【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1028回】
画像を見る（全16枚） 『ラストナイト・イン・ソーホー』
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X（トーキョー シネマ クラウド エックス）」。
今回は、Netflixにて全世界配信中の『浅草キッド』と、12月10日公開の『ラストナイト・イン・ソーホー』をご紹介します。
『浅草キッド』
お家で観たい！『浅草キッド』 ビートたけしと“伝説の師匠”、普及の名作小説が映画に
芸人としてだけでなく、映画監督、俳優、画家など、マルチな才能を持つ“唯一無二の天才”ビートたけし（北野武）。そんな彼と師匠・深見千三郎との交流を綴った自叙伝「浅草キッド」が、ついに映画となりました。
多くの人気芸人を育てながらも、自身はテレビにほとんど出演しなかったことから“幻の浅草芸人”と呼ばれた師匠・深見千三郎との出会い。個性あふれる仲間たちと過ごした日々。そして芸人・ビートたけしが誕生するまでを描き出した、珠玉の青春ムービーです。
『浅草キッド』
『浅草キッド』のあらすじ
昭和40年代の浅草。大学を中退し、“ストリップとお笑いの殿堂”と呼ばれていた浅草フランス座のエレベーターボーイをしていたタケシは、深見千三郎のコントに惚れ込んで弟子入りを志願。
東八郎や萩本欽一といった人気芸人を育てて来た深見から、タップダンスやコントの技術、裏方としての進行、そして「笑われるな、笑わせろ」という芸人の矜持まで、“芸ごと”の真髄を叩き込まれて行くタケシ。歌手を目指す踊り子・千春や深見の妻・麻里に見守られながら、飛躍的に成長して行く。
しかし、テレビの普及とともにフランス座の客足は減り、経営は悪化するばかり。やがてタケシは、フランス座の元先輩・キヨシに誘われ、漫才コンビ「ツービート」を結成。深見の猛反対を押し切ってフランス座を飛び出し、人気を獲得して行く……。
『浅草キッド』
『浅草キッド』のみどころ
主人公のタケシを演じたのは、柳楽優弥。喋り方や歩き方、その一挙手一投足から“ビートたけし”が垣間見え、決してモノマネではないそのタケシ像は、観る者を圧倒。天才がゆえの孤独や笑いへの狂気を体現しています。
そして、タケシの師匠である深見千三郎役は大泉洋。ぶっきらぼうだけれど独自の世界観を持つ、昭和浅草の芸人を人情味豊かに好演。大泉洋の新たな魅力を見出す人も多いことでしょう。
共演には門脇麦、鈴木保奈美、尾上寛之、風間杜夫など、実力派俳優が集結。また、のちにタケシとツービートを結成することになるキヨシ役を、本作が映画初出演となるナイツの土屋伸之が演じているのも必見です。
『浅草キッド』
監督・脚本を務めたのは、自身も芸人、作家、俳優とさまざまなジャンルで活躍する劇団ひとり。
タケシと深見の師弟愛をエモーショナルに描くと同時に、夢に向かって突き進む青年の姿を鮮やかに映し出し、“天才ビートたけしの物語”を普遍的な青春ストーリーにまで昇華させた手腕はお見事。
そして「ビートたけし所作指導」として松村邦洋がクレジットされているところからは、ひとり監督の本作にかける本気度と茶目っ気が感じられます。
その当時を知っている人はもちろん、“世界のたけし”しか知らない人にこそ観て欲しい。芸の原点が、ここにあります。
（左）『浅草キッド』／（右）『ラストナイト・イン・ソーホー』
映画館で観たい！『ラストナイト・イン・ソーホー』 レトロモダンな新感覚ホラー
『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督最新作にして、最高傑作の呼び声が高い1作。1960年代と現代。異なる時代に生きる2人の女性の“夢”と“恐怖”がシンクロするタイムリープ・サイコ・ホラー。
まるで登場人物たちとともにソーホーの街中に迷い込んだかのように、観客をも巻き込んで行く。ポップでミステリアスな“旅”に、あなたも出かけてみて。
この記事の画像（全16枚）
『浅草キッド』
『浅草キッド』
2021年12月9日（木）Netflixにて全世界独占配信
原作：ビートたけし「浅草キッド」
監督・脚本：劇団ひとり
主題歌：桑田佳祐「Soulコブラツイスト～魂の悶絶」（タイシタレーベル／ビクターエンタテインメント）
出演：大泉洋、柳楽優弥、門脇麦、土屋伸之、中島歩、古澤裕介、小牧那凪、大島蓉子、尾上寛之、風間杜夫、鈴木保奈美
配信：Netflix
公式サイト netflix.com/jp/title/81317135
『ラストナイト・イン・ソーホー』
『ラストナイト・イン・ソーホー』
2021年12月10日（金）からTOHO シネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開
監督・製作・脚本：エドガー・ライト
脚本：クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
製作：ニラ・パーク、ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
出演：トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー＝ジョイ、マット・スミス、ダイアナ・リグ、シノーヴ・カールセン、マイケル・アジャオ、テレンス・スタンプ、リタ・トゥシンハム、ジェシー・メイ・リー、カシウス・ネルソン
原題：LAST NIGHT IN SOHO
配給：パルコ ユニバーサル映画
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公式サイト https://lnis.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者：八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/
