ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(2月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。2月20日に閉幕した北京冬季オリンピックについて解説した。
北京冬季オリンピックが閉幕
中国・北京で開催されていた北京冬季オリンピックが2月20日、閉幕した。出場選手の活躍の一方、今回の大会は中国の政治的な意図が指摘されるなど、さまざまな思惑が交錯。今後の中国の動向に注目する。
新行)今回の北京冬季オリンピックについて、どのように感じましたか?
須田)中国のオリンピックの政治利用が指摘されていますが、政治利用する意欲満々で、それを大前提として今回の冬季オリンピックが使われてしまったということが言えると思います。
オリンピックの時期に行われたプーチン大統領と習近平国家主席のウクライナについての協議
須田)習近平体制の3期目へ向けて、総仕上げのようになっていたのではないかと思います。開会式を見ると、世界の分断が露わになってしまった。中国やロシアなどの全体主義国家は、アメリカやヨーロッパ、日本などの西側諸国と上手くやって行こうというつもりが毛頭ないのだと。「俺たちは俺たちでやって行く」というメッセージを強く出して来たと思います。
新行)全体主義国家が。
須田)今回の開会式には、外交的ボイコットということで西側の首脳は誰も行かなかった。それに対して集まったのは、独裁国家であり全体主義国家という国々でした。そしてプーチン大統領と習近平国家主席による対面での会談が行われている。ウクライナ情勢がこれだけ緊迫しているなかで、中身はわからないけれども、プーチン大統領と習近平国家主席の間でウクライナについて協議が行われた。それでウクライナに対する軍備が増強されているわけですから、「共同歩調を取って行こう」ということを、明らかにメッセージとして出したわけです。それをオリンピックでやった。
新行)オリンピックの開催中に。
今後、西側諸国では行われにくくなるオリンピックの開催 ~お金の問題で国民から出る批判
須田)今回の冬季オリンピックの最終候補地として、残った場所が2つありました。1つは中国・北京で、もう1つはカザフスタンのアルマトイです。カザフスタンは1993年から議会がないのです。独裁政権がずっと続いている、中国以上に強烈な国家です。機能してはいませんが、曲がりなりにも中国には全人代がありますから。
新行)そうですね。
須田)そういう全体主義国家のどちらを選ぶかという、究極の選択ですよ。ただ、オリンピックのようなビッグイベントというのは、独裁国家の方がやりやすいのでしょう。例えば、日本で札幌に冬季オリンピックを招致しようということになれば、「そのお金を誰が負担するのか、また国民負担か」というように、お金の問題で批判が出るではないですか。
新行)出ますね。
須田)次の冬季オリンピックはイタリアで行われますが、日本だけに限った話ではなく、西側諸国であれば、国民の間から膨大な費用に対する批判が出ます。だから、やりにくい。今後、オリンピックの開催は、場合によっては独裁国家、全体主義国家に限定されてしまう可能性もなきにしも非ず。この問題はよく考えるべきだと思います。
スウェーデンのニルス・ファンデルプール選手がIOCを批判
新行)北京オリンピックに出場した選手の、帰国してからの発言がニュースになっています。スピードスケート男子で2冠を獲ったスウェーデンのニルス・ファンデルプール選手が帰国後、地元紙に「歴然と人権侵害をしている国にオリンピックの開催権を与えるのは極めて無責任だ」と発言しています。
須田)そういう批判はIOCにも向かっているのだけれど、ならば、どこが引き受けてくれるのかということです。批判しているあなたが所属している国は、手を挙げないではないですかと。そういう国際オリンピック委員会(IOC)の開き直りも聞こえて来るようですが、その辺りが今後の課題になるのではないでしょうか。
「国民の安全を国が守る」ということに希薄な日本
新行)北京オリンピック・パラリンピックが終わったあと、中国の動きがどうなるのかというところで、メールもいただいています。ラジオネーム“セブンスター”さんからです。「中国で50代の日本人男性が拘束された件、早期釈放を求めるというレベルでいいのでしょうか。これまで何度も拘束されているケースがあるようですが、この先もよくわからない理由で拘束されることが続いても、同じ対応なのでしょうか」という意見です。
須田)日本政府は国益、領土や国民の安全を守ることに希薄というか、そこに対するこだわりや強い意志がまったく見受けられない。国民の生命、財産、安全というものをどうやって守ればいいのか、「そのためには外交的な対立も辞さず」という毅然としたスタンスが出て来ないですよね。
オーストラリアの哨戒機が中国軍の艦艇からレーザー照射を受ける ~オーストラリアはどう対応するのか
新行)オーストラリアの哨戒機が、中国軍の艦艇からレーザー照射を受けたというニュースもありました。
須田)そういう批判を受けると逆上して、軍事的挑発に打って出るというのが中国のやり方だけれども、そういう国は多いです。ロシアもそうですしね。では、そういうときにどうするのか、オーストラリアの今後の対応を見ていただきたい。日本も韓国から同じようなことをやられたけれども、腰砕けになるではないですか。何とか事態を穏便に済ませようとするわけです。
新行)そうでした。
須田)それが国際社会から「日本はよく我慢した」と評価されるのかどうか、よくよく考えるべきだと思います。レーザー照射されたことに対してオーストラリアがどう対応するのか、注目していただきたい。おそらく日本のような弱腰の対応は取らないと思います。
この記事の画像(全1枚)
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。