【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1034回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、現在公開中の『クライ・マッチョ』と『真夜中乙女戦争』をご紹介します。
映画館で観たい!『クライ・マッチョ』 ~クリント・イーストウッド、監督としても俳優としてもまだまだ現役!
俳優として、半世紀以上にわたり第一線で活躍。そして監督としても、2度のアカデミー賞に輝くなど、多才ぶりを発揮し続けているクリント・イーストウッド。
彼の監督50周年を飾るアニバーサリー作品『クライ・マッチョ』が、劇場公開されています。クリント・イーストウッドにとって集大成にして新境地を開いた1作が、日本中に静かな感動を呼び込んでいます。
『クライ・マッチョ』のあらすじ
かつては数々の賞を受賞し、ロデオ界のスターだったマイク・マイロ。落馬事故をきっかけに落ちぶれてしまい、いまでは孤独な独り暮らしを送っていた。
ある日、マイクは元雇い主から「メキシコにいる息子ラフォを連れて来て欲しい」と依頼される。犯罪スレスレの誘拐とも誤解されかねない行為。それでも、元雇い主に恩義を感じているマイクは引き受けることにする。
ラフォは男遊びに夢中な母に愛想をつかし、闘鶏用のニワトリ“マッチョ”とともにストリートで暮らしていた。そんな彼を車に乗せ、アメリカ国境への旅へと向かうマイク。しかしメキシコ警察や、ラフォの母が放った追っ手がやって来て……。
『クライ・マッチョ』のみどころ
主人公のマイク・マイロを演じたのは、もちろんクリント・イーストウッド。
自らハンドルを握って運転し、馬にまたがり、ダンスを踊る。91歳とは思えないほどの溌剌としたその姿からは茶目っ気や色気さえ感じられ、“これぞスター”といった輝きと貫禄が。
一方、心を閉ざす少年を相手に自らの弱さや老いをさらけ出す、繊細な演技は絶品。人間の持つ“本当の強さ”とは何かを、見事に体現しています。
そしてクリント・イーストウッド映画の魅力と言えば、名台詞。これまでの作品でも観る者の心を震わせる印象深い台詞がありましたが、本作でも含蓄ある言葉が数多く登場します。
あるときは人生の師のように、またあるときは気心の知れた相棒のように。何気なく口にする彼の一言一言に、希望の光を見出す人も多いことでしょう。
監督としても俳優としても、まだまだ現役! クリント・イーストウッドが“いま”だからこそ放つ、かっこよさに触れてみて。
コチラも映画館で観たい!『真夜中乙女戦争』 ~自分自身をも破壊させる、恋と戦争
10代・20代から圧倒的な支持を集める、新鋭作家Fの小説を完全映画化。いまを生きる若者が漠然と抱く悩みや不安、そして退屈を、詩的な言葉とスタイリッシュな映像美で描き出した青春サスペンス。
恋と破壊に溺れて行く主人公・私を永瀬廉が好演。これまでにないダークな役柄で、俳優としての新たな魅力を発揮しています。
作品から放たれる危ういほどの美しさに、きっとあなたは魅了されるはず。
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『クライ・マッチョ』
絶賛公開中
監督・主演・製作:クリント・イーストウッド
原作:N・リチャード・ナッシュ「CRY MACHO」
脚本:ニック・シェンク、N・リチャード・ナッシュ
製作:アルバート・S・ラディ、ティム・ムーア、ジェシカ・マイヤー
出演:クリント・イーストウッド、エドゥアルド・ミネット、ナタリア・トラヴェン、ドワイト・ヨーカム、フェルナンダ・ウレホラ
原題:Cry Macho
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
公式サイト crymacho-movie.jp
『真夜中乙女戦争』
2022年1月21日(金)から全国ロードショー
出演:永瀬廉(King & Prince)、池田エライザ、篠原悠伸、安藤彰則、山口まゆ、佐野晶哉(Aぇ!group/関西ジャニーズ Jr.)、成河、渡辺真起子、柄本佑
脚本・監督・編集:二宮健
原作:F「真夜中乙女戦争」(角川文庫刊)
音楽・撮影:堤裕介
主題歌:ビリー・アイリッシュ「Happier Than Ever」(ユニバーサル インターナショナル)
配給:KADOKAWA
(C)2022『真夜中乙女戦争』製作委員会
公式サイト https://movies.kadokawa.co.jp/mayonakaotomesenso/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/