【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1022回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、11月3日から公開の劇場版『きのう何食べた?』と、11月5日から劇場公開&Netflixにて配信の『ボクたちはみんな大人になれなかった』をご紹介します。
映画館で観たい!劇場版『きのう何食べた?』 大切な誰かと一緒に、ごはんを食べる幸せ
よしながふみによる人気漫画をドラマ化した『きのう何食べた?』。
2019年4月に放送されるやいなや、Twitterの世界トレンド1位を獲得するなど、深夜ドラマ枠としては異例の大ヒット。ドラマの放送終了後には“何食べロス”を訴える人が続出するなど社会現象を巻き起こした人気ドラマが、待望の映画となりました。
劇場版『きのう何食べた?』のあらすじ
仲睦まじい同居生活を送る、弁護士の筧史朗(通称シロさん)と、美容師の矢吹賢二(通称ケンジ)。2人にとって食卓を挟みながら過ごす夕食の時間は、日々の出来事を語り合う大切なひとときだ。
ある日、史朗の提案で、賢二の誕生日プレゼントとして京都旅行へ出かけることに。しかし、この旅行がきっかけで、2人はお互いの胸の内を明かすことに躊躇いを覚えるようになる。
そんななか、仕事帰りの史朗は偶然、地元の商店街を歩く賢二を目撃する。声をかけようとするが、何とその隣には若いイケメンが。
当たり前だったはずの平穏な日常が、少しずつ変化して行き……。
劇場版『きのう何食べた?』のみどころ
料理上手で几帳面なシロさん役の西島秀俊、その恋人で人当たりの良いケンジ役の内野聖陽。
ダブル主演のお二方をはじめ、小日向大策役の山本耕史、井上航役の磯村勇斗、さらにはマキタスポーツ、田中美佐子、梶芽衣子といったドラマ版からのキャストが続投。人気キャラクターたちがスクリーンでも、その個性を発揮しています。
また劇場版からの新キャストとして、イケメン美容師・田渕剛役の松村北斗(SixTONES)が参加。シロさんとケンジの仲を揺るがすキーパーソンとして、モテキャラ男子を好演しているのにも注目ですよ。
男性同士のカップルのお話でありながら、本作で描かれているのは、日常のささいな出来事を紡いだ“ごく普通”の物語。
仕事のこと、親との関係性、将来への希望や不安。本作を観るうちに彼らが持つ悩みや想いは、等身大の私たちが抱くそれと、まるで大差ないことに気付かされる人も多いことでしょう。この共感こそが、原作漫画、ドラマ、そして劇場版へとつながって行くほど、“何食べ”が多くの人に支持される所以ではないでしょうか。
そして身にしみて感じるのが、誰かと一緒にごはんを食べることの大切さ。普遍的なメッセージが随所に散りばめられた、いまこそ観るべき1作です。
映画館orおうちで観たい!『ボクたちはみんな大人になれなかった』 胸によみがえる、いちばん好きだった人の記憶
さまざまな世代の心を掴み絶賛された、作家・燃え殻のデビュー作品を実写映画化した『ボクたちはみんな大人になれなかった』。
インターネットや携帯電話が普及するよりも以前。そして、SNSで誰とでも瞬時につながることができる現在。1990年代半ばからコロナ禍にかけての“人との関わり方”の変遷を、時代を彩るカルチャーとともに映し出した秀作。このエモさ、最高!
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■劇場版『きのう何食べた?』
2021年11月3日(水・祝)から全国東宝系にてロードショー
出演:西島秀俊、内野聖陽、山本耕史、磯村勇斗、マキタスポーツ、高泉淳子、松村北斗(SixTONES)、田中美佐子(友情出演)、チャンカワイ、奥貫薫、田山涼成、梶芽衣子
原作:よしながふみ『きのう何食べた?』(講談社「モーニング」連載中)
監督:中江和仁
脚本:安達奈緒子
主題歌:スピッツ「大好物」(ユニバーサルJ/ユニバーサル ミュージック)
配給:東宝
(C)2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 (C)よしながふみ/講談社
公式サイト https://kinounanitabeta-movie.jp/
■『ボクたちはみんな大人になれなかった』
2021年11月5日(金)より、シネマート新宿、池袋シネマ・ロ サ、アップリンク吉祥寺ほかロードショー&NETFLIX全世界配信開始
出演:森山未來、伊藤沙莉、萩原聖人、大島優子、東出昌大、SUMIRE、篠原篤
原作:燃え殻「ボクたちはみんな大人になれなかった」(新潮文庫刊)
監督:森義仁
脚本:高田亮
音楽:tomisiro
配給:ビターズ・エンド
(C)2021 C&I entertainment
公式サイト https://www.bokutachiha.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/