ウクライナが日本に期待できるのは終戦後の「復興時の協力」
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数量政策学者の高橋洋一が4月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK!Cozy up!」に出演。4月26日に行われた岸田総理とウクライナのゼレンスキー大統領の電話会談について解説した。
岸田総理、ゼレンスキー大統領と電話会談
岸田総理大臣は4月26日夜、ウクライナのゼレンスキー大統領と約40分間、4回目となる電話会談を行った。このなかで岸田総理はウクライナ政府からの要請を踏まえ、借款の1億ドルから3億ドルへの増額や、自衛隊が保有する化学兵器に対応した防護マスクやドローンなどに加え、新たに食料品や医薬品などの物資を提供する方針を伝えた。
国連のグテレス事務総長はロシアのプーチン大統領、ラブロフ外相と会談
飯田)一方、国連のグテレス事務総長はロシアの首都モスクワを訪問し、プーチン大統領、ラブロフ外相と会談しました。ウクライナ南東部マリウポリ製鉄所内に留まる多数の市民の退避について、国連と赤十字国際委員会(ICRC)が関与することで原則合意したという声明を発表しています。ウクライナ情勢、ロシアによる侵略が始まってから2ヵ月余りが経っております。
高橋)長引いていますし、プーチンさんの思惑とは異なり、北大西洋条約機構(NATO)がスウェーデンやフィンランドの加盟申請も含め、拡大しています。そして、中立的であったスイスも制裁措置に加わりました。
ウクライナ政府の動画に軍事的貢献をした国を掲載 ~日本の名前はなし
高橋)ゼレンスキーさんは日本の貢献に謝意を示したということですが、ウクライナ政府がつくった各国からの支援に感謝する動画のなかに、アメリカやドイツなど31ヵ国が表記されていたのですが、日本は入っていなかったそうです。ロシア人の方の解説によると、軍事的な貢献をした国に対する動画なので、日本の名前は抜けてしまったということでした。
飯田)武器支援に関しての。
高橋)武器支援に関して貢献した国を載せたようです。しかし謝意があるのであれば、そこを直してもらった方がいいですね。岸田さんにはそのような話をして欲しいです。
復興の際の協力
飯田)今回は戦争が終わったあとの協力についても話し合ったということです。
高橋)逆に言うと、終わったあとのことしか、まともに話はできないと思っているのだと思います。
飯田)日本からの協力は。
高橋)国会での演説でも、復興の協力を要請していました。
日本の貢献が将来、中国の台湾侵攻の際、返ってくる
飯田)今回、防護マスクだけではなく、ドローンを提供するという話が出ています。
高橋)日本にとって、明日は我が身ですから。中国が台湾に侵攻した場合、日本も同じような状況になり得ます。だからこの際、できる限り貢献しておいた方がいいです。それが将来、自分に返ってくるのではないでしょうか。
飯田)まさに日本の国益と言える部分ですね。
ロシアへの経済制裁に踏み切れない東南アジアの多くの国
高橋)先ほどの動画について、アジアの国では、オーストラリアしか名前がありませんでした。遠い国なのだなという印象はあります。
飯田)東南アジア各国などを見ても、シンガポールはロシアへの制裁に前向きですが、それ以外の国々は……。
高橋)中国の影響もあるし、難しいですよね。インドはその最たるものです。
飯田)日本からの自衛隊機派遣計画において、人道支援物資の積み込み拠点にインドを予定していましたが、インドは自衛隊機の受け入れを拒否しました。
高橋)国際情勢は難しいですね。
ゴールデンウィークに各国を訪問する岸田総理
飯田)岸田総理大臣はゴールデンウィークに各国を訪問する予定です。東南アジア各国やイギリスなど。イギリスはシティで講演もするようです。
高橋)イギリスは老獪な国なので、「イギリスが味方してくれると戦争に負けない」という神話があるのです。今回もその神話通りであればいいのですが。日英関係は重要です。イギリスは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加も検討していますが。
飯田)交渉の真っ最中ですね。
高橋)イギリスは欧州連合(EU)から出てしまったので、「TPPにいらっしゃい」という感じでいいのではないでしょうか。イギリスが入れば、中国はノーチャンスになります。日本はイギリスと仲よくするべきです。核大国ですから、日英同盟でもあればいいですね。核大国2つくらいと同盟を結ぶことは、日本側としてはいいと思います。アメリカもどうなるかわかりませんから。
飯田)一国にすべて頼りきるということになると。
高橋)核利用のところで協議はしていますが。
飯田)核シェアリングなど。
高橋)シェアリングは難しいでしょうね。原潜をアメリカではなく、イギリスに頼るという手はあります。
飯田)イギリスも持っていますね。その辺りの技術を「AUKUS(オーカス)」の枠組みのなかで、ということですね。
高橋)そうなればいちばんよろしいです。「AUKUS(オーカス)」から打診があったという報道もありますが、日本は情報漏洩の危険があるので難しいかも知れません。イギリスはもともとMI6のような、ヒューミント(人的情報収集)が非常に強い。
飯田)諜報機関が。
高橋)人的情報に強いところなので、そのような国と組むのはいいことではないでしょうか。
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