ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月9日放送)に政治学者の岩田温氏が出演。投開票が開始される韓国大統領選挙について解説した。
韓国大統領選挙 ~コロナ禍のなか投開票
韓国の向こう5年を率いて行くリーダーを選出する大統領選挙が、3月9日に投開票を迎える。有権者は約4420万人。朝6時~夜7時半まで、全国1万4464ヵ所の投票所で投票が行われる。
飯田)保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンヨル)候補と、左派系与党「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)候補の接戦というような報道もされています。ここでは、政治学者の岩田温さんに話を伺います。
反日路線が強い李候補
飯田)韓国大統領選の行方について、岩田さんはどうご覧になっていますか?
岩田)接戦ということで、どちらが勝つかを予想できる段階ではないと思います。日本国民として、またアジアの平和秩序を考えると、「国民の力」の尹候補が当選した方がよかろうという希望は抱いています。
飯田)外交政策等を見ると、尹氏の方が米韓関係も含めて重視するという姿勢ですか?
岩田)間違いなくその通りだと思います。「共に民主党」の李候補は反日路線が強すぎるので、日韓関係がますますおかしな方向に進んでしまうのではないかと思います。
飯田)かなり反日で親北だという話が出ています。
岩田)昔、問題発言だとされていたのが大韓民国、つまり現在の韓国について、「韓国の建国自体の正当性に意義がある」というようなことを言ったのです。要するに親日勢力を一掃できなかったという意味の発言です。
飯田)少しでも親日だという人は、パージされるようなことになりますか?
岩田)それに近いですよね。
「初心者だから、これほどロシアを刺激してしまったのだ」とゼレンスキー大統領を批判した李候補 ~若い人がどのような評価をするか
飯田)今回、若い人たちがキーだとも言われていますが、その辺り、どちらの候補が有利になるのですか?
岩田)お互いにSNSを活用して若い世代を取り込もうとしています。李候補はウクライナ問題について、「ゼレンスキー大統領が初心者だから、これほどロシアを刺激してしまったのだ」と言って、ウクライナの指導者を批判したのです。これを若い人たちがどう思うか。「自分の国の大統領となる人が、ウクライナの指導者を批判した」ということをどう評価するのか、興味深く見ています。
飯田)「命を守るために、ウクライナはすぐに降伏するべきなのだ」というような言説が、日本国内でも出て来ます。リーダーを選ぶときに、そういう言説を語っている人は指導者としてどうかという資質の問題になりますか?
岩田)まさにそうですし、過去の歴史を見たら、占領されたあとにどれだけ酷いことをされるのか。そういう事実をご存知ないまま国政のトップになろうというのは、問題があるだろうと言わざるを得ないですね。
李候補を支持するということは、ウクライナ問題を真剣に考えていないということ
数量政策学者・高橋洋一)ウクライナ情勢は、韓国の大統領選挙に影響はあるのですか?
岩田)影響があるかどうかはわかりませんが、注目はされていて、李候補は批判されました。
飯田)その辺りは「韓国も平謝りになればいいのか」というようなことになるわけですね。
岩田)韓国の人たちが、もし仮に李候補を支持する、若い世代がとりわけそれを支持するということになると、ウクライナ問題について、あまり真剣に考えていないのだと思わざるを得ないですね。
「国際秩序を乱したのはどちらか」という大原則に立つべき
飯田)ウクライナ情勢に関しても岩田さんはいろいろ発信されていますが、情報工作は各国で行われているということですか?
岩田)情報工作は間違いなくロシアとウクライナの間であると思いますが、それ以前の問題として、いまある「国際秩序を乱したのはどちらか」という大原則に立たなければいけません。国際政治の基本ですけれども。
飯田)どちらが国際秩序を乱したのか。
岩田)まずはロシアに対して、「プーチン大統領、やめなさい」と言うことが大前提であるのに、それを強調するより前に「ロシアにもロシアなりの言い分があるのだ」ということを言いたがる人がいます。しかし、それはロシアの代理人として発言しているとしか思えませんね。
飯田)「どちらにも言い分が」などと言うと、一見すれば公平、中立のように見えますが。
岩田)それが罠であり、警察と泥棒がいたとき、「泥棒の理由をまず聞こう」とはなりません。まずは捕まえなくてはいけないわけですから。そこが理解されていないことが悲しいですね。
台湾問題に影響するウクライナ情勢 ~韓国の人がどう判断するか
飯田)いまのウクライナとロシアの位置関係や力関係は、東アジアにも当然影響して来るわけですよね。
岩田)もちろんです。最も影響があると思われるのは台湾問題です。そのときに、韓国はいままでの文在寅政権のように、親北路線を継続して行くことがいいのかということです。我々から見ると、ここが最大の争点に見えるのですが、どのような判断を韓国の人たちが下すのかどうかが今回のポイントではないでしょうか。
李候補が当選した場合、日本は大変なことになる
飯田)選挙の結果による日本への影響もさまざま出て来ますね。
岩田)出て来ますね。特に李候補が仮に当選することになったなら、先ほど申し上げた通りです。常軌を逸したと言っていいくらい、反日路線が強い方ですから、大変なことになるだろうと思われます。
飯田)岩田さん、朝早くからどうもありがとうございました。
戦争を起こすときの3要因が似ている“ロシアとウクライナ”と“中国と台湾”
飯田)ウクライナ情勢が各国の政治にいろいろな影響を与えて来るということですが、日本にも影響が出ますか?
高橋)それはそうでしょう。ロシアとウクライナの関係と、中国と台湾の関係はそっくりですよね。同盟に入っているか、入っていないか。相手が非民主国家かどうか。そして、国防費のバランスが取れているか、取れていないか。そっくりですよ。ロシアがウクライナにしたことを、中国が台湾にしても不思議ではありません。
飯田)高橋さんはプリンストン大学で国際関係についても研究されていました。そのリスクが高い組み合わせであると。
高橋)いま言った3つなのです。同盟であるかどうか、軍事費のバランスがどうか、あとは相手国が非民主国家かどうかということが、戦争を起こすときの要因として大きいのです。その3つを比べると、中国と台湾、ロシアとウクライナは似ています。
習近平氏が軍を海外派遣する根拠法を整備へ
飯田)中国では全人代が開かれていますが、習近平氏が「海外関連の軍事活動に関する法治作業の加速」を指示したということです。各紙小さく報じられていますが、これは大きなニュースです。
高橋)その軍をどこに投入するのか。「ヨーロッパではないでしょう」と思うわけです。
飯田)どこに人民解放軍を投入するのかと。
高橋)いちばん近いところでしょうという。
飯田)そうすると、世界中が何か風雲急を告げているような。
高橋)日本は3正面作戦かも知れませんね。尖閣と北方領土、北朝鮮と。
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