多言語対応の電話医療通訳でスムーズな診療を……進む外国人医療対策
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東京都医師会理事で「大橋眼科クリニック」院長の島﨑美奈子氏が1月25日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。電話医療通訳を用いた、外国人医療対策について解説した。
新行市佳アナウンサー)現在はコロナに感染する在日の外国人の方も多いということですが、外国の方への診療はどのように対応しているのでしょうか?
島﨑)一言に外国人の方といっても、日本にいらっしゃる在留外国人の方、観光やビジネストラックで来日される訪日外国人の方、東京都の在留外国人の方とさまざまいらっしゃいます。その数は、2020年1月1日の統計で約58万人です。平成24年から外国人の方も住民基本台帳の対象になり、3ヵ月以上日本に滞在して、ある程度要件を満たせば、公的な医療保険に入ることができます。
新行)いざ診療するといったときに、言葉の壁もあると思うのですが、そういった場合はどうしているのでしょうか?
島﨑)主たる言語は、英語や中国語を使って診療することが多いのですが、実は東京にいらっしゃる外国人の方は多様性があって、多言語に対応しなくてはいけないのが現状です。
新行)そういうときは、何かツールのようなものを使われるのでしょうか?
島﨑)いま東京都や厚生労働省で推奨しているのは、いわゆるスマートフォンのスピーカー機能を利用した電話医療通訳のシステムです。登録が必要なのですが、一般業者に委託して、皆さんが使っているスマートフォンで医療通訳者とお医者さんと患者さん、3者同時に会話を進めて行きます。受付から診察室、検査内容の説明など、医療機関のさまざまなシーンで利用可能です。
新行)島﨑先生は、実際に電話医療通訳を使って診察されたことはありますか?
島﨑)はい。東京都医師会では、団体契約を通じた電話医療通訳の利用促進事業というものを、2年間受託しました。現在都内のほとんどの医療機関では、外国人受け入れのための整備や電話医療通訳の契約に、個々に取り組むことは難しいのが現状です。医療機関に電話医療通訳を広く周知して、このシステムをトラブルなく利用するために何が必要なのか、問題点を明らかにして検討しました。
新行)現状、電話医療通訳を取り入れたクリニックが増えているという実感はありますか?
島﨑)昨年度に施行した事業では、参加医療機関は490機関です。そのうち診療所が429で、小さな診療所が88%を占めました。半面、大学病院も含めて、東京都の広範囲で利用されています。実際に利用された言語は14ヵ国語に及んでおり、多言語対応の必要性が明らかになりました。
新行)実際に多言語対応ができる病院を探すまでの道のりもあると思うのですが、情報の周知についてはいかがでしょうか?
島﨑)東京都では「ひまわり」という、医療情報を都民の方に発信するサイトがあります。そちらも、いまは多言語化しておりまして、外国人の方がスムーズに医療機関を受けられるようなシステムづくりが進んでいます。
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医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます