キャスターの辛坊治郎が6月30日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。北欧2カ国のNATO(北大西洋条約機構)加盟をトルコが一転して支持した経緯について、持論を展開した。

28日、覚書の署名後に記念撮影に応じる首脳ら。左からストルテンベルグNATO事務総長、トルコのエルドアン大統領、フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相(ロイター=共同) 2022年6月28日 写真提供:共同通信社
北欧のスウェーデンとフィンランドのNATOへの加盟に反対していたトルコが一転して加盟を支持したことを受け、NATO首脳会議は29日、加盟議定書に署名することで合意した。これを受けて、ロシアのプーチン大統領はスウェーデンとフィンランドの両国が軍事インフラを設置した場合、ロシアも相応の対応を行うと述べた。
辛坊)29日くらいまでの情報を総合すると、NATO加盟を急ぐスウェーデンとフィンランドが最終的には“ベタ降り”したというのが、私の印象でした。トルコのエルドアン大統領が「トルコ側の基本的な要求を全て受け入れてもらえた」というようなニュアンスの発言をしていますしね。ただし、30日の報道を見ると、水面下でアメリカがものすごい勢いで圧力をかけたみたいです。
エルドアン大統領には、来年の大統領選に向けた自身の権威づけもしたいし、国内の人気を高くしたいという思いがあります。いろいろな思惑の中で、エルドアン大統領にとっては、アメリカのバイデン大統領と会談することは非常に重要なカードだったと思いますよ。一方、アメリカ側の思惑は「バイデン大統領との会談をセットするから、今回のNATO首脳会議あたりが潮時だぞ。いつまでも、もめていないで、このあたりで手を打っとけよ。悪いようにはしないから」といったものだったのでしょう。
トルコはロシアとも近い関係にありますから、アメリカとの関係がとