『余命10年』『永遠の1分。』いまこの瞬間を生きる! 命の尊さに触れる映画たち

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1040回】

(左)『余命10年』/(右)『永遠の1分。』

画像を見る(全13枚) (左)『余命10年』/(右)『永遠の1分。』

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画・ドラマを発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、3月4日に公開された『余命10年』と『永遠の1分。』をご紹介します。

『余命10年』

『余命10年』

映画館で観たい!『余命10年』 ~夭逝した著者の想いがスクリーンに……

不治の病に冒された20歳の主人公が、死に向かって精一杯生きる姿が描かれたベストセラー小説「余命10年」。

作者の小坂流加さんは、大学卒業後に原発性肺高血圧症を発症。それでも執筆活動を続け、この「余命10年」で待望の小説家デビューを果たしたものの、文庫版の発売を待たずして38歳という若さで逝去されました。

そんな生と死に対し真剣に向き合った小坂さんの“想い”が読者に届いて、多くの人に支持されている1作が待望の実写映画となりました。SNSでも大反響を巻き起こした恋愛小説が、今度はスクリーンを通じて感動の輪を広げています。

『余命10年』

『余命10年』

『余命10年』のあらすじ

高林茉莉、20歳。彼女には、心に決めていることがある。それは、恋だけは絶対にしないということ。数万人に1人と言われる難病を抱える茉莉にとってその決断は、生きることに執着しないことを意味していた。

そんなとき、茉莉は同窓会で、かつて同級生だった真部和人と再会。これをきっかけに、2人は急接近する。

自身の病を隠して、どこにでもいる20代の男女のように和人との楽しい時間を重ねる茉莉。彼女に残された“10年”が、大きく変化して行く……。

『余命10年』

『余命10年』

『余命10年』のみどころ

自らの余命を知り、もう恋はしないと誓いながらも和人に惹かれて行く茉莉役は小松菜奈。

生と死を常に見つめ続けている茉莉は、生半可な気持ちでは演じられないであろう、難しい役どころ。そんな彼女の心情を丁寧に表現し、“演じる”というよりも全身全霊で“生き切った”と言い表すべく名演をみせています。

そして、小松菜奈とともにダブル主演を務めたのは、坂口健太郎。生きることに迷い、自分の居場所を見失いながらも、茉莉と出会うことで運命を大きく変えて行く青年を、情感たっぷりに体現しています。

共演には山田裕貴、奈緒、黒木華、松重豊、原日出子、田中哲司、リリー・フランキーと、日本映画界を代表する実力派たちが勢揃い。

また実写映画の劇伴を手がけるのは初となるRADWIMPSが、10年にわたる2人の物語に音で寄り添っていることも、本作の見どころならぬ“聴きどころ”となっています。

『余命10年』

『余命10年』

メガホンを取ったのは『新聞記者』や『ヤクザと家族 The Family』など、次々と話題作を発表している藤井道人監督。茉莉と和人が過ごした時間を四季の移り変わりとともに描くため、撮影は約1年かけて行われました。

彼らが過ごした“当たり前の日常”は、平凡であればあるほど愛おしく、美しく映し出され、まるでドキュメンタリーを観ているかのような錯覚を覚えるほどにリアル。

いま、この瞬間と向き合って生きることの尊さが心に刻み込まれる感動作です。

『永遠の1分。』

『永遠の1分。』

コチラも映画館で観たい!『永遠の1分。』 ~“笑い”がもたらす“癒し”のチカラ

東日本大震災のドキュメンタリーをつくるために来日した、アメリカ人映像ディレクター。被災地で出会った演劇の舞台をきっかけに、コメディ映画を制作することを思いつくが、暗雲が立ち込めてしまい……。

『カメラを止めるな!』の上田慎一郎が脚本、そして同作で撮影監督を務めた曽根剛がメガホンをとったヒューマンドラマ。

東日本大震災から11年。あの大惨事を題材にコメディ映画を撮るとは、何て不謹慎なんだ! そんな“お叱り”を受けてしまいそうなテーマながら、“笑い”を通じて“痛み”を共有して行く、そのストーリー展開はお見事。

これまで発表された“3.11映画”とは異なる色合いを持つ良作です。

『余命10年』

『余命10年』

『余命10年』

大ヒット公開中!
出演:小松菜奈、坂口健太郎、山田裕貴、奈緒、井口理、黒木華、田中哲司、原日出子、リリー・フランキー、松重豊
原作:小坂流加「余命10年」(文芸社文庫NEO刊)
監督:藤井道人
脚本:岡田惠和、渡邉真子
音楽・主題歌:RADWIMPS「うるうびと」(Muzinto Records/EMI)
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2022映画「余命10年」製作委員会
公式サイト https://wwws.warnerbros.co.jp/yomei10-movie/

『永遠の1分。』

『永遠の1分。』

『永遠の1分。』

1446: An Eternal Minute
2022年3月4日(金)から全国ロードショー
出演:マイケル・キダ、Awich、毎熊克哉、片山萌美、ライアン・ドリース、ルナ、中村優一、アレクサンダー・ハンター、西尾舞生、渡辺裕之
監督:曽根剛
脚本:上田慎一郎
音楽:鈴木伸宏、伊藤翔磨
主題歌:Awich「One Day」(ユニバーサル ミュージック)
助成:文化庁「ARTS for the future!」
特別協力:久慈市
協力:宮古市、陸前高田市、野田村、岩泉町、釜石市、大船渡市、気仙沼市、石巻市、南三陸町、女川町、東松島市、松島町、いわき市
配給:イオンエンターテイメント
(C)「永遠の1分。」製作委員会
公式サイト https://eien1min.com/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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