数量政策学者の高橋洋一が4月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。5月下旬に予定されているバイデン大統領の訪日について解説した。
バイデン大統領、拉致家族との面会調整へ
産経新聞によると、アメリカのバイデン大統領が5月下旬の訪日に合わせ、北朝鮮による拉致被害者家族と面会する方向で日米両政府が調整していることがわかった。バイデン氏はクアッド首脳会合が見込まれる5月24日前日の23日に拉致被害者家族らと面会する方向で調整が進められている。
飯田)来日したアメリカ大統領は、オバマ氏やトランプ前大統領も、拉致被害者家族の方々と面会しています。特にトランプさんは……。
高橋)国連の演説でもきちんと言いましたよね。
飯田)親身に話を聞いていたということです。
「核の傘が破れたときにどうするのか」という議論もしてもらいたい
高橋)バイデンさんには北朝鮮対策など、いろいろとやってもらわなければいけません。本土まで届くミサイルを北朝鮮が開発したと言われていますが、どうしたらいいのかという感じになりますよね。「本土まで届くのならば、アメリカは手を出さない」ということが風評になっています。
飯田)核の傘が破れるのではないかという話も出ていますね。
高橋)「核の傘が破れたときにどうするのか」という議論もしてもらいたいです。核の傘も、本当に差してくれるのかどうかもわかりません。核の話について、日米の協議がいまありますが、これもどこまでやっているのかよくわかりません。基本的に現状はお願いベースですし、アメリカの核について、原則として日本はわからないのです。ですから、核シェアリングで運用を共有するという考えがあれば、同盟関係も強くなって戦争確率も減ります。いまこそやって欲しいですね。
AUKUSに日本が参加できれば、原子力潜水艦をレンタルすることもでき、抑止力は高まる
飯田)「抑止力をどのように高めるのか」ということが、1つの大きな手段にもなります。
高橋)AUKUSに日本が参加できれば、原子力潜水艦を日本がレンタルすることもできるので、抑止力は高まります。ただ、このような形にすると、「逆に戦争に巻き込まれるのだ」という人の意見が多くて困っています。
飯田)原潜をレンタルすると。
高橋)安保法制のときから私は、「同盟を強化して防衛費を高めれば、戦争確率は減る」ということを過去の数量分析で言ってきましたが、そのような話を日本ですると、違和感を持たれるのには驚きます。
核シェアリングの議論があるべき
飯田)抑止の話で言えば、北朝鮮はアメリカ本土に届くミサイルを持ったと言っています。悲観的に見れば、備えるべきはそこですよね。北朝鮮は日本に近いところにあり、短距離ミサイルはもう何百発も日本を狙っている。1980年代には、当時のソ連が「アメリカには届かないけれども、ヨーロッパには届くミサイルを配備するぞ」と、ユーロミサイルを開発した。それが核シェアリングのきっかけになったのですよね。
高橋)議論としては核シェアリングがあって普通なのです。NATO型の核シェアリングができないというのはその通りで、ヨーロッパは地続きなので、全然違うタイプの核シェアリングしか日本では議論できません。
飯田)NATOの場合は、戦略爆撃機などで持って行くという形を取っていますが、日本の場合には海があります。
高橋)軍事的な選択肢を考えると、海があるから原子力潜水艦を使うしかないのです。そうすると原子力潜水艦の共有という話になるのですが、「そのような議論すらしない」と、いまの自民党のなかの一部の人は言いますよ。「議論をする」と言っている人もいますが、言うのであれば、「公約に出してください」と私は常に言っているのです。公約で出して言えば、国民もよくわかるではないですか。議論するかしないかの公約だから簡単だと思うのですが、やってくれるのかどうかもわかりません。
原子力潜水艦を共有できないのであれば、どこを強化すればできるのか ~特定秘密保護法で不十分なのであれば、どこを強化すればいいのか
飯田)日本が原子力潜水艦を共有するのか、あるいは独自のものを持つのかというところですが、その場合は技術情報なども含めて、どのように情報を保全するのかという話にもなります。
高橋)共有でもそうですよね。それが同盟関係を強化する手段になります。同盟関係は強化した方がいいと思っている立場なので、共有できるのかできないのか、議論をして欲しいですね。できないのであれば、何が不十分なのか。共有できないということは、関係が強くない同盟になります。それを強化するにはどうすればいいのかなど、いろいろな具体策が出てきます。日本に必要な法制で、いまの「特定秘密保護法」だと不十分なのであれば、どこを強化すればいいのかという具体的な話もできるようになります
飯田)「経済安全保障推進法案」が衆院を通過してきました。衆議院での議論を見ていると、一部ではセキュリティクリアランス制度を日本でもつくって、機密情報にアクセスできる資格をきちんと審査するべきだというような話もありました。これは人権に絡むところでもあり、批判も多いですね。
政府のなかでのスパイ防止法のようなものをつくる
高橋)そうですね。いまの民間の話は経済安全保障だから近いと思います。政府のなかだけで秘密をどのように扱うのか。特定秘密保護法をバージョンアップした方がいいと思います。
飯田)まずはそこからやっていく。
高橋)政府の方がきちんとしないと、アメリカ政府が信用してくれなくなったら、同盟は弱くなってしまうのです。もう少し、政府のなかのスパイ防止法のようなものをつくった方がいいという感じはします。
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