バイデン大統領が岸田総理と対面会談しない「いくつかの理由」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月24日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。1月21日に行われた日米首脳テレビ会談について解説した。

2022年1月21日、バイデン米大統領と首脳テレビ会談を行う岸田総理~出典:首相官邸HP(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202201/21kaidan.html)

オンラインでの日米首脳会談が開催

1月21日、岸田総理とバイデン大統領によるオンラインでの日米首脳会談が行われた。会談では日米とオーストラリア、インドによる「クアッド」の首脳会合を日本で開催することでも一致。米政府高官はバイデン氏が来日する意向であることを明らかにし、時期は晩春になるとの見通しを示した。

飯田)オンライン形式での日米首脳会談となりました。バイデンさんと対面で行うことを目標にしていると報じられていましたが、結果、オンラインになりました。

須田)岸田総理になってから、昨年(2021年)の11月中に訪米する方向で進めて来ました。しかし、アメリカサイドから、「いまはそのタイミングではないでしょう」というような言われ方をして、実現できなかった。とは言っても、日本に対して腹に何か大きな一物があるということではなく、バイデン大統領自身が議会対策に追われていたからです。

議会対策に追われるバイデン大統領 ~いまの状況のなかで対面で会談しても成果は出ない

須田)ホワイトハウスの議会対策というと、本来であれば上院議長を兼ねる副大統領のカマラ・ハリス氏が行うのですが、とにかく人気がない、調整ができない、能力も不足しているということで、大統領自身が出て行かざるを得ないという状況です。

飯田)そうなのですね。

須田)逆に言えば、「早く早く」と言い続けて来た結果、アメリカサイドから「いまバイデンさんが置かれている状況がわかっているのか」と逆ギレされているのが実情です。

飯田)歳出に関する法案や、中間選挙を前にして選挙の投票に関する法案などが続々通らないという状況になっていますよね。

須田)そうなのです。目玉政策は何も動いていないという状況があり、とても厳しい。そのようななかでアメリカに行っても、何か成果が出ることはないだろう、「そこをよく考えてくれ」ということなのです。

安全保障に関しては中身をチェックしただけ

飯田)なるほど。安全保障などがいろいろと出て来ていますが、オンラインでの会談はどうなのでしょうか?

須田)「会って会談を開かなければ出ない結果なのですか」と言えば、別に会わなくてもこのような方向で進むわけですので、ほとんど中身はないのだろうと思います。

飯田)いままでの流れを確認したということでしょうか?

須田)そうですね。何か成果を出したということよりも、中身を確認して、1つひとつチェックしたということなのだと思います。

「年内も含めてできるだけ早く」と日米首脳会談に関しての言い方が変わった首相官邸

須田)1つ気になるのは、日米首脳会談に関して、日本の首相官邸の言い方が変わって来たことです。2021年~2022年の年初にかけては、「できるだけ早く日米首脳会談をする」と言っていましたが、ここへ来て、「年内も含めてできるだけ早く」という方向に変わりました。

飯田)まだ1月ですよね。

須田)12月まではまだ相当あります。まだ見通しがまったく立っていないということです。2つ目としては、「早期の会談はできない」という状況になって来たのかなと思います。

飯田)それは日本側というよりは、むしろアメリカ側の事情でしょうか?

須田)アメリカ側の事情ですし、もう1つは、いま岸田さんに会っても意味がないということです。岸田さんも参議院選挙を早く勝利して磐石の構えを取り、「長期政権になりますよ」というところを示さないと、なかなか本気で相手にしてもらえないのではないでしょうか。

2日、英グラスゴーで記者会見するバイデン米大統領(ロイター=共同) =2021年11月2日 写真提供:共同通信社

まだ岸田政権の存在をまだ認めていないアメリカ

飯田)お互い2022年は選挙を抱えているわけです。アメリカは中間選挙ですし、日本でも参院選がある。それが終わるまでは、本腰を入れるわけにはいかないというところでしょうか?

