ワクチンの供給量が十分でも「打つための」人手が足りない日本の問題

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月13日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。高齢者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されたニュースについて解説した。

新型コロナウイルスのワクチンを接種する医療従事者(左)=2021年2月17日午前9時16分、東京都目黒区の国立病院機構東京医療センター(代表撮影) 写真提供:産経新聞社

新型コロナワクチン~高齢者への接種開始

65歳以上の高齢者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種が4月12日から始まった。厚生労働省は今後、自治体への配送量を増やして行く方針で、6月中には高齢者全員が2回接種できる量を配送する見通しとしている。

飯田)実際には自治体から接種券が届いて、電話、ネットなどで予約を行い、そして自治体が指定した接種会場で受けるという形になっている。厚労省は「量」というところを強調していますね。

大阪で新型コロナワクチン接種開始 ワクチン接種を受ける医療従事者=2021年2月19日午後1時4分、大阪市中央区の大阪医療センター 写真提供:産経新聞社

ワクチンの供給量が足りてもそれを打つ人が足りない日本~いかにスピードを以て接種できるか

クラフト)海外からの接種量をいくら供給できるかというところに焦点が当たっているのですが、日本だと問題は、接種する人(受ける人に注射する人)の数が少ないので、いくら供給が足りていても、それをいつまでに打てるのかということが不安です。政府は「これだけのワクチンを確保した」、「あとは地方自治体の責任だ」という言い方をしていますが、これには若干、違和感があります。

飯田)一方で、自治体側からすると、「供給量がいくつかわからないから、予約を取ろうにも取りきれない。政府がやってくれなくては」というボールの押しつけ合いのようなところもあります。

クラフト)ちなみに、アメリカは7月までに国民の9割が接種を終えます。そうすると、アメリカでのいままでの需要が世界に流れて行きますから、急にワクチンの数が増えます。日本政府としては、「夏場には十分なワクチンが確保できる」という見込みだと思います。問題は、「いかにスピードを以て国民に接種を行うか」というところだと思います。アメリカとイギリスでは一般のボランティアや薬剤師でも注射を人に打つことができるので、早い。日本はそれができないので、未だに医療従事者400万人の約1割しか接種できていないという状況です。

新型コロナウイルスの2回目のワクチン接種のため、用意された注射器=2021年3月11日午後0時52分、東京都目黒区の国立病院機構東京医療センター(代表撮影) 写真提供:産経新聞社

日本では医療従事者以外は打てないのでスピードが追い付かない

飯田)ツイッターで“ホシサン”さんから、「ワクチンを医師、看護師以外の人が打つのは日本では受け入れられない気がします」というご意見もいただいております。この辺り、有事と平時の切り分けということにもなって来るのでしょうかね。

クラフト)日本では感染が騒がれていますけれども、アメリカと比べれば、感染者数が圧倒的に少ないわけです。死者数も少ない。そういう意味では、アメリカに比べると危機感というのは違いがあると思います。あともう1つは、日本では皮下注射の場合、角度を持って入れないといけないので、それなりの専門性が必要です。しかし、筋肉注射の場合は、「プスッ」と刺して、雑なことを言うと、誰でもできてしまうところがあります。そういうやり方が雑なアメリカ人には受け入れられるけれども、きめ細かい日本人にはなかなか受け入れられないというところがあるのだと思います。

「大阪コロナ重症センター」で研修する看護師ら=2020年12月11日午前11時9分、大阪市住吉区の大阪急性期・総合医療センター 写真提供:産経新聞社

ワクチン接種を早く普及させる議論も必要

飯田)ただ、感染を抑止して行くためには、ある程度のスピードも求められるところです。スピードとある意味のきめ細かさというところは、少しトレードオフなのかも知れないですね。

クラフト)そこの議論があまり日本ではされていないですよね。「いくら確保できたのか」という量のところも大切ですが、「それをどうやって普及させて行くか」というところの議論も必要ではないでしょうか。政府も軽はずみに「医療従事者ではない人が打ったらどうだ」と言っても批判されるので、怖くて言えないところがあるでしょう。そこはいろいろ議論しながら、いいバランスを見つけなければいけないのかなと思います。

米製薬大手ファイザーが開発した新型コロナウイルスワクチン(アメリカ)=2020年12月30日 AFP=時事 写真提供:時事通信社

「まん延防止等重点措置」の適用が株価に悪影響

飯田)経済に対する影響がいろいろ言われていますが、野村総研のエコノミストの木内登英さんが試算したところによると「約5500億円の損失」というようなニュースが出ています。年間でGDPの0.1%ほどではないかという指摘があるのですが。

クラフト)緊急事態宣言が解除されて、ここでやっと経済も回復できるかと思ったところに、また「まん延防止等重点措置」が適用されて水をかけられた部分があります。そこの部分も株価に反映して、直近2~3週間は日米の株動向が乖離し、アメリカ株の方がアウトパフォームをしています。これもおそらくワクチンの普及動向の見通しが大きく関わっているのではないかと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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