「もっと有効な武器が早く欲しい」がウクライナの本音

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が6月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。アメリカによるウクライナへの追加軍事支援について解説した。

2022年4月4日、ウクライナの首都キーウ近郊ブチャで、報道陣に話をするゼレンスキー大統領(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

アメリカなどがウクライナへの追加の軍事支援を発表

アメリカのバイデン大統領は6月15日、ロシアが侵略するウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議し、アメリカが10億ドル(約1300億円余り)規模の追加の軍事支援を実施すると伝えた。アメリカ政府によると今回の軍事支援は、地対艦ミサイル「ハープーン」、155ミリ榴弾砲18門と牽引用の軍事車両、高機動ロケット砲システム(HYMARS=ハイマース)の追加砲弾など。「ハープーン」は黒海沿岸の防衛に有効と見られている。また軍事支援とは別に医薬品や食料品など、2億2500万ドル相当の人道支援も実施する。

「もっと欲しい、早く欲しい」というのがウクライナの本音

飯田)支援について、内容も含めてどうご覧になりますか?

宮家)オースティン国防長官がブリュッセルで記者会見を行っていますが、米国が相当の武器を出していることは事実なのだけれども、ウクライナからすれば、「まったく足りない、もっと欲しい」というのが本音だと思います。いまの東部戦線は、どちらかというと火砲同士の戦いになっていて、ロシアの方が圧倒的に強いのです。

飯田)火力差は10倍などと言われています。

宮家)そういう説があるのだけれども、いずれにせよ、劣勢であることは間違いない。ロケット弾も含め、より正確に砲撃できる武器が必要なわけです。アメリカはそれを送ろうとしているのだけれど、どうしても時間が掛かります。閣僚レベルではきちんとした議論がされているのだけれども、実際の国民感情、あるいは前線の兵士からすれば、「もっと早く欲しい」というのが本音だろうと思います。

出口が見える状況ではない

飯田)現在、ドンバスと呼ばれるドネツク、ルハンシク両州、特にセベロドネツクが焦点になっていますけれども。

宮家)セベロドネツクでは、もしかするとまた悲劇が起こるかも知れません。ロシア側は橋を壊してしまいましたし、ウクライナ側がどの程度物資をサプライができるかわかりません。私は軍事の専門家ではないけれども、2月から状況を追って見ていると、やはりキーウ周辺の戦闘とドンバス周辺の戦闘はまるで違います。ウクライナは頑張っていますが、東部についてはロシアはかなり優勢な部分がある。

飯田)そうですね。

宮家)ではロシアが完全に勝つかと言うと、そうではなくて、やはりロシア軍内部の問題がある。指揮命令系統は相変わらず悪いし、士気も低いし武器も足りない。そうなると膠着状態になってしまうわけです。早く結果を出したいロシア側と、そうさせまいとするNATO側のせめぎ合いはまだ続くのでしょう。出口が見える状況ではないと思います。

ヨーロッパのなかでも温度差があるロシアに対する思考

飯田)仏独伊が出口を模索しようとしていますが、そうそう上手くいくものではないと。

宮家)ドイツなどはできるだけ早く終わらせたい。これが何年も続いたら、ドイツ経済そのものが大変な影響を受けるということに、非常に強い危機感を持っていると思います。その部分がポーランドなど、ロシアに近い国との温度差になっている。これはNATO内の構造的な問題ですから、なかなか簡単には終わらないだろうという気がします。

飯田)上手くやらないと、ヨーロッパ統合がそこで壊れてしまうということですか?

宮家)壊れはしないでしょうが、結束を固めるのにかなり時間が掛かってしまう。もしくは、大きな負担を求められることになるだろうと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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