ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月6日放送)に慶應義塾大学教授で国際政治学者の神保謙が出演。まん延防止等重点措置に新たに茨城県など8県の追加が決定したというニュースについて解説した。
まん延防止等重点措置、8県を追加
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新型コロナウイルス対策で、政府はまん延防止等重点措置の適用地域に福島、茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本の8県を追加した。期間は8月8日から31日までとなっている。
飯田)重点措置が13道府県に拡大されました。そして今朝(8月6日)の朝刊1面はそれと並んで、「中等症も原則入院対象に」という療養指針の明確化についても書いてあります。どうご覧になりますか?
高齢者の感染者数減少でワクチン効果は決定的~接種のスピードと3回目のワクチンの準備が必要
神保)前回出演させていただいたときは、高齢者のワクチン接種が進む7月末くらいまでが我慢のときで、8月からは徐々に社会生活を回復させられるのではないかと、私も考えていました。しかし、それ以降、世界全体が感染力の強いデルタ株の猛威に晒されてしまい、特にこの2週間で日本と東南アジア、北米で再び感染が拡がっているということですね。東京も5000人台に入ってしまいました。爆発的な感染拡大は間違いないのですけれども、それでもいい点を見出すとすれば、6月中旬以降は高齢者の感染が劇的に減っています。いまは新規感染者の90%以上が50歳代以下ということなので、ワクチンの効果は決定的だということが、改めてわかると思います。
飯田)そうすると、前々から言われていましたけれども、ワクチン接種のスピードと感染拡大の追いかけっこということになるわけですね。
神保)そうですね。18歳以上のワクチン接種を可能な限り早期に行うということと、今後また変異株が出て来る可能性が高いですから、3回目のワクチン接種の準備、ワクチンの確保を早急にしなければなりません。その間に新しい方針が出たのですけれども、自宅療養の割合が増えるわけですよね。そのリスク管理をきちんとしなければならないと思います。
重症化したら迅速に救急搬送できる体制を
飯田)ワクチンを打っても感染を確実に予防できるものではなく、罹る人は罹る。ただし重症化は予防できるということを考えると、軽症の人が増えるというのは現実的な線ですよね。
神保)不安なのは、重症化するときは、あっという間に悪くなるという話を聞きますので、それを「自分で判断して、救急搬送できるような体制をつくる」ということが社会の不安を解消する最も重要なポイントではないかと思います。
飯田)いまは保健所に連絡するようなステップで、「医療に迅速にアクセスができるのか」というところをみんな不安に思っていますよね。
パルスオキシメーター機能があり、救急搬送システムと連動するスマートバンドを開発して自宅療養者に着ける
神保)しかも意識朦朧とするかも知れないし、1人暮らしの方ができるのかということです。ですので、新しいシステムを導入する時期ではないかと思うのです。例えば、最近はスマートバンドがとても高性能になっています。
飯田)手首につけるようなやつですよね。
神保)そうですね。パルスオキシメーター機能のあるものがあって、ある程度の性能だということです。もし日本のメーカーさんが高精度なものをすぐに開発できれば、自宅療養者は全員それを着ける。そうすると24時間ヘルスメーターとして酸素飽和度がチェックできます。もし95~94%へ低下したときにアラートが出て、「救急搬送しますか」という確認ができるようなシステムにすれば、悪化する人を救うことができるのではないかと思うのです。自動化するというのが大事だと思います。
飯田)なるほど。そのシステムが直接、救急搬送システムと連動していれば、本人の意識がなくなったときにも対応できるかも知れない。
デジタル庁のフラッグシップ事業として推進する
神保)それがいちばん大事だと思います。「体調が悪くなったときにはどうすればいいのだ」ということです。電話もつながらない、救急車もすぐに来ないというような状況を、何とかしてボトルネック解消することが必要です。「自宅に居ろ」ということで、「見捨てられた」という気になっている人に、「大丈夫ですよ」という、もう1つの制度をつくってあげる必要があるのではないかと思います。9月に発足するデジタル庁のトップページには「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を」とあります。
飯田)確かにそうですね。
神保)最初のフラッグシップ事業として推進したらどうかと思います。
飯田)「世の中が変わる」というのを確実に見せることもできますものね。
神保)制度をどのくらいにするかなど、重大な問題はありますけれども、考えていいのではないでしょうか。
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