安全保障の見識がない人には国政を任せられない ~立憲民主党代表選
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月29日放送)に元内閣官房副長官補・同志社大学特別客員教授の兼原信克が出演。11月30日に投開票となる立憲民主党の代表選について解説した。
立憲民主党の代表選
11月19日に告示された立憲民主党の代表選は30日の臨時党大会で投開票が行われる。代表選には逢坂誠二元総理補佐官、小川淳也元総務政務官、泉健太政調会長、西村智奈美元厚生労働副大臣の4人が立候補している。
安全保障の議論をする人がいない ~外務省は神様ではない
飯田)先日、候補者4人の方々に日替わりでインタビューをさせてもらいました。30日に投開票され、新しい代表が決定するという運びですが、どこに注目されていますか?
兼原)中国など周りの環境が厳しいので、安全保障の見識がない人には国政を任せられないですよね。政権を取るのであれば、安全保障についてしっかり勉強して欲しいと思います。「反権力は正義」というような人たちだったので、安全保障にずっと反対して来られましたけれども、4人のなかで安全保障を議論している人がいないですよね。そこはお任せというか。「誰に任せるのか? アメリカですか?」という話です。
飯田)交渉や外交努力をするというような。
兼原)私は外務省におりましたのでわかりますが、外務省で働く人々は普通の人間ですから、ダメなところもたくさんあるのです。外交が壊れたとき、戦争にならないように自衛隊が出て来て、「やめましょうね」と言って、また外交に戻るのです。自衛隊の部分については考えなければいけません。「外務省がすべてやってくれるという考え方は無理です」ということを申し上げたいです。
飯田)何でも交渉で打開できるという。
兼原)それは逃げているだけです。話し合っても、言うことを聞かない人は山ほどいます。
飯田)特に日本の周りには。
兼原)外務省はすぐ最後に、「相手がありますから」と言いますが、それは「もうダメですから」という意味なのです。そうなったあとにどうするのかということを考えないと、言うことを聞かない国はたくさんありますよ。みんなが言うことを聞くと思ったら大間違いですからね。
飯田)むしろ、言うことを聞いてくれる国の方が少ない。
兼原)少ないですよ。
平均すると日本の首相の任期は2年足らず
飯田)そのなかで回して行かなければいけないことを考えると、対中国も含めて、いろいろ私も質問したのですが、「フワフワ」した感じの方が多かったという印象があります。
兼原)明治150年です。岸田さんは101代の首相で、平均すると、日本の総理大臣は2年もやっていないのです。2年やっていない人が、国家の運営などできません。座った瞬間から総理をやってもらわないといけないのです。「フワフワ」された方に総理になられると、役人はすごく困ります。「何をやりたいのか」「何をするのか」を言ってくれないと。「いまから考える」と言われて安全保障に対応されたら、国が滅んでしまいます。
政権の大切な仕事の1つは防衛・治安
飯田)そこの部分は、政権を取る前から準備しておかなければいけない。
兼原)役所の方は自衛隊や外務省など、「すぐにブリーフしてくれ」と言われたら飛んで行くのですが、バタバタしているうちに、すぐ1年経ってしまいます。そこでまた交代と言われ、全部入れ替わってしまうわけでしょう。2年しかやらない国などないですよ。平均2年ですよ。もう少し権力というものを真剣に考えなければいけないと思うし、いちばん大事な仕事の1つは防衛・治安ですから。きちんとやる気になっていただかないと困ります。
「反権力が正義」はやめるべき
飯田)政党のなか、あるいは近いところにシンクタンク的な機能が不足しているし、そもそも養われないという環境に。
兼原)「反権力が正義」だという方向性をやめてもらわなければなりません。文句を言っていればいいという考え方は、もうやめなければいけないと思います。そんな野党は誰も支持しません。政権を取ってもらわないと野党ではないし、政権を取ったときに「やるべきことをやる」と言わないと。「何でも反対」はもうやめた方がいいと思います。
飯田)今回の総選挙でも、政策提言をしていた国民民主や維新に票が流れたというのは、そういうところがあったのかも知れないと。
兼原)あったと思います。高度成長期には何でも反対で反権力で、お金をバラ撒けばいいという時期もありましたが、そんな時代は30年前に終わっているのです。
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