須田)日本としては、アメリカは最大の同盟国なので、早く信任を得ておきたいところですが、アメリカ側の判断としては、岸田政権がいつ終わるのかわかりませんし、合意をしたところでそれがどうなるのかもわからない。ましてや、自分の足もとも揺れ動いている。いま会ったところで、ただ会うだけになってしまうのだと思います。

バイデン大統領と会えないことが国内で否定的に捉えられる可能性も

飯田)日本側としては、直接会うことによって、国内というよりは国外にメッセージを送りたいという思いが当然あるわけですよね。

須田)国外というよりも国内において、アメリカ側の全面的な信頼感というか、太いパイプで結ばれているような状況を示すことが、岸田さん自らの求心力にもなります。会談の目処が立たないということは、「岸田さんは大丈夫なのか」と否定的に捉えられる可能性があります。

クアッドの首脳会談の際にバイデン大統領との対面での会談を

飯田)さらに安全保障の部分でいうと、日米、インド、オーストラリアを加えたクアッドの首脳会談は、2022年前半に日本で開催するという方針が出て来ていますが、対面でやるような方向になって行くのでしょうか?

須田)二国間(バイ)での対面の日米首脳会談が開かれない以上、マルチという枠組みのなかでやろうではないかということです。「それならばアメリカも来てくれるのではないか」という苦肉の策なのです。対面で行えば時間もあると思うので、その間に日米首脳会談をやりたい、それでお墨付きをもらったという形を取りたいということです。

飯田)クアッドの首脳会談の間に。

須田)岸田さんが訪米し、バイデン大統領の別荘にも行き、できれば晩餐会もして、というフルスペックの日米首脳会談というよりも、とにかく会うことを積み重ねて行こうという方向です。

飯田)先日のサミットのときは、立ち話だったということがありましたよね。

須田)あれはとりあえず日本のメンツを立てたということなのだと思います。

対中交渉において「日本はカードにならない」という認識のアメリカ

飯田)なるほど。次は椅子に座り、国旗を背にしてやる。さらにその先として、年内にアメリカに行くという感じでしょうか?

須田)日本側の、特に中国に対するスタンスが曖昧ですよね。アメリカの民主党の関係者に話を聞くと、日本が置かれている問題として、地理的に中国に近く、安全保障上かなり緊迫しているということも含めて、事情はわかるのだけれど、それにしてもセンスがないのではないかと言っています。

飯田)センスがない。そうすると、アメリカ側としては腹にそれ程大きな一物はないにせよ、積極的に前に行くというスタンスでもない。

須田)アメリカにとっての対中交渉として、日本はカードにならない。そのような認識を持たれたということは大きいですよ。

飯田)もう既にそのような認識を持たれてしまいましたか?

須田)持たれていますね。

日本のスタンスが明らかになっていない ~今後は日本よりもオーストラリアを重視するアメリカ

飯田)いろいろと報道されているなかで、東アジアの戦略として、アメリカはオーストラリアを重視するのだという話が出て来ていますが、そのようなスタンスになって行くのでしょうか?

須田)アメリカ、特に民主党が重視しているのは、「西太平洋」という地理的概念です。北に日本、南にオーストラリアがあるのですが、やはりオーストラリア重視というところで、オーストラリアとの連携を強化して行くということになる。

飯田)オーストラリアとの連携を。

須田)では、「日本の役割はどうなのですか」というところで、中国に近い北の西太平洋なのに、日本のスタンスが明らかになっていない。西太平洋という地理的概念でこれから進めて行くので、非常に重要なポジションなのですが。

飯田)軍事面でも第7艦隊の司令部は日本にありますし、アメリカ側からすると、いろいろと地政学的には使いたいのだけれど、という感じなのでしょうか? それが日本にとっての国益になるのかというところもありますが。

須田)国益には反していると思います。

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