分裂危機にあるイギリスは「因果応報」か~独立へ動くスコットランド

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月11日放送)に地政学・戦略学者の奥山真司が出演。スコットランドの議会選挙で独立派が過半数を獲得したニュースについて解説した。

英スコットランド南西部グラスゴーで、集会を開くスコットランド独立派(イギリス・グラスゴー)=2021年5月1日 EPA=時事 写真提供:時事通信

独立を掲げるスコットランド民族党が過半数を獲得

イギリスからの独立の是非が大きな争点となったスコットランドの議会選挙は5月8日、開票作業が完了し、独立を掲げる勢力が過半数を獲得した。

飯田)129議席をめぐって6日に投票が行われたということですが、独立を掲げるスコットランド民族党(SNP)が64議席を獲得したそうです。スコットランドはかつて独立に関する投票をやっていましたよね。

奥山)2014年ですね。そのとき、日本に訪れていたイギリスの先生が「スコットランドが独立しなかったよ」と言って大喜びしていたのを見ているので、感慨深いのですけれど、2014年9月に行われたその独立投票では、44対55で独立は否定されたのです。

イギリスのEU離脱でスコットランド側の人たちに「反作用」が出て来た

奥山)ところが2年後の2016年6月になると、今度はブレグジットの投票がありました。

飯田)イギリスのEU離脱。

奥山)EUを離脱するということになった。しかも52対48という本当に大接戦だったのですが、EUから抜けることが決定しました。

飯田)大接戦でした。

奥山)これで逆にスコットランド側の人たちが怒っているという状態、作用・反作用の「反作用」がいま出て来て、スコットランド側に独立の機運が高まっているというのが印象的でしたね。

イングランドに引っ張られてEUからの独立に付き合いたくないスコットランド

飯田)イギリスがEUから出て独立するのであれば、それでいいのではないかと思いがちなのですが、スコットランドは独立投票のときに「EUとやって行くから私たちは独立していいのだ」という論調でしたよね。

奥山)そうでした。

飯田)やはりEU離脱は許しがたいということになるわけですか?

奥山)そういうことです。「イングランド側に引っ張られて、独立に付き合いたくない」という意識が強いようです。

会見するジョンソン氏 英コロナ変異種、警戒拡大(ロイター=共同)=2020年12月21日 写真提供:共同通信社

スコットランドとウェールズで高まる独立の機運

奥山)私たちは一般的にイギリスと言いますけれど、この国は4つの連合王国ということで「ユナイテッドキングダム」、「UK」と言われる国ではないですか。

飯田)そうですね。

奥山)中心はロンドンのあるイングランドなのですけれども、スコットランドと北アイルランドが別にあり、また、ウェールズという、ロンドンから西に別の国があります。言葉もウェールズ語を使っていて、独自の文化を持っています。2016年、いまから5年前の投票を機に、スコットランドとウェールズで独立の機運が高まっているという状況があります。

飯田)ウェールズでも独立の動きがあるのですね。

奥山)これが驚くところですが。

飯田)ウェールズというと皇太子殿下のところだから、独立はしないのではないかという感じがしましたけれど。

奥山)王室の考えとは別に、そこにいらっしゃる民族の方々は独自の見解を持っているのでしょう。

植民地経営として世界を分裂させて来たイギリス~現在は自分たちも分裂の危機にある

奥山)歴史の大きな流れとして、イギリスという国はスコットランドと一緒に世界に出て行って、世界中の国をある意味で分断して行った経緯があるわけです。

飯田)植民地経営としてですね。

奥山)例えばインドですが、インドからイギリスが抜けるときに、イギリスはパキスタンとインドの仲を悪くして逃げています。今度はパキスタンが東パキスタンという、現在のバングラデシュと一緒に独立戦争を起こしました。イギリスが入って行ったところは、必ず分裂させて逃げるというパターンです。「世界を分裂させて来たのはイギリスだ」と言える部分がなきにしもあらずというところではないですか。世界に対して、世界を分断して来た帝国であるイギリスが、まるで因果応報のように、最後は「自分たちも分裂の危機にある」というのは皮肉な話です。

飯田)植民地経営をするときに、少数派に権限を与えて多数派を統治させ、なかで分裂や分断、対立でイギリスに火の粉が及ばないようにして来た。

奥山)いやらしいやり方ですけれど、彼らにとっては効率のいい植民地経営なのです。

飯田)自分たちで潰し合ってくれるのならば、それがいいということですよね。

奥山)そういう怪しいことをやって来たイングランド・イギリスは、最終的に自分たちが分裂の危機にあるということです。なかなかめぐり合わせというのは不思議だなと感じております。

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