米中対立の新しいラウンドの始まり ~米中首脳オンライン会談

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月19日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。オンラインで行われた米中首脳会談について解説した。

米中対立の新しいラウンドの始まり ~米中首脳オンライン会談

あいさつする中国の習近平国家副主席(当時、右)と、バイデン米副大統領(当時)=2011年8月19日、北京市内(共同) 写真提供:共同通信社

米中首脳オンライン会談

バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は11月16日、オンライン形式で初の首脳会談を行った。

飯田)オンライン形式で開かれた米中首脳会談ですが、どうご覧になりましたか?

宮家)狐と狸の腹の探り合いという感じです。細かいことについては言いたいことがたくさんあるのですけれども、今は、首脳レベルで初めて話をしたとしか言えません。いままでの状況を見ると、トランプさんの時代辺りから米中関係は悪くなりましたね。

飯田)トランプさんが突然いろいろなことをやって。

宮家)ですから、中国側も不信感を持っています。バイデンさんも中国の動き、台湾や南シナ海、日本に対しての行為については気にしています。お互いに相手は「一体何を考えているのだ」ということです。この種の話は下のレベルでやっていても仕方がない話で、首脳レベルでお互いを理解しないといけないため、ようやく会談できたということです。

「エスカレートしないように、ガードレールをどうつくるか」を確認した会談 ~お互いに進展を期待してもいなかった

宮家)「歴史決議」が中国でありました。あれが数日前ですから、習近平さんは中国国内でさらに権威を高めた上で臨んだということなのでしょう。

飯田)歴史決議をして。

宮家)中国側は中国側で、よく考えてタイミングを狙っている。結局は、お互い降りる気がまったくないのですけどね。中国側はアメリカの大統領が何を考えているのか知りたい。バイデンさんは台湾についていろいろと言っているし、米特殊部隊も訓練と称して台湾に駐留させているし・・・。

飯田)海軍の船は台湾海峡も超えて。

宮家)アメリカ側も、「中国が台湾周辺で色々手を出しているから」ということで出方を探っているわけです。では米中は決定的になるかと言ったら、決定的になる気はお互いにありません。会談が終わった直後、アメリカの高官が「報道に値するような話はなかったけれど、この競争を管理して、変な方向へ行かないようにガードレールをどうつくったらいいのかということを話した」、「これに尽きる」と言っているわけです。

飯田)エスカレートしないように。

宮家)中国側の方は少し違っていて、「会談はよかった、前向きだった」と言っています。それはそうでしょう。習近平さんには「失敗だった」などとは言えないですからね。

飯田)やる以上は必ず成功するということですね。

宮家)「悪かった」と中国は言えないのだけれども、進展があったとは思いません。お互い、進展を期待してもいなかったと思います。アメリカが新しい政権になり、特に台湾をめぐっては、緊張激化までは行かないけれど、嫌なことがお互いにたくさん起きている。ここは相手の腹を探って何を考えているか、競争しながら、どうやって暴走しないようにするかということを確認した程度だと思います。この会談は新しいラウンドの始まりだと、冷静に見るのがいいと思います。

米中の新しいラウンドの始まり

飯田)宮家さんは米中間のエピソードがいくつもあるという話をされていました。1つ物語が変わったということですか?

宮家)バイデンさんはこの間、「台湾防衛のコミットメントがある」という話をしたのですが、今回の会談のあとも、「台湾は独立している」などと言っているのでしょう?

飯田)発言釈明についての報道もありました。

宮家)それが確信犯か、本音か、ボケているのかはわからないけれども、私はボケてはいないと思います。

飯田)新たな曖昧戦略ではないかという話がありますよね。バイデンさんが踏み込んで、事務方がその火を消すという。

宮家)曖昧戦略でこの地域の安定を確保して来た、これで台湾に対して手を出さないように中国を抑止して来たわけです。それが今どう変わったのか、変わらなかったのか、を見分けるということだと思います。

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