東京都医師会副会長・角田徹 ~アストラゼネカ製ワクチンの注意点
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東京都医師会副会長で感染症担当、「角田外科消化器科医院」院長の角田徹氏が9月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。現在のワクチン接種状況とアストラゼネカのワクチンについて解説した。
ワクチン接種が急がれる40代~50代
飯田浩司アナウンサー)新型コロナウイルスの感染状況について、さまざまな角度からお話しいただきましたが、急がれるのはワクチン接種です。現在の接種状況はいかがでしょうか?
角田)高齢者の方々を先行してやる。これは重症化予防のためにやっていまして、9割近い方が終わっています。他の世代を含めると、まだ4割前後ということで、もっとワクチンの接種を加速させなければいけないと思っています。
飯田)これから急がなければならないのは、特に40代~50代ということになりますか?
角田)現在40代~50代の人が重症化しています。年齢とともに重症化率が高くなります。その年代の人を中心に、ぜひ進めて行きたいと思っております。
10月中には希望者全員に打てるワクチンが届く
飯田)その辺りの方々は現役世代も多く、時間的にも余裕がないなど、いろいろな形で予約がひっ迫しているところもあると聞きますが、なかなか広がって行かないという感じですか?
角田)希望者はいらっしゃるし、現場にも連絡はあるのです。しかし、ワクチンの供給が決められたスピードでしか来ないので、希望者全体にすぐに対応できないのです。ただ、10月中には希望者全員に打てるワクチンが届きますから、ぜひ焦らないで、必ず受けていただきたいと思います。
飯田)焦らず、諦めずというところですか?
角田)感染対策をしながら、自分の順番を待っていただきたいと思います。
アストラゼネカのワクチンの特徴
飯田)現在、ファイザーとモデルナのワクチンが使われていますが、それにプラスしてアストラゼネカのワクチンも接種が始まるということです。このワクチンはどういうもので、どういう人に適しているのでしょうか?
角田)アストラゼネカが3つ目のワクチンです。「ウイルスベクターワクチン」という、いままでのmRNAとは違うワクチンで、冷蔵庫で保存できます。有効率はいままでのファイザーやモデルナよりは少し低くて、だいたい76%くらいと言われているのですが、十分な有効性があるので使っていただきたい。ただ、ごく少数ですが、若い人を含めて血栓、血の塊ができてしまうということが言われています。非常に少ないリスクなのですが、より慎重にやっていただきたいと思います。
飯田)事前の問診、健康管理を慎重にやるということになりますか?
角田)そうですね。加えて、打ったあとの健康管理ですね。
ワクチン接種がさらに伸びれば、別の世界が必ずやって来る
飯田)緊急事態宣言の発出条件が変更になるという話が出て来ていますが、ワクチン接種が増えて、社会全体で抗体ができる、免疫ができるということになると、社会全体も変わって来る可能性がありますか?
角田)変わると思います。ワクチンを打つことによって、感染症に罹らない、または重症化しないということになると、一種の風邪の延長、インフルエンザ並くらいの存在になります。そうなれば、感染防御のもと、社会生活を元通りに戻すことが可能になります。
飯田)いまは、胸突き八丁くらいのところに来ているわけですかね。
角田)ワクチン接種が高まる前に、巨大な第5波が来てしまったので、いまはいちばん辛い、厳しいところだと思います。ここを乗り切って、ワクチン接種をさらに伸ばせば、別の世界が必ず来ると思います。
この波を乗り越えれば、次に世界が開かれる
飯田)最後にリスナーの皆さんに向けて、先生からメッセージをお願いします。
角田)いまも相変わらず第5波が来ていますけれども、自分は罹らない、自分は大丈夫だと、そう思ってしまっている人も多いと思います。しかし、この感染症は自分のこととして捉えていただきたい。そして3密を避け、マスク、手洗い、換気などを、より厳密にやっていただきたいと思います。この波を乗り越えれば、次の世界が開けますので、もう少し頑張っていただきたいと思います。
番組情報
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます