SL型の新作駅弁で、日光・鬼怒川の紅葉と一緒に「煙分補給」!
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
最近は鉄道旅を楽しむことを“鉄分補給”と言ったりしますが、なかでも蒸気機関車(SL)の旅を楽しむことを、モクモク上がる煙にちなんで、“煙分補給”なんて呼んだりしますね。懐かしの汽笛の音、煙の匂い、カタンコトンと心地よい揺れ。汽車には電車・気動車にはない独特の情緒があります。そんな汽車旅を彩る新作駅弁が、いま続々登場しています。今回は、日光・鬼怒川エリアで販売される名物駅弁の新作バージョンをご紹介!
懐かしいSLの旅で味わう新作駅弁(第1回/全3回)
いよいよ秋本番。各地の鉄道沿線でも稲刈りが進みます。頭を垂れた稲穂と列車の姿を一緒に収められるのは1年の間でもいまの時期だけ。しかも、SLの運行日が好天に恵まれれば、それは素晴らしい旅の思い出になることでしょう。この日は、東武鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉間で運行されている「SL大樹」が、会津西街道の杉並木をバックに、黄色に染まった田んぼのなかを、控えめに煙を上げながらゆっくり駆け抜けていきました。
平成29(2017)年に運行を開始した「SL大樹」。現在は、下今市~鬼怒川温泉間を約35分かけて、ほぼ毎日2~4往復しています。東武鬼怒川線では前身の下野電気鉄道時代から汽車が運行されてきました。なかでも、新高徳駅から国鉄東北本線・矢板駅へ分岐していた東武矢板線では、昭和34(1959)年の廃止まで、客車と貨車を一緒に連結した「混合列車」として蒸気機関車が牽引する列車が走っていたといいます。
「SL大樹」の蒸気機関車は、これまでJR北海道から借り受けたC11形207号機が1両で活躍してきましたが、令和2(2020)年12月からは、同じ北関東の真岡鐵道で「SLもおか」として走っていたC11形325号機が加わりました。207号機は前照灯が2つの“カニ目”に対し、325号機は標準的な1つの前照灯ですので、見れば違いはすぐわかります。どちらの機関車が充当されるかは、公式サイトで客車と共に予定が発表されています。
SLの復活運行によって、日光・鬼怒川エリアの駅弁も、賑やかなラインナップとなりました。なかでも日光鱒鮨本舗が製造する「SL大樹日光埋蔵金弁当」は石炭を入れるシャベルを模したスプーンに「C11207」の刻印が入った人気駅弁。今年(2021年)8月7日からは、蒸気機関車型の容器に入った「SL大樹日光埋蔵金弁当プレミアム」(2000円)が、復活発売されて話題を呼んでいます。
【おしながき】
・日光鱒寿し(高根沢産コシヒカリの酢飯、鱒、ゆば)
・金色シャベルスプーン(C11207刻印入り)
・金色大樹の刃(C11325刻印入り)
今回の「SL大樹日光埋蔵金弁当プレミアム」には、日光・鬼怒川を代表する駅弁の1つ、「日光鱒ずし」が丸ごとドーンと入りました。真っ黒なSL型容器から飛び出すサーモンピンクはじつに鮮やか! 栃木・高根沢産コシヒカリを使った酢飯には、日光らしく「ゆば」が入って、うま味たっぷりの米と鱒に、心の汽笛が高らかに響きそうです。さらに埋蔵金とSLにちなんだ「金色シャベルスプーン」、寿しをカットするための「金色大樹の刃」も封入。“大樹の刃(やいば)”とは時代を反映した上手いネーミングです。駅弁は「時代を映し出す鏡」ですから世の中の話題への“ノリ”も、とても大事な要素なのです。
10月1日にはSL2両でけん引する重連運転が行われたり、新たに展望車が連結されることも発表されるなど、話題性もたっぷりの「SL大樹」。日によっては、東武日光発着の「SL大樹ふたら」として運行されたり、2両の蒸気機関車を活かして、東武鬼怒川線内でSL列車同士がすれ違う風景が見られたりと、懐かしさもたっぷりの汽車旅が楽しめます。日光・鬼怒川の紅葉シーズン、SLもしっかり組み込んで“煙分補給”もお忘れなく!
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/