地政学・戦略学者の奥山真司が5月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮のミサイル発射に「最も強い言葉で非難する」としたG7の共同声明について解説した。
北朝鮮のミサイル発射に「最も強い言葉で非難」G7外相が共同声明
林芳正外相やブリンケン米国務長官ら先進7ヵ国(G7)外相と欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は5月30日、北朝鮮が25日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したことに対し「最も強い言葉で非難する」との共同声明を発表した。
飯田)北朝鮮による一連のICBM発射についてですが、安保理では拒否権を使われてしまい、何も出せませんでした。
奥山)そこがショックでした。冷戦時代を覚えている世代なので、「また同じようなことが起こっているのか」と。
名指しでロシアの銀行に経済制裁を科したことに驚き
奥山)その代わりにG7が制裁する形で動いています。米財務省は5月27日に北朝鮮のミサイル発射を受けて、「同国を支援した」としてロシアの銀行に制裁を科しました。個人的には大きいニュースでした。
飯田)ロシアの銀行に制裁を科したことが。
奥山)以前から北朝鮮とロシアには金融関係があるのではないかと言われていたのですけれども、今回は名指しでロシアの銀行に経済制裁を科したので、驚きました。「そこを明かしてきたのか」と。アメリカも狙っていたところを攻撃し始めたなと、感慨深いものがあります。
「北朝鮮をロシアの金融機関が支えていた」ということを表に出したアメリカ
飯田)前々からわかっていたことなのですか?
奥山)あえて制裁を加えたということは、「北朝鮮をロシアの金融機関が支えていた」というスキャンダルを発覚させたということです。大きな意味を持っている動きではないでしょうか。
飯田)北朝鮮そのものを狙うのではなく、二次的制裁というところで言うと、昔、中国の遼寧省辺りの銀行を狙うということがありました。ロシアルートも健在なのですね。
奥山)ロシアルートに関しては噂では出ていたのですが、今回、名指しで制裁を科したというところが大きな動きの1つだと思います。
飯田)名指しで。
冷戦時と同じことが起こっている
飯田)これが出てくるということは、世界が二分され、ロシアと北朝鮮のつながりに中国が加わるという話になってくるわけですか?
奥山)本当に冷戦時代のようではないですか。私が中学・高校のときに見ていた現象が、まさにいま同じような形で起こっている。歴史は繰り返すと言いますが、似ている感じが不気味であると同時に、「見たことがあるぞ」という不思議な感覚です。
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