山梨県知事に聞くコロナ対策~総理夫人も評価する「山梨モデル」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月30日放送)に中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が出演。長崎幸太郎山梨県知事を電話ゲストに迎え、飲食店などへの新型コロナ対策として行っている「山梨モデル」について訊いた。
「山梨モデル」~基準に合致している店に県の責任で認証を出す
山梨県の長崎幸太郎知事は4月27日、総理官邸で菅総理大臣と面会し、新型コロナウイルスの感染対策を行っている飲食店などを認定する全国的な団体の設立や、共通の基準づくりに国が取り組むよう要望した。このなかで長崎知事は、飲食店などでの新型コロナウイルスの感染対策に自治体がお墨付きを与える、いわゆる「山梨モデル」と呼ばれる制度を全国で実施するよう総理に要請した。この「山梨モデル」とは何か、長崎知事に訊く。
飯田)知事がお考えになられて、すでに山梨県で実施されている「山梨モデル」というものが注目されておりますが、改めてどういうものか教えていただけますか?
長崎)私たちは「やまなしグリーン・ゾーン認証」と言っているのですが、感染症対策と経済を両立させようというものです。そのために、例えば他の県でやっているような、「休業要請をかけ、それに対して補償を出します」という一時的な対策ではなく、「持続的に感染防止対策を積み上げて行こう」という考え方です。具体的には、県が飲食店や宿泊施設などに感染症対策の基準を示して、その基準に合致しているお店を、実地調査の上、県の責任の下に認証を出すという仕組みになっています。
県がリスクを持ってお墨付きを出すことで、お客さんにも、事業者にも協力してもらえる
飯田)お墨付きを出すということは、県の名前、看板を貸すようなものです。このリスクは政治家でないと取れないリスクではないかと思うのですが。
長崎)政治家としても、ある意味で博打のようなところがありますが、一般のお客さんにきちんと対策をしている店と、していない店を判断させる、リスクを負わせるというのは酷だと思います。そういう意味では、我々は単に上から目線で要請だけをするような手法ではなく、「何かあったら県も責任を取るので、一緒にやりましょう」としているのです。事業者の皆さまにも、「我々も真剣に取り組んでいるから、皆さんもよろしくお願いします」と言える効果もあるのではないかと思います。
県の実地調査で一緒に考えてアドバイスをする
飯田)お店の方の反応というのは、どういう声が上がって来ていますか?
長崎)最初は厳しく、「そんなもの、できるわけがないではないか」というお叱りの声もいただきましたが、皆さん、利用者の安全に対する信頼を確保することが重要だということにはご理解いただいています。そういう意味では、いま、それぞれのお店の工夫のなかでなさっていて、その工夫の仕方については、県の実地調査で一緒に考えてアドバイスをしています。「これならできる」「やりやすい」というお声もいただいております。
「やまなしグリーン・ゾーン認証(山梨モデル)」を総理夫人が評価
飯田)先日、菅総理大臣のところにも知事は足を運ばれて、「やまなしグリーン・ゾーン認証」についてもお話をされたということでした。これが全国に広がって行けば、かなりの飲食店を救うことになると思いますが、総理の感触はいかがでしたか?
長崎)総理からはまず、奥様が「これはいい制度ですね」とおっしゃったと伺いました。総理が気にしていたのは、「営業時間の規制などはどうなっているのか」ということでしたが、「時短要請は現時点でやっておりません」という話を申し上げました。それは印象深く聞かれていたと思います。
変異株にも対応できる基準のあり方を検討中
飯田)いま、変異株も東京や大阪などで問題になっていますけれども、この辺りでグリーン・ゾーン認証制度の網を抜けて来るというようなことはありましたか?
長崎)ありました。ついこの前、やはり変異株クラスターがグリーン・ゾーン認証施設から発生しました。やはり、変異株の感染の破壊力です。この感染力は従来以上のものです。従って、いま変異株にも対応できる基準のあり方を検討していまして、近日中に発表したいと思っております。
「県内で静かに過ごされる方」であれば山梨県は歓迎
飯田)ゴールデンウィークが始まると、いろいろなところで人が流れて来るかも知れません。観光の県でもあるというなかで、その点はどうお考えでいらっしゃいますか?
長崎)山梨県は、ごく初期の段階を除いて、「山梨県には来ないでください」という話をしたことがないのです。「個人としての基本的な感染防止対策の徹底をお願いします」と。さらには、「感染防止対策ができている“グリーン・ゾーン認証施設”を使ってください」と。かつ、「施設に入られた以上は、お店のルールを守ってください」ということを県内外問わずお願いしております。あえて言えば、山梨県は、県内で静かに過ごされる方は歓迎いたします。ですが、そうでない方はご遠慮いただきたいと考えています。
「やまなしグリーン・ゾーン認証(山梨モデル)」は対象店舗数が多くても、外注すればできるはず
飯田)首都圏の知事の皆さんにインタビューした際、グリーン・ゾーン認証制度について「どうなのですか」と聞いてみたことがあるのですが、都知事に言われたのは、「うちは店の数が多いからできない」ということです。でも、人繰りをつけてやればできるような気がするのですが、その辺りはどうなさっているのですか?
長崎)県のホテル、リソースには限りがありますので、その点は外注をしております。旅行会社の方にお願いしているのですが、彼らは我々以上に県内の安全確保が死活問題です。その人たちの本業にも影響しているわけですので、真剣に取り組んでくださっています。ですので、私はどんなに対象店舗数が多かろうと、できないわけがないと思っています。そこはやるべきだと思います。
飯田)旅行関係の会社だと、調査が甘くなるのではないかと言われたりもします。そこも含めて基準をつくってやるということを心がけていらっしゃいますか?
長崎)決してお手盛りにはなりませんし、お手盛りになったら信用を傷つけるということは、みんな理解しています。信用が傷ついた認証制度など、何の意味もないですから。
飯田)最後にラジオをお聴きの皆さんに伝えたいことがありましたら、お願いいたします。
長崎)繰り返しになりますが、山梨県では県を挙げて感染防止対策に取り組んでいます。ルールを守って、静かで豊かな時間を山梨県でお過ごしいただければいいかなと思います。
注目すべき「認証」という発想
飯田)山梨県の長崎幸太郎知事にインタビューした模様をお送りいたしました。メールやツイッターでも「『来るな』ではないんだ」といただいています。
野村)今回注目すべき点というのは、「認証」という発想です。お店のなかには、「やっている感」は出しているけれど、実際には効果のない対策というのが、なきにしもあらずなのです。そこをきちんと指導して認証が与えられるという発想はいいと思います。
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