「経済の相互依存性の強さ」ではロシアの暴走を止められなかった西側諸国の反省

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ジャーナリストの須田慎一郎が6月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「欧米によるロシアへの経済制裁は失敗した」と非難したプーチン大統領の演説について解説した。

「経済の相互依存性の強さ」ではロシアの暴走を止められなかった西側諸国の反省

対ドイツ戦勝記念日の式典に出席したロシアのプーチン大統領(中央)=2022年5月9日、モスクワ(タス=共同) 写真提供:共同通信社

プーチン大統領、演説で「欧米による経済制裁は失敗した」と非難

ロシアのプーチン大統領は6月17日、自らが主導する国際経済フォーラムで演説し、「欧米側はロシア経済を破壊しようとしたが失敗した」と非難した。プーチン大統領は制裁にもかかわらずロシアの経済対策は機能していると強調し、今後も欧米側に対抗していく方針を鮮明にした。

飯田)ロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラムで、プーチン氏が演説したということです。

「経済と軍事」は表裏一体

須田)今回のケースだけでなく、過去の事例からも「経済と軍事」は表裏一体、コインの裏表の関係にあるのです。軍事的に対立していて、経済は無関係にやり取りするというのは、原則としてあり得ない話です。経済制裁とワンパッケージなのです。

飯田)経済と軍事は。

須田)実質的にロシア国債のデフォルトが認定されました。デフォルトに陥ったとは言わないけれども、デフォルト認定になりました。言ってみれば金利の体系は「ソブリン債」と言われていて、国債をベースに成立しています。これが他の社債などの公共債に対して、どういう影響を及ぼしてくるのかが今後の動きではないかなと思います。

経済の相互依存性の強さではロシアの暴走を止められなかった

須田)欧米サイドとしては、1つの反省に立っているのだと思うのです。多くのロシア以外の国々にとってみると、経済の相互依存性が高まることによって、ロシアの動きを一定程度、制御できると考えていました。しかし、相互依存性の強さでは軍事的な暴走を止められなかった。ですから経済的にも切り離していくのは当然のことだと思います。

飯田)経済でつながっているのだから、それほど無茶はしないはずだと我々は思うけれども、相手がそうかというのはまた別の話であったと。

須田)そうですね。相手には我々が必要だと思うし、我々も相手が必要なのだから、というなかで抑止力を働かせようとしたのだけれども、結果的にそれが水泡に帰してしまったということなのだろうと思います。

相互依存性が高まることによって西側諸国の行動を制約してしまった

飯田)むしろ相互依存性で、「あいつらは俺たちに頼っているのだから、何かやっても文句は言わないだろうな」という。

須田)「手は出してこないだろう」と考え、ロシアのウクライナ侵略はそういう気持ちのなかで行われたはずなのです。特にエネルギーの分野です。相互依存性が高まることによって、西欧諸国の行動を制約してしまうというところに気が付いたのではないかと思います。

経済が発展しても西側の価値観やルールに収まらなかった中国

飯田)その辺りの話は、中国に対して欧米諸国が関与政策をやってきたことに似ています。

須田)そうですね。中国はロシア以上に専制主義、権威主義、一党独裁の国です。とはいえ「経済的に成長すると、西側先進国と同じ価値観やルールに基づいた行動をしてくるに違いない」という意識のもとに経済成長を促してきたのだけれど、結果的に中国の考え方が先鋭化してきたということで、デカップリングという方向に動いているのだと思います。

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