あとのないプーチン大統領が次に狙う「穀物への生物兵器」使用の可能性

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ジャーナリストの佐々木俊尚が5月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ロシア軍の攻撃によって陥落したとみられるマリウポリについて解説した。

2022年4月27日、議会関係者との会合で演説するプーチン大統領=ロシア・サンクトペテルブルク(タス=共同) 写真提供:共同通信社

マリウポリ陥落か ウクライナ「戦闘任務完了」として残存部隊に投降を許可

ロシアによるウクライナ侵略で、ウクライナ軍参謀本部は5月17日、東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所に籠城するウクライナ部隊について「戦闘任務を完了した」とし、部隊指揮官に事実上の投降を許可した。製鉄所は2ヵ月半にわたって攻防戦が続いてきたマリウポリでのウクライナ側の最終拠点で、数百~1千人規模とされる籠城部隊が製鉄所を明け渡せば、マリウポリは陥落する形となる。

飯田)ゼレンスキー大統領も「兵士たちにとって辛い1日になる」と発言しているということです。

佐々木)マリウポリは、クリミア半島とロシアが制圧しているドンバス地方を結ぶ重要な場所です。ここが制圧されると、ウクライナ南東部とロシア南西部にまたがるアゾフ海がロシアの制圧下になるのです。

東部のロシア軍を引き付けるために抵抗していたアゾフスターリ製鉄所のウクライナ軍 ~その間にハルキウを奪還

佐々木)実質上、既に製鉄所以外の場所はロシアの支配下にあったのです。なぜそこまで頑強にウクライナ軍が抵抗したのか。これは防衛研究所の高橋杉雄さんが毎日新聞のインタビューで分析されていますが、あそこで頑強に抵抗することで、ドンバスなど東部のロシア軍の戦力をこちら側に向けさせると。

飯田)南の方に向けさせる。

佐々木)その間に東部での戦いを有利に進めたいということだったようです。実際にウクライナ軍は、それによってハルキウを奪還しています。

飯田)そうですね。国境まで行った。

佐々木)一定の成果を挙げたので、マリウポリでそこまで抵抗しなくてもよくなったという背景があるのではないかということです。籠城している兵士の人たちは本当に可哀想なのだけれども、全体としては、ウクライナ軍がロシア軍を圧倒している。ロシア軍が劣勢にある状況は、あまり変わらないのではないでしょうか。

旧ソ連の後継の軍隊から西側に近い最新鋭の軍隊に生まれ変わったウクライナ軍

佐々木)ウクライナ軍はもともとソ連ですから、ロシア軍と同じような軍備だったのです。元来、ウクライナ自体はそれほど愛国主義ではなく、ロシアと似たような国でした。クリミア半島を奪われたときも、それほど反応は強くありませんでした。

飯田)当時は。

佐々木)ところが、あれから数年の間に「ウクライナ」という愛国心が高まってきた。東部ドンバス地方で紛争が続いていて、そこにウクライナ軍が兵士を送り込んで軍事作戦を行った結果、ナショナリズムを持つ強い軍隊となった。しかも今回、アメリカ軍を中心に西側から武器を大量に供与されています。使い方についてはリビウ周辺の安全な地域で訓練を受けています。

飯田)ポーランドに近いところ。

佐々木)そして東部に戻って戦うのです。もはやウクライナ軍は旧ソ連軍の後継の軍隊ではなく、いますぐNATOに加盟しても一体化できるくらいの状況になってきている。最新鋭の軍隊に生まれ変わったと言われています。だからロシア軍をこれだけ圧倒できているのです。

【ロ軍に備えるウクライナ兵 南部州編入要請に猛反発】ウクライナ南部ヘルソン州の北方で、ロシア軍の侵攻に備えるウクライナ軍の戦車 2022年5月9日(ゲッティ=共同) 写真提供:共同通信社

穀物に病気を引き起こす生物兵器を持つロシア ~使用すれば世界的な食糧危機になる恐れも

佐々木)ただ、そうなると問題になってくるのは、次にプーチン大統領がどう出るかということです。核戦争を引き起こすのではないかとも言われていますが、小泉悠さんが日経BOOKプラスの記事で指摘していましたが、ロシアは以前、農業省が……日本で言えば農水省ですが、穀物に病気を引き起こす生物兵器を製造していたのだそうです。

飯田)穀物の病気を引き起こす。

佐々木)ウクライナはいま、黒海が封鎖されているので小麦が輸出できず、大問題になっています。小麦の金額が……。

飯田)世界的に上がっている。

佐々木)アフリカがまた飢餓に陥るのではないかとか、日本でもラーメン屋さんが悲鳴を上げているなどと言われています。

飯田)記事になっていますね。

佐々木)ウクライナの小麦の大平原は、黄色い小麦の上に青空を表すという、国旗のモチーフにもなっています。その小麦を標的にした生物兵器を使用する可能性があるのではないかということです。

飯田)なるほど。

佐々木)核兵器までいくと、ロシアが滅ぼされる可能性があるので、まずは生物兵器を使うのではないかと。

飯田)それも、人命ではなく小麦に影響を与えるという。

佐々木)どの段階に達すれば、アメリカ軍やNATOが介入するのかはわかりませんが、生物兵器であれば核よりもハードルは低いだろうと。ただし、それが世界に与えるインパクトはとても強いです。もしかすると全世界的な食糧危機に陥ってしまう可能性もあります。

飯田)しかもウクライナでは、かつて旧ソ連時代に農作物を収奪され、多くの農民が亡くなった「ホロドモール」という大飢饉が起きました。

佐々木)数百万人が亡くなったと言われています。そうなると、また同じことが起きる可能性があるのです。ウクライナはここまで優位に戦争を遂行してきたのだけれども、もしかすると、ここで大変なことが起きる可能性もあります。

飯田)植物に使われるということになると、原因を特定するのが大変ですよね。

佐々木)「生物兵器が使われたのか否か」というような話になってしまうわけです。

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