北京五輪の“外交的ボイコット”でさらに強まるバイデン政権の対中強硬政策

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。訪米中の秋葉国家安全保障局長がサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談したニュースについて解説した。

北京五輪の“外交的ボイコット”でさらに強まるバイデン政権の対中強硬政策

4日、米大統領選で優勢となり、デラウェア州で演説する民主党のバイデン前副大統領(ロイター=共同)=2020年11月4日 写真提供:共同通信社

秋葉国家安全保障局長、日米の抑止力・対処力の一層の強化で一致

訪米中の秋葉剛男国家安全保障局長は日本時間8月10日午前、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談し、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化して行くことで一致した。また、軍事的圧力を強める中国などを念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」実現に向けて連携することを確認した。

バイデン政権になり、事務方の交渉が戻って来た

飯田)秋葉局長が就任後初めて、首都ワシントンを訪れています。他にもブリンケンさんと会談していますが、中国に対してというところです。

高橋)秋葉さんは外務省の方なのですが、外務省官僚から見ると、久方ぶりに「自分たちの仕事ができる」と思ったでしょうね。トランプ政権時代は、事務方の交渉はほとんどなかったですから。トランプさんと安倍さんがトップ同士で話をして終わってしまうでしょう。楽と言えば楽なのだけれども、もどかしい思いをしたのではないですか。しかし、バイデンさんになってから事務方に下ろすではないですか。相手側の国務省もブリンケンさんで、日本の外務省からすると昔からの知り合いですよね。

飯田)オバマ政権時代の国務副長官であったり。

高橋)だから、「ここは俺たちの出番だ」という感じになって、外務省の人は張り切っていると思います。

基本的にトランプ政権時代の路線のままの対中政策

飯田)ここへ来て、日本も安倍さんから菅さんに政権が変わった。

高橋)トップ同士でやるということはなくなって、事務方に下ろすというパターンです。いまのところバイデンさんの方も、対中政策が意外とブレていませんよね。

飯田)基本的に、トランプさんの敷いた路線のまま来ています。

高橋)バイデンさんがひっくり返すのではないかと思ったら、意外にバイデンさんは下に任せてしまっているから、そうではないですね。

飯田)息子さんが中国でビジネスをしていたこともあって、親中政権ではないかと言われていましたが。

高橋)もし、バイデンさんがイニシアティブを取ったらそうなのだけれども、バイデンさんは下に任せる人です。ブリンケンさんは親中ではないですから。

ケリー気候問題担当大統領特使の影響がどこまで出るか

高橋)ただ、ケリーさんの影響がどこまであるかというのが、いまのところのポイントですね。

飯田)環境問題の大統領特使という立場で、もともとは国務長官をやっていました。

高橋)「環境問題のはずがないでしょう」と思いますよね。政権の副大統領クラスだろうと思っていたのだけれども、いまのところ静かですよね。不思議です。

飯田)しかも、ケリーさんが国務長官をやっていた時代の部下であった国務副長官が、いまの国務長官のブリンケンさんということです。

高橋)普通に考えると、ケリーさんは親中だから、ブリンケンさんを使って事務方も親中になるのではないかという懸念はあったのですが、いまのところそんな感じはしないですね。

北京五輪の“外交的ボイコット”でさらに強まるバイデン政権の対中強硬政策

習近平氏、清華大学を視察(北京=新華社記者/鞠鵬)= 2021(令和3)年4月20日 新華社/共同通信イメージズ 写真提供:共同通信社

8月中にバイデン政権が新型コロナの起源の調査報告書を出す

飯田)中国としては当然、環境問題を突破口にしながら、何かやろうとしているわけですよね。

高橋)まだしていないのは、アメリカ国内の世論の反中ムードが高いからではないでしょうか。特に新型コロナの話がありますから。8月中にバイデン政権が新型コロナの起源の調査報告書を出します。その影響で、対中スタンスがそこで決まるかも知れません。WHOの報告書が出ましたが、「武漢の研究所は関係ない」と言っています。あれはひっくり返されると思います。最近CNNで、ハックしてデータを入手したなどというものが出て来たでしょう。あれはアメリカの政府関係者から出たのではないでしょうか。

飯田)ホワイトハウス周辺からのリーク。

正念場は北京オリンピック~アメリカは開会式に要人を出さない外交的ボイコットをする

高橋)8月いっぱいでウイルスの起源についての報告書が出るので、その布石ではないかなと思うのが普通ですよね。そうすると、対中ムードは違う側面からも厳しくなって来て、当面の正念場は北京オリンピックになると思います。政治的ボイコットはすると思います。政治的ボイコットは外交的ボイコットとも言いますが、開会式に要人を出さないということです。

飯田)今回の東京オリンピックでは、アメリカからはジル・バイデン大統領夫人が参加しましたが。

高橋)出ません。ソチでの冬季オリンピックレベルなのは間違いないと思います。

飯田)あのときは、オバマさんは行かなかった。

高橋)安倍さんは行ったけれどもね。北京オリンピックでは外交的ボイコットをすると思います。それ以上の話がどうなるかということがポイントで、そうすると対中政策が人権問題とウイルスの話から決まって来るような気がします。

北京オリンピックの外交的ボイコットによって対中強硬が決まる可能性も

飯田)ここのところ、武漢のウイルス研究所がずさんな管理であった等々という報道が、アメリカからもイギリスからも出ています。

高橋)政府の方がリークしているのですよ。中国のトップの人もアメリカに亡命しているので、そういう情報もたくさん入っている。そういうもので固めて、今度の8月の報告書がどうなるか。北京オリンピックを外交的ボイコットするとしたら、2021年内なのです。そこで方向性が決まるのではないでしょうか。そういうものに安全保障の話も加わる。対中強硬があれば、それとともに決まるような気がします。

飯田)議会公聴会などでも、北京オリンピックも含めて、オリンピックに対してお金を出しているスポンサー企業の担当者なりトップに近いところを呼んで、どういうつもりだと聞いたりしていますよね。

高橋)ジワリジワリとやっているのです。

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