「ロシアのウクライナ侵攻」のタイミングでミサイルを発射する北朝鮮の「狙い」

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ジャーナリストの須田慎一郎が6月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮が日本海に向けて発射した弾道ミサイルについて解説した。

「ロシアのウクライナ侵攻」のタイミングでミサイルを発射する北朝鮮の「狙い」

新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験を視察する金正恩朝鮮労働党総書記(手前)=2022年3月24日、平壌(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

北朝鮮、日本海に弾道ミサイル発射

韓国軍合同参謀本部は6月5日、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射したと明らかにした。日米韓当局がミサイルの種類など、詳しい分析を進めている。

飯田)北朝鮮が5日朝、また弾道ミサイルを発射しました。8発撃ったようです。

北朝鮮のミサイル発射の狙い

須田)ミサイル発射の狙いがどこにあるのかというところです。かつて金正日政権のときには、最優先課題は「体制保証」にあったのです。金体制の保証をアメリカ側に求めるということです。当時は、最終的には6ヵ国協議という形になったのだけれども、北朝鮮サイドは2国間協議を求めていました。しかし、なかなかアメリカが応じなかったのです。そこで揺さぶりをかけるためにミサイルを発射する、あるいは核開発というところに打って出たわけです。

飯田)当時は。

須田)ここに来て、大きく局面が変わりました。2つありまして、1つはロシア軍によるウクライナ侵略の動きです。これは極東にも大きく影響を与えています。

米中対立によって「自分たちが高く売れるのではないか」と考える北朝鮮

須田)そして、IPEFをめぐってもそうなのですが、「米中対立」が露わになってきました。それまで建前上は、ある種の歩み寄りという形を取っていたのだけれども、完全に「米中対立」というような局面になってきました。

飯田)米中対立に。

須田)そうなると、北朝鮮としては、「自分たちは高く売れるのではないか」と考えるのです。ミサイル発射という点で言えば、アメリカに対する牽制(けんせい)にもなるし、ロシアに対する側面援助ということにもなる。

体制保証と経済支援をロシアあるいは中国にしてもらう

須田)そういうことを含めて考えると、体制保証を別にアメリカに求めずとも、ロシア、あるいは中国に保証してもらえばいいわけです。

飯田)ロシアか中国に。

須田)場合によっては、経済援助をしてもらうことも可能になるかも知れない。これだけ国連の制裁を受けているなかで、経済的には相当厳しい状況になっています。そういうところで、本格的な中国からの経済支援、ロシアからのエネルギー支援も期待できる局面になってきたということです。要するに、自分たちが高く売れる局面になってきたのです。

コロナ禍によって国民が苦しんでいても先軍政治を貫く北朝鮮

飯田)北朝鮮は国内でコロナ感染が進んでいると言われているなかで、よくミサイルを撃つなと思うのですが、それは関係ないのですか?

須田)売りどきとしてはベストタイミングなのだと思います。北朝鮮は、コロナ感染拡大という局面だけではなく、過去にも国民が飢餓で飢えていたり、経済的に厳しい状況になっていても、軍備という点では手厚くやってきました。

飯田)確かに90年代には、300万人の国民が亡くなったとされている飢餓のなかであっても、先軍政治を貫いた国ですものね。

須田)それを貫くことによって、いままさに経済的なバックアップが期待できる状況になってきたのではないでしょうか。

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