医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が2月2日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。最近注目されている高血圧の新しい考え方、血圧サージについて解説した。
飯田浩司アナウンサー)血圧サージとは、どのようなものでしょうか?
森田)血圧サージという考え方が最近注目されていて、健康診断では血圧が正常とされるのに、あるタイミングだけ、まるで高波のような血圧の急変動を起こしている状態のことです。例えば5日間、朝に血圧を測って、最も高い日の値と、最も低い日の値の差が、20mmHg以上あると、高波のような血圧の急変動ということで、血圧サージではないかと考えられます。あるいは1日に何度か血圧を測って、高いときの最高血圧と、低めの最高血圧を比べてみて、20mmHg以上差がある場合は、それもまた血圧サージと呼ばれています。よくあるのは、例えば怒ったり、イライラしたり、興奮したりしたときだけ、血圧が急激に上がるというのは、これは血圧サージであると言えます。
この血圧サージがある場合、健康診断で高血圧と診断されていなくても、脳卒中や心臓病などのリスクが高くなると考えられていて、血圧サージのある方は、正常な方の2.5倍、脳卒中や心臓病になりやすいとされています。ちなみに高血圧の方は、正常な方の1.4倍の危険度ですから、この血圧サージというものが、いかに危ない状態であるかということがわかりますよね。
新行市佳アナウンサー)血圧サージになる原因というのは、どのようなことなのでしょうか?
森田)はっきりしたことはわかってないのですが、おそらく血管が収縮するときに血圧サージが起きていますので、やはり自律神経のバランスです。例えば興奮したり、イライラしたり、緊張したりといったときに、急に血圧が上がります。若い間は、血管がしなやかで柔軟性に富んでいるため、血圧サージは起きないのですが、歳をとってくると血管が硬くなるので、そこに血管を収縮させるような交感神経の高ぶりがあると、血圧が大きく上がるのです。血圧サージというリスクを抱える方というのは、およそ1千万人いるのではないかと言われています。それと同時に、4千万人以上いるという高血圧の方も、注意が必要ですね。
血圧サージを見つける方法というものがあるのですが、それは、家庭で自分の血圧を測ってみることです。測定のタイミングとして一番おすすめなのは、神経が高ぶりやすい、すなわち交感神経が活発に働く早朝です。起床後、約1時間以内に血圧を2回測るということを、5日間続けていただいて、それをノートに記録してください。最高血圧135mmHg以上が何度も生じて、最高血圧同士の差が20mmHg以上ある場合は注意が必要です。交感神経というものは、一般的には朝に高ぶるのですが、ただ日中なども、仕事の後、何かストレスを感じる出来事があったとき、興奮や緊張をしたときには高まることはあるので、こまめに血圧を測ることで、自分の最高血圧、あるいは最低血圧の変動を、知っておくことが大事です。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます