民主主義国家の与党が選挙でリーダーを選ぶことは「党利党略」なのか ~自民党総裁選

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月27日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。投開票が9月29日に決定した自民党の総裁選について解説した。

ニッポン放送「報道部畑中デスクの独り言」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

自民党の総裁選、9月29日に投開票で決定

自民党は9月末の任期満了に伴う党総裁選の日程を「9月17日告示、29日投開票」と決めた。再選を目指す菅総理大臣に対して、岸田文雄前政調会長が正式に出馬を表明した。

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岸田前政調会長)この度の自由民主党総裁選挙に立候補することを決意いたしました。信なくば立たず。自民党が国民の声を聞き、そして幅広い選択肢を示すことができる政党であることを示し、もって我が国の民主主義を守るために、自民党総裁選挙に立候補いたします。

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飯田)総裁選には他に、下村博文政調会長と高市早苗前総務大臣が出馬に意欲を示しているとのことです。なお、菅総理は9月中の衆院解散を見送る意向で、次の衆院選は10月以降になるとのことです。

民主主義国家の与党が選挙でリーダーを選ぶことは常道

飯田)今回はフルスペックと呼ばれますが、全国の党員・党友票と1人1票の国会議員票。同数383票同士、総数766票で争うという形のようです。

宮家)党内の選挙とは言え、事実上、総理が決まる可能性があるのだから、予備選的な要素があるわけです。それを私の立場上、「どちらがどう」というようなことは言いにくいので、そこはご理解いただきたいのですけれども、一般論として、民主主義国家の与党が、選挙でリーダーを選ぶということは常道です。憲政の常道というよりも、民主主義として当然でして、一つの意見があり、それに対し反論があり、それを皆が議論をするなかで結論が出て、方向性が見えて来る。これが普通のあり方だと思います。

新聞各紙の社説では

宮家)私は通常、やらないのですが、きょう(8月27日)は社説をいろいろと読んで来ました。ごく普通の新聞は何と言っているかというと、「活発な議論で信頼回復を図る」とか、

『(社説)開かれた自民総裁選で政権不信に応えよ』

~『日本経済新聞』2021年8月27日配信記事 より

宮家)……と。これなどは真っ当ですね。

飯田)日経ですか。

宮家)私が“大好きな”新聞があります。朝日新聞や毎日新聞です。ここは、

『(社説)自民党総裁選 菅政権1年の総括から』

~『朝日新聞デジタル』2021年8月27日配信記事 より

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『自民党の総裁選 首相の資質問い直す場に』

~『毎日新聞』2021年8月27日配信記事 より

宮家)……と言っています。勿論“大好き”なのですけれど、ちょっと違うかなという感じがするのですよね。更に、私が最も“大好き”な新聞である東京新聞に至っては、

『<社説>自民党総裁選 党利党略の日程設定だ』

~『東京新聞 TOKYO Web』2021年8月27日配信記事 より

宮家)……と。よくわからないのだけれども、「党利党略の日程設定」って、政党のなかでやるのだから、党利党略に決まっているではないですか。

飯田)そうですね。

宮家)私は、“最も大好きな”新聞ですからカチンと来たわけじゃないんですが、「党利党略」とおっしゃるけれども、こうやって党の中できちんと党員まで入れて公明正大な選挙をやってリーダーを選んでいる。これ、民主主義の基本中の基本ですよね。

飯田)はい。

宮家)名前は言いませんが、最近頑張って横浜でも票を伸ばしたという「きょう」何とかいう政党。あそこに党利党略はあっても(公明正大で民主的な)委員長選挙はないではないですか。リーダーの方、長いですよ、彼も。公開選挙による交代もない、すごい政党ですよね。それが民主政党なのかなと私はこれを見て思ってしまいました。“最も大好きな”新聞の社説に触発されたのですからそれ以上は言いたくないんですけれども。予備選をすることの弊害はアメリカにもあるわけです。しかし、できるだけ多くの人が現実を見て、そして難しい現実のなかで選挙でリーダーを選ぶということは当たり前のことです。それをやっていない人たちとは違うなという気はします。

民主主義であればリーダーを替えることも必要

飯田)今回、フルスペックでやるということになると、地域によって事情が違ったり、新型コロナについても事情が違うところもありますが、政策で議論しなくてはならないのはそれだけではありません。安全保障もありますし。

宮家)政権の安定ということも、日本にとって大事なことです。同時にリーダーを替えるということも民主主義であれば必要です。フルスペックでやるということは、国会議員だけとは違う民意が表明される可能性があると思う。しかし、いまのような状況のなかで、リーダーを替えるべきのか替えないのか、党員1人1人が責任を感じながら判断して投票をするというのは、あるべき姿だと思います。それを「党利党略」と言われることは、少し違うのではないかなという気もします。

現実的にしっかりと将来のことを考えて欲しい

飯田)当然ながら、党員の方は特にその先の選挙を意識しながら票を入れる。実際の選挙になれば、自分たちが手足となって働く人たちですから。

宮家)危機感もあります。危機感は選挙のこともありますが、コロナの問題は世界各国共通の問題です。ですから、日本だけが特別ではないということを考えると、やはり現実的にしっかりと将来のことを考えて投票して欲しいですね。

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