ベストセラー書籍『ざんねんないきもの事典』シリーズの監修を手がける、動物学者の今泉忠明が8月22日(日)に放送された、女優・戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時~14時30分)にゲスト出演。父、兄、そして息子と親子三代に渡って動物学者の今泉が、子どもの頃に経験した生き物との関わり方や、そこで命の尊さに気付いた経験、そして、生き物に興味がある子どもの育て方について語った。
戸田:今泉先生は、小学生の頃からフィールドワークをされるお父さんと一緒に、高尾山に通って動物を採取されていたそうですね。
今泉:そうですね、まあ、手伝いですね。
戸田:お父さんは「生き物を見つけたらまず捕まえてみなさい」と話していたそうですね。
今泉:捕まえて種類を見極めるわけです。似ている動物はたくさんいますから、捕まえてよく見る。図鑑と比べてみて、これは何という動物なのか、しっかりと自分の頭に入れていくんです。
戸田:どんな生き物も、捕まえて必ず研究しなさいと。
今泉:それから、死んだ場合には標本にするんです。
戸田:標本……。それは、小さい虫とかそういうのを標本にするイメージはあるんですけど。
今泉:簡単ですよね。
戸田:でも、それでも私はちょっと勇気がいるけど、そうじゃない動物も標本に?
今泉:はい。犬も猫も。
戸田:ええっ! 本当ですか?
今泉:はい。教わるんです。子どもの時は好奇心でいっぱいだから大丈夫なんですよ。ある年齢の時にそういうことをやらないと、だめなんです。日本人はよく魚をさばきますよね?あれもやっぱり、大人になってからだとなかなか大変なんですよ。
戸田:確かに。
今泉:そういうことを経験すると「命って大事だね」って言われた時に分かるんです。やらないと言われても分からないですから。子どもというのは、穴から出てくるアリを、どんどん、どんどん踏みますよね。
戸田:うんうん(笑)
今泉:やかんに水をくんで来て、アリの巣の中にザーっと水を入れたりね、けっこう残酷というか……。
戸田:ああ、はい、そうですねぇ。
今泉:でも、それでアリのことを知るんです。そして、自分がちょっと大きくなってから「ああ、かわいそうなことをしたな」と。僕はそこが大事かなと思っているんです。
戸田:遊びながら覚えていくんですね。
今泉:そうですね。そこから優しさとかが生まれてくるのだと思います。
生き物と触れ合うことは、命の大切さや優しさを学べる機会になると語った今泉先生。ところが、最近は虫嫌いの子どもも多く、親が原因なことも多いという。
そもそも母親が「虫は気持ち悪いもの」と育てられてしまい、子どもの前でも「気持ち悪い!」と反応するケースが多いそうだが、これに今泉先生は「子ども達に対してはグッとこらえるんです。『ううー!』と思いながらも、しょうがない、子供が好きなんだから」とアドバイス。続けて「これは成長していく途中に通り過ぎる、通過点なんです。生き物に接することは。だから、多くの子どもが経験していくと、いい世の中になるかなと思っています」と、子どもと生き物の触れ合いを、大人は我慢して見守ってほしいと語った。
番組情報
女優・戸田恵子が大人のクオリティ・オブ・ライフ(上質で豊な生活)をエンジョイするための「人・モノ・コト」にフォーカスする番組です。
大人の会話が弾むプチトリビア、大人が生活に取り入れたくなる情報をお届けする30分。ぜひお付き合いください。