのであれば、最低賃金は同じでいいですが、できない仕事は差があっても仕方ありませんね。23日の諮問会議でも、テレワークがカギになるという話になりました。テレワークになれば東京に住まなくていいですし、だいぶ違います。
飯田)固定費がかからなくなって来ますね。
高橋)1週間に1度東京に出ればいいとなると、それ以外は地方で生活できるわけです。そうなれば地価にも反映されて、変化があると思います。地方の中核都市の方が値上がりするかも知れません。
テレワークによって地方の格差が小さくなる
飯田)ここ5年~10年の流れができつつあるというか。
高橋)テレワークが定着するかどうかによりますね。
飯田)その変化がどう雇用や賃金に反映するのでしょうか?
高橋)平準化の方に働くのではないでしょうか。要するに、地方の格差が小さくなるという意味です。テレワークであれば仕事はどこでも一緒でしょう。そういう意味で、平準化するのはいいことだと思います。いままでは、圧倒的に東京に一極集中という話だけでした。大学も全国レベルでどこでもいいとなれば楽ですよね。
飯田)最低賃金を見ても、都道府県格差が激しいです。
高橋)それが一極集中の裏側ですよ。
飯田)この辺が平準化されて来ると、安倍政権のときに出た限定正社員というのも、必要なくなりますよね。
高橋)テレワークだと概念が面白いですよね。どこでも教育はできるので、大学はキャンパスがいらないのではないかという議論も出て来ています。昔はキャンパスが必ず必要で、教室も確保しなければいけませんでした。いまはそうでもないですよね。オンラインでの授業が普通ですから。教室に行く必要がないということは、日本でなくても、世界のどこからでも受けられるということです。
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