自由民主党・広報本部長の河野太郎衆議院議員が4月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国の動向と世界平和を守るための日本の役割について語った。
ロシアに対する経済制裁を継続させる ~さらにどこを強めるべきか
飯田)ウクライナ情勢がここまで深刻化してくると、日本にかかる期待も大きくなるし、行って話さないといけなくなることも、この先必要になりそうですよね。
河野)ウクライナ情勢は、もうしばらく続くのだろうと思います。ウクライナから逃げてきているウクライナ国民を、いまは周りの国が受け入れ、コミュニティで支えていますけれども、そのコミュニティを国際社会が支えていかなければならないと思います。
飯田)この先を考えると、ロシアに対して、国際社会としてもそうですが、打つ手は限られてきますか?
河野)いまのところ、経済制裁をしっかりと強化していくことが大事なのだと思います。ロシアの国内経済が疲弊して、プーチン大統領に対する非難が強くなり、戦争が継続できないというようなところまで持ち込む必要がありますが、まだロシア経済はそこまで行っていません。我々は経済制裁が長く続くつもりで、しかも現状よりどこを強化していくかというところは、考えなければいけないと思います。
ウクライナ情勢を真剣に見つめている習近平氏 ~念願である「台湾統一」
飯田)一方で、国内の世論を見ていると、大方の人がウクライナをきっちりと支援するべきだと。そして、世論調査では多くの人が、この影響は台湾海峡まで及ぶかも知れないと危惧しています。日本はそこも意識しながら、ウクライナ、あるいはロシアと接していかなければいけないのでしょうか?
河野)いまウクライナ情勢を最も真剣に見つめているのは、習近平さんかも知れません。2022年秋に、本来なら2期10年の任期が終わるので変わるはずでしたが、3期目もやるのだと。この秋に3期目ということになれば、毛沢東、鄧小平と肩を並べたい。そのために、いちばん大きい勲章は「台湾の再統一」ということになるでしょうから、秋までは静かだと思いますが、そのあとはどう出てくるかわかりません。
飯田)3期目になった場合は。
河野)ロシアがウクライナに侵攻し、国際社会がどう反応しているのか、それに中国経済は耐えられるのだろうか、中国国内での世論はどんな反応だろうか、ということをじっと見ているのだと思います。
中国への依存度が大きい日本経済 ~台湾有事の場合、経済制裁のような「経済戦」で始まる可能性も
河野)日本もロシアに対して経済制裁をしています。若干の返り血は浴びていますけれども、エネルギーを依存しているヨーロッパほどではないというのが現状だと思います。
飯田)ヨーロッパほどは。
河野)しかし、中国の場合、日本経済の中国への依存度は非常に大きいものがあります。そのときには返り血というより、こちらも怪我をするでしょうし、怪我では済まないかも知れません。
中国に経済制裁を掛けたときにどれくらいのインパクトが日本経済にあるのか
河野)我々としても、中国が台湾の防空識別圏に中国空軍の戦闘機なり、いろいろな飛行機が何十回、何百回と入って来るような状況下で、「何かが起こる」という想定をしておかなければいけません。仮に何かが起きた場合、いきなり軍事力でのぶつかり合いが起きるかも知れませんが、経済制裁のような形で、経済戦で始まるということも十分考えられます。
飯田)経済戦で。
河野)そうすると、いまの日本が中国に対して経済制裁を掛けたときに、どれだけのインパクトが日本経済にあるのか。日本の国民生活にどれくらいの影響があるのか、というところをきちんと調べ上げて、「どういうタイムフレームで何を目指すか」ということを真剣に考える必要があると思います。
どこかで何かが起きたとき、日本も汗をかかなければならない ~同志国の一員としての責任と行動が必要
飯田)何か危機が起こったときに、日米同盟だけではなく、さまざまな枠組みのなかで日本を守っていこうとすると、「クアッド」などの枠組みがあります。官房長官は否定していましたが、先日、産経新聞がイギリス、アメリカ、オーストラリアの枠組みである「AUKUS(オーカス)」に、日本が参加を打診されていると報道しました。将来的なことも含めて、このような枠組みも考えられますか?
河野)プーチン大統領もそうですし、習近平国家主席、あるいは共産党率いる中国は、両方とも民主国家ではない。いわば個人による、あるいは共産党による独裁国家です。それに対して我々は民主主義、法の支配、基本的人権という価値観を共有している国々のなかで、その価値観を守っていかなければいけません。
飯田)価値観を共有している国々のなかで。
河野)例えば人権侵害が行われる、あるいは人権侵害を超えるような侵略が行われたときに、みんなで助けていくことは大事だと思いますし、それをかつてはアメリカ1ヵ国でやっていた。しかし、もうアメリカにはそれだけの絶対的な力がなくなってきた。
飯田)アメリカには。
河野)アメリカの力が相対化されてきているなかで、どこかで何かが起きたときに、「みんなで助け合う」ということが枠組みとして成立してくる。そうなると、「向こうで何か起きているけれど、憲法9条もあるし、三原則もあるし、日本はヘルメットを送るから、あとはごめんね。でも、東アジアで何か起きたときはみんな助けに来てね」ということは通用しなくなってくる。
飯田)そうですね。
河野)そうではなく、世界のどこかで何かが起きたときに、「日本も汗をかくよ」と。「その代わり、東アジアで何か起きた場合は、みんな一肌脱いでね」ということが必要になってくるのではないでしょうか。そのためには日本もいろいろなものを、そういう枠組みに変えていかなければならないのだと思います。
飯田)変える必要がある。
河野)いまや日米同盟だけではなく、世界中の志を同じくする国で、まとまって世界の平和と安定を守っていく。そういう段階にきているのだと思います。日本も同志国の一員として、応分の責任と行動が必要なのではないでしょうか。
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