西側選手の北京五輪不参加の可能性も ~新型コロナの起源が公開へ
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月25日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。バイデン政権が求めていた新型コロナウイルスの起源の調査報告書が近日中に公開されるというニュースについて解説した。
新型コロナの起源~数日中に公開へ
バイデン政権がアメリカの情報機関に求めていた新型コロナウイルスの起源の詳しい調査をめぐって、機密内容を含む報告書がまとめられ、機密内容を精査した上で数日中に公開されることがわかった。
飯田)武漢のウイルス研究所から流出した説や、市場などから動物を介して人に感染して来た説などがあるようですが。
高橋)医学的な話をすると、短期間にはっきりとした答えは出にくいのだと思います。ただ、それ以外の話がたくさん出て来そうですよね。いまでもいろいろなリークがあるではないですか。明らかに情報合戦をしているなという感じがしますけれども。中国の研究所をハックしたとかね。
飯田)ハッキングしたと。
高橋)率直に言えば、あそこのデータベースが全部公開されると、かなりのデータがわかるはずなのだけれども、中国は「公開しない」とずっと言っているでしょう。だから、アメリカがやる必要があるのだけれど、中国からすれば、本当に違っていたのならば、公開してしまえば学術的なものなので、それで済んでしまうのです。
中国がいつ存在を知り、適切な情報公開をしたか~「情報公開しなかった」ということは大きなダメージになる
高橋)でもそこは公開しない。これから先も公開しないだろうという予想のもとで行くと、生物学的な話は結論がつきにくいけれども、少なくとも「いつ知って、そのときに適切なディスクロージャー(情報公開)をしたか」と。これは行政的な話なのですが、それくらいは言えそうな気がしますけれどもね。「いつ知ったか」というのが、最初は(2020年の)1月という話だったけれど、どんどん前倒しになっています。
飯田)(2019年の)11月くらいに、研究所の職員が体調不良になったとか。
高橋)そこできちんとディスクロージャーしなかったというだけで、中国にとってはダメージが大きいですよね。たぶんそういう方向だと思います。医学的、生物学的な話は諸説あって、なかなか決定付けられない。データベースを見ないとわからないので、「ディスクロージャーしなかった」というのが中国の答えのような気がします。
飯田)なるほどね。
武漢研究所を支援していたオバマ政権~「知っていたのに適切に世界に言わなかった」という答えがバイデン政権にとっても無難
高橋)下手にやると、アメリカも前に武漢研究所にかかっていたから。
飯田)お金を出していた。
高橋)オバマ政権のときに支援していたから、自分のところに火の粉が来てしまう可能性もあるのです。そうすると、「わかっていたのに言わなかった」というのがいちばん無難な答えになるのです。
飯田)しかも、アメリカ国内ではできない、ある意味危険な実験を武漢だったらできるということで、お金も出したというような。
高橋)オバマ政権のときの話になると、バイデンさんは副大統領だったでしょう。そういうときに自分に返って来てはいけないと考えれば、「一昨年(2019年)の暮れのかなり早い段階でわかっていた。ただし、そのときに適切に世界に言わなかった」というのが、答えとしては無難になるのです。
飯田)そのような政治的な思惑もあるとなると、なかなか真相まで行き着くようなものではなくなって来ますよね。
高橋)データベースを塞いでしまったら、真相解明はまず難しいです。遺伝子がどのように変わって行ったかというのは、データベースがあれば、少しずつわかるはずなのです。そうすると、どこが起源かということは、統計的な意味で推計できます。しかし、データベースがなければ無理です。証言だけでは科学的な答えにはなりません。そういう意味では、先ほどのディスクロージャーというか、開示をしなかったという方向に持って行く方が、みんなの落ち着きがいいのですけれどもね。
飯田)行政手続き論というか、そこの瑕疵(かし)のようなものとか。
高橋)そこまで行けば、少なくともWHOの報告書は完全になしにできるでしょう。WHOの方も医学の人だから、データベースを出せという方向に最後は行かざるを得ないのです。中国側がそれを隠していたと。ある程度のときにデータベースをシャットダウンしたのは事実ですから。それは、研究のデータベースとしてはまずいですよね。
飯田)学術の世界では。
高橋)学術の世界はオープンでないといけません。それが建前だから、そこに持って行くのは簡単ですよね。医学的な論争を引き起こしてもなかなか答えは出ないですから。
飯田)なるほど。そうすると、報告書で終わるというよりは。
高橋)終わらない。これから先も続きます。これが打ち上げでしょう。今後どう追い詰めて行くかということだと思います。
飯田)WHOも先日なかに入って、お手盛りの形だということが批判されていますが、一応は調査をしたと。第2回の調査を求めていますが、中国は拒否していますね。
高橋)要するにデータベースと同じです。アメリカのバイデン政権の報告書に、WHOの流れも変えるということが1つあって、ジワジワと追って行くのではないですか。
北京オリンピックでは選手のボイコットの可能性も
飯田)事務局長の任期もそろそろ切れるそうです。
高橋)アメリカはアフガンから退くということを決めていますからね。対中に力を注ぐ。次の関心は北京オリンピックになります。いまのままだと、ジェノサイドがあって、もしコロナの話も疑い濃厚ということであれば、外交ボイコットで留まるのかという話ではないですか。外交ボイコットというのは、開会式に政府要人が行くか行かないかということです。これはソチと同じように行かないと思います。ただ、実際問題、それで終わるかどうかというのが次のポイントではないでしょうか。
飯田)そうすると、選手をどうするのかと。
高橋)モスクワ五輪のときも、決定したのは3~4ヵ月前なのですよね。11月くらいかな。その辺りが山になるのではないですか。8月末に今回の調査報告が出るでしょう。それからまたジワジワと出て来て、秋くらいにまた山が来る。その前にも何回か来ると思いますけれども、そのときに中国がどう出るのか。北京五輪をやりたければ、かなり妥協するとは思いますけれども。
飯田)出方次第だというところで。
高橋)そうですね。だから、そのときにハッキングしたということが重要な話で、本当は知っているということでしょう。
飯田)なるほど。
高橋)でも、「本当は知っている」というのをどこまで言うのか、よくわかりませんが。
飯田)アメリカがどこまで掴んでいるかというのは、当然言わないですよね。
高橋)駆け引きがこれから行われると予想しますけれども。
北京の代替大会があれば札幌の可能性も
飯田)モスクワ五輪のときの記憶には、涙の会見があります。アスリートの方々が政治に翻弄されたということがありましたが、よく調べてみると、イギリスなどは、国としては出さなかったけれども、オリンピック委員会代表というような感じで、選手を派遣した西側諸国もあったのですよね。
高橋)でも、北京五輪だとかなりの打撃になりますよね。冬季オリンピックは、出場選手がほとんどヨーロッパやアメリカ、カナダなどではないですか。だから、北京になると少しのことでもガラッと様相が変わるのではないでしょうか。冬季オリンピックの方がいろいろスポンサーがついているでしょう。代替大会があればすべてオッケーなのだけれども、日本は札幌が候補地になっているから、心のなかですぐに手を挙げる準備をしておいた方がいいと思いますよ。同じアジアだから移行は簡単だと思います。
飯田)もともと、2026年というところを目指している。
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