ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。北朝鮮による拉致問題について解説した。
横田めぐみさんの父・滋さんが亡くなって1年
北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんの父、滋さんが2020年6月に87歳で亡くなってから、6月5日で1年となった。命日に合わせ、めぐみさんが通った新潟市立寄居(よりい)中学校の同級生らが追悼会を開催し、当時、めぐみさんとともに歌ったという「翼をください」を同中で合唱した。
拉致問題特別委員会で2年以上質疑が出ていない
飯田)6月5日で、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんのお父さん、滋さんが亡くなられて1年となりました。奥様の早紀江さんが、「時は結果が出ないまま流れて行く。本当に悲しいことです」と報道各社の取材に応じられていました。
須田)この早紀江さんのコメント記事について、あまりにも扱いが小さい。メディアの果たす役割として、これでいいのかという感じがしました。拉致問題特別委員会では、2年以上も質疑が出ていないという産経新聞の報道がありました。
飯田)2年以上質疑がない。
須田)そこを含めて、国会の役割や政治の役割だけではなく、メディアの役割としても、ほとんど扱われなくなって来ている。国会でも扱われなくなって来ている。そうすると、「日本国民の解決すべき課題の優先順位として、拉致問題は低いのではないか」ということが、北朝鮮だけではなく、アメリカなどでもそういう受け止め方をしてしまいます。やはり、ここはきちんと質疑し、メッセージを送り、そしてメディアもそれを伝えるということをやるべきだと思います。このような、すぐに解決しない問題については、継続的に扱って行かないと、諸外国に対してのメッセージという点では弱くなるのではないでしょうか。
飯田)特にG7も前にしているし、アメリカはトランプ大統領から政権が今年(2021年)代わったばかりということも考えると、いまこそきちんとアプローチしておかなければいけないということでもありますか?
須田)G7の場や日米首脳会談でアリバイ工作的に持ち出したところで、「日本はあまり興味関心がないようではないか」という受け止め方をされると、やはり儀礼的なやり取りになってしまうのかなという感じがしますよね。
北朝鮮問題に対して関心のないアメリカ~日本から働きかけなければならない
飯田)バイデン政権が北朝鮮に対してどういうアプローチをするのか。どうもかつてのオバマ政権に戻るような、「行動対行動の原則」のようになってしまうと、全体でディールしようとしたトランプさんの方法とは違うようにも見えます。
須田)もちろん北朝鮮の核開発という点では、アメリカもかなり注視しているのでしょうけれども、正直言って、あまり北朝鮮問題に対しては、特にオバマ政権のときを思い出していただくとわかる通り、関心がないのです。
飯田)「戦略的忍耐」と言いながら結局、放置していましたからね。
須田)ほとんど関心がなくて、強いて言えば、対中国との関係において、北朝鮮をどう位置付けるのかという関心しかありませんでしたからね。ですから、アメリカの政策決定に影響のある各シンクタンクも、最近のレポートを読んでみると、あまり北朝鮮問題が取り上げられていません。もともとアメリカのなかでは、それほどプライオリティの高くないところですから、日本が働きかけなければ忘れ去られてしまうのだろうと思います。
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