中国への日本のメッセージ~2021年版防衛白書
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月14日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。2021年版防衛白書について解説した。
2021年版防衛白書
岸防衛大臣は7月13日の閣議で2021年版防衛白書を報告した。岸大臣が巻頭で、中国海警部隊に武器使用を認める海警法施行に懸念を表明した他、「米中関係」のパラグラフを新設するなど、軍事力の増強を続ける中国への警戒感が強く表れた内容となっている。
飯田)「台湾情勢の安定が日本の安全保障や国際社会の安定にとって重要だ」という明記もありました。
高橋)岸さんは防衛大臣になってから、いい仕事をしていますね。正論ですしね。中国の人も意識しているのではないでしょうか。
飯田)例の趙立堅副報道局長が反応していましたね。
高橋)正しいことを言うと、すぐ反応してくれるから、よくわかりますよね。彼にスルーされてしまったら、危ないかも知れませんね。
中国に「容認した」と思わせてはいけない~尖閣諸島への領海侵犯
飯田)見せることによって、自衛隊を使った外交のようなことをいろいろなところでやっているという。
高橋)普通ではないでしょうか。中国に媚びたところで仕方がありません。尖閣に毎日来るわけですから。向こうがそうやって来たときには対抗しないと、メッセージになってしまうわけです。「あ、これはやっていいの?」と。
飯田)容認したことになってしまう。
中国にとって台湾と尖閣諸島は一体~台湾有事は日本の有事
高橋)「容認した」ということになると、ジワジワ来られてしまいます。「嫌だ」と言い続けるのは普通です。尖閣に来なければ言わないのだから。昔は毎日来ていなかったではないですか。それが毎日来るようになったことが、おかしいのです。台湾と尖閣は同じ位置付けなのではないでしょうか。
飯田)中国にとっては。その辺もあって、麻生さんの発言がありました。台湾有事の際は「存立危機事態」や有事法制で規定された事態に該当するものだろうと。
高橋)中国にとっても、台湾と尖閣は一体ですからね。それはそうでしょう。一体と思われていること自体がそうです。日本にとって、台湾は対岸の火事ではありません。
「台湾は中国のものだ」と言われたら反論しなくてはならない
飯田)自分のところの事態として見なくてはいけない。いままで台湾についての表記はほとんどなかった。いろいろな配慮があったようですが、そういう次元を超えて来たということになります。
高橋)中国共産党の100周年式典でも、はっきり「台湾は中国のものだ」と言っているわけです。
飯田)歴史的な任務であるという。
高橋)「歴史的な任務」と言われたら、「そうではない」と言わないとまずいでしょう。「認めた」と言われても困ります。「尖閣もいただきますよ」と言われたら困る。
台湾にもTPPに入ってもらう~経済が安全保障と連動する
飯田)その辺は何とかしないといけない。日米同盟もそうですが、日本独自でもやるけれども、周りの国々とも連携しなければいけない。
高橋)クアッドなどはその一例です。
飯田)日米豪印の組み合わせ。
高橋)最終的には、台湾もTPPに入れるべきです。TPPに入れると、中国とはまったく違う扱いになります。そのような経済のところから、安全保障も連動するのです。
飯田)台湾にTPPに入ってもらって。
経済の関係を強固にするための安全保障
高橋)イギリスもTPPに入ってもらってね。経済の関係で民主主義国のルールをつくる。そうすると安全保障におのずと移行して行くのです。ヨーロッパでも、NATOとEUはかなりパラレルでしょう。それと同じです。
飯田)あれも冷戦期にまずECがあって、だんだんと統合があって……。
高橋)同時並行的に行くのですけれどね。アジアの周りは経済優先かなと思いますが。
飯田)安全保障よりは先に経済だと。
高橋)「経済の関係を強固にするための安全保障」というロジックだと思います。
飯田)そうすると、徐々にインドも自分の体質を変えながら。
高橋)そうでしょうね。インドは、経済では途上国だから入りにくいので、安全保障が先行しているのでしょう。国によって違うのです。次はベトナムかな。あの辺りで安全保障のいろいろな関係を築いて行くことが、日本の国益になると思います。
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