ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月15日放送)に経済アナリストのジョセフ・クラフトが出演。岸田総理が参議院予算委員会の集中審議のなかで、国連安全保障理事会の改革に意欲を示したというニュースについて解説した。
岸田総理大臣が国連安全保障理事会の改革に意欲を示す
岸田総理大臣は3月14日の参議院予算委員会の集中審議のなかで、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関し、「国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアの暴挙は、新たな国際秩序の枠組みの必要性を示している」と述べ、各国と連携して国連改革に取り組む考えを示した。
飯田)自民党・青山繫晴氏の質問に対する答弁でした。過去にフランスが、大規模な残虐行為が起きたときに拒否権を制限しようという案を提案していて、100ヵ国以上が賛成していると。それを進めるべきではないかという提案をしております。
改革が進まない国連 ~拒否権の問題も
クラフト)これは必要なのですけれども、実態として国連ではなかなか改革が進まないのです。期待はしたいのですが、現実的にできるかどうかは難しいでしょう。
飯田)常任理事国のロシアが今回の暴挙に出たというところで、改革案に関しても、フランス以外の常任理事国はみんな反対という感じでした。ロシアはともかくとして、他の国々をどう説得するかですよね。
国連の経費を2番目に多く支払っている日本 ~国連の枠組みを変えるタイミング
クラフト)ただ、今回のロシアの暴挙によって世論が変わって来ていますので、改革するタイミングではあります。もう1つは国連の経費です。国連経費のなかで、日本が拠出している金額は2番目に多いのです。常任理事国でもないのに。それだけお金を出している以上は、発言権もあって当然です。今回、日本が改革を先導して行くことも大事だと思います。
飯田)結局、先の大戦の戦勝国とされる、特に大きく貢献した国々がそのまま常任理事国になっているということを考えると、そういうレジームはもうチェンジして行くタイミングでもあります。
クラフト)もう戦後70年以上が経っていますから、国連の枠組みを改めて次の世代に構築するいいタイミングだと思いますね。
特別決議によって「それぞれの国の立ち位置がわかった」ことは重要なポイント
飯田)機能不全というのは前々から言われていて、拒否権の問題もかなり前から言われています。今回も対露決議をやろうとすると、拒否権が出ました。だからこそ総会での緊急決議に持って行ったということがありましたけれども、この辺りの動きはどう見たらいいですか?
クラフト)今回の特別決議で、加盟193ヵ国のうち、141ヵ国が賛成、35ヵ国が棄権ということになりました。「結局、最後にロシアが反対して、意味がないではないか」という声もありますが、今回の決議の重要なポイントは、それぞれの国が今回のウクライナ侵攻に対する立ち位置をはっきりさせたことです。誰が反対、誰が賛成。そしてどこが棄権、中立なのか。
飯田)それぞれの立ち位置はわかりました。
クラフト)今回棄権した国々をある程度説得しながら、圧力を掛けて切り崩して行くためにも、「誰がどの立場に立っているのか」を知ることができたのは大きいと思います。
UAEを取り込むことができなかった欧米諸国 ~ロシアの「オリガルヒ」がUAEに逃げている
飯田)安保理での対露決議に反対・棄権した国で、そのあとの総会決議でも棄権しているのはインドや中国です。アラブの国々のなかには、安保理では棄権したけれども、総会では賛成した国もあるようですね。
クラフト)アラブ諸国は揺れているのです。インドを賛成に回すことは、相当難しい。重要なのですけれども。
飯田)インドを賛成に回すのは。
クラフト)今回、バイデン政権あるいは欧米諸国が失敗したのは、アラブ首長国連邦(UAE)を完全に取り込めなかったことです。また、ロシアの「オリガルヒ」と呼ばれるプーチン大統領の下で巨万の富を築いた新興財閥が、UAEに逃げているのです。
飯田)欧米の制裁から逃れようと。
クラフト)トランプ政権にはいろいろ問題がありましたが、中東をうまくまとめていました。しかし、バイデン政権は中東との関係が悪い。そういうところで足並みが揃わないという問題があり、今回も同じことが起きています。中東を取り込む重要性が浮き彫りになったという感じですね。
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