伊豆山と同じような場所は国内に数万カ所もある~熱海土石流から1か月

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月4日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。発生から1か月が経過した熱海の土石流災害について解説した。

【熱海土石流】捜索が続く大規模な土石流が起きた現場=2021年7月20日午後0時46分、静岡県熱海市伊豆山 写真提供:産経新聞社

熱海土石流災害から1か月~いまも5人が行方不明

静岡県熱海市で大規模な土石流が発生してから8月3日で1ヵ月となり、消防に対して最初に土石流の通報があった午前10時28分にサイレンが鳴らされ、住民や捜索にあたる警察官や消防隊員、ボランティアの人たちが、犠牲となった22人に黙祷(もくとう)を捧げた。現地ではいまも5人の行方がわかっておらず、8月3日も捜索が続いている。

飯田)あれから1か月が経つのかという感じですね。

佐々木)そうですね。大変だと思いますけれど、一方で、ほとんど盛り土は産廃だったという報道も相次いでいて、しかも本来予定されていた3倍の量を積んでいたなどと報じられていますが、今後、警察の捜査を待つことになるのではないかと思います。

流域全体でトータルにものごとを考えなければいけない

佐々木)いま、流域の問題が重要になって来ています。昔と比べると、雨の量が著しく増えています。「線状降水帯」という言葉が用語で使われるなど、流域でものごとを考えなければいけなくなっています。例えば利根川水系が東京にありますが、自治体には流域に関係なく、区域が存在するのです。自治体単位で水害を考えると、「堤防をつくりましょう」とか「避難場所をつくりましょう」という話になるのだけれど、上流から大量の土砂や水が押し寄せて来たら、もう自治体単位では対応できません。ですから、利根川は利根川の水系全体でどこに貯水池をつくるか、どこにダムをつくるかということをトータルで考えなければいけないと思います。渡良瀬遊水地や八ッ場ダムをトータルで考えて、何とかなったという話があったわけです。今後は「すべて流域でものごとを考えましょう」ということです。

飯田)流域全体で。

佐々木)今回の土石流も、上流の山の上に大量の産廃の盛り土があったなどというのは、知っている人もいたでしょうが、普通はそこから流れて来るなどということは考えません。しかし、そこまで考慮しなくてはいけない状況になって来ているということです。

伊豆山と同じような場所は国内に数万ヵ所もある

飯田)一応川はあったわけですけれども、普段は涸れ川に近いような状態だったということです。

佐々木)あの辺を歩いたことがありますけれども、川というよりは溝という感じです。

飯田)普段はほとんど水が流れていないような。

佐々木)川という認識は、地元の人もなかったのではないかと思います。そんなところでもあれだけ急傾斜だと、一気に土石流は発生するのです。日本は山と海が接しているところが多くあるので、そんな場所は国内に数万カ所はあるのではないかと言われているくらいです。日本の川を見に来たオランダの治水の専門家が、「これは川ではなくて滝だろう」と言ったという有名な話があるのですけれども、日本の川は中流域まで急流の渓谷のようなところばかりです。

大規模な土石流が発生した現場=2021年7月3日午後4時57分、静岡県熱海市伊豆山 写真提供:共同通信社

環境破壊、自然破壊になり、その上、水害を招く可能性もある太陽光パネル

佐々木)今回は関係なかったと思いますけれども、もう1つの問題は、いま山の稜線上に大量の太陽光パネルが設置されているケースが増えています。かつてバブルのころは、ゴルフ場があちこちにできて、「ゴルフ場が景観をダメにしている」と言われましたが、いまはゴルフ場の代わりにソーラーパネルだらけになっています。山登りをするのですけれど、山へ行くと、「またこんなところにメガソーラーができている」というのをたくさん目にします。

飯田)視界が開けたかと思うと、ソーラーパネルがある。

佐々木)いまのところ問題になっていないけれども、将来的には、これが上流の源流帯の流域で水害を起こしやすくなるという問題も多分あると思います。実際に小泉環境大臣なども、注意しなくてはいけないということをおっしゃっていました。

飯田)小泉大臣も。

佐々木)太陽光パネルの問題はさらに言うと、どこまでメガソーラーを広げるのかということです。3・11以降、原発が停止してしまって、代わりに太陽光などの再生可能エネルギーを増やして来たのですけれども、一方で、天候に左右されるため、ベースロード電源にはならないと言われています。そして今回の問題のように、環境破壊にも自然破壊にもなり、その上、水害を招くという可能性も出て来ています。

日本の電力に関しては原発も含めて議論することも必要

佐々木)8月2日にアメリカのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じていましたが、太陽光パネルの主な製造国は中国で、中国は太陽光パネルを石炭火力でつくっているのです。「太陽光パネルを増やせば増やすほど、CO2が増えて行く」というジレンマもあるということを記事にしていて、そういう問題もあるのかと思いました。

飯田)そのくらいまで俯瞰してものごとを見ないといけない。

佐々木)太陽光を増やせば、再生可能エネルギーで自然にやさしいからいいと思うのだけれど、一歩引いて見れば、環境破壊や水害の可能性もあり、なおかつ石炭火力に依存している製造の問題もあるというように、いくつかの問題が出て来るのです。射程を伸ばしてものを考えることが、エネルギー対策には必要だという話です。日本の場合は、安全保障の問題で言うと石油に頼るのはよくない、かと言って、太陽光も日が照り続けるような国ではないため安定しません。そう考えると、原発も含めて議論することも必要なのではないかと思います。

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