熱海土石流、見送られていた「避難指示」発出~首長の“重い決断”を国が後押しする仕組みが必要

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月15日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。熱海市の土石流災害の際、県内全域に土砂災害警戒情報が出されていたが、県内14市町が避難指示の発出を見送っていたというニュースについて解説した。

大規模な土石流が発生した現場=2021年7月3日午後4時57分、静岡県熱海市伊豆山 写真提供:共同通信社

「避難指示」発令を14市町が見送る

静岡県熱海市で起きた土石流の要因となった長雨では、避難指示発令の目安である土砂災害警戒情報が県内全域に出されていたが、熱海市を含む県内14市町(4割)が避難指示の発出を見送っていたことがわかった。

飯田)発令そのものは自治体の首長に判断が委ねられているというところで、判断が分かれた格好になったとも言われています。

鈴木)難しいと思います。

飯田)これを後付けでというのは、どうなのかなと私も思います。

鈴木)避難指示など、避難に関しての仕組みを簡素化しましたよね。これは正しいと思います。段階がたくさんあると悩んだり困ったりして、それはそれでまた問題があるわけです。

飯田)かつて「避難勧告」というものがあった時代には、「勧告だからいいだろう」という場面もありました。

鈴木)住民の命を守るために、よく「空振りを恐れてはいけない」と言いますよね。そうだと思います。無駄であっても、とにかく避難をする。何もなかったら「よかったね」と。「何もないのに避難させやがって」ではなくて、行政や首長もそうなのだけれど、住民にも「空振りに慣れる」という意識は大事だと思います。

難しい決断を強いられる「避難指示」

鈴木)避難指示を各首長が決断することは多くあります。いま言ったように「避難しろ」と言って何もなかったときには、批判が来ます。かと言って、いまの雨の状況でどこまでどうなるのかということは、いろいろな科学的なデータがあるけれども、毎回ケースは違うわけです。

重い決断を1人で悩まなくてはならない首長

鈴木)私が4~5年前に出した災害の本があります。それは東日本大震災、阪神淡路大震災、雲仙普賢岳の災害、新潟県中越地震など、いろいろな災害と相対して来た人たち、首長さんたちも含めて取材して纏めたもので、『期限切れのおにぎり』というタイトルの本です。そのなかにありますが、新潟県中越地震で避難所の食糧がなく困った。しかし、寄せられたおにぎりは期限が切れていた。でも他に食べ物がない。この期限が切れたおにぎりを配るかどうかというのを首長が1人で、市長室で悩むのです。森さんという長岡市長が、わずか数十分なのだけれど、配るかどうかを1人で悩むわけです。24時間悩んだくらいに感じたとおっしゃっていました。

飯田)自分のなかではそのくらい長い時間に感じた。

鈴木)おにぎりでも「具によっては1日遅れても大丈夫かな」「梅干しだったら」と、配るという決断をしたのです。結果は大丈夫だったのだけれど、当然、メディアからは「食中毒になったらどうするのだ」と非難がたくさん来た。でもそういうことなのです。さらに今回の場合は命がかかっているわけでしょう。食中毒ではないわけです。決断はきついと思います。首長になるということは、そういうことなのです。市民の命を預かる。そういう難しい決断ができるかどうか。「それが市長、あなたの仕事なのです」と。そういう意識を首長自身が持たなければいけないというのが1つ。

首長の決断を国が後押ししてあげる仕組みをつくるべき

鈴木)それでも判断するのはきつい。そこで決断をすればよしとして、「わかった。国が全面的にその決断を支援する」ということを国がバックアップしてあげなければダメです。そこがないのです。全部首長の決断、判断でしょう。終わってそれが間違っていたら、国はどうそれをフォローするのか。そこの部分が見えていませんよね。決断の際には相談するとか連携をするとか、危機管理庁でもいい、総理直轄でもいい。そういう流れのなかで判断ができる、地域の判断を後押ししてあげるような仕組みをつくるべきだと思います。

飯田)何かあったあとに国が支援するということは、プッシュ型も含めて整備されて来ましたけれども、何もなかったときにどうするかという対策はありません。

鈴木)出すときに、1本電話をできるのかどうか。そのバックアップ体制がないと、先ほど言ったように、市長室で孤独に苦しんで決断する。それが大事な仕事なのですが、そういうものをセットにしてあげた方がいいのではないでしょうか。

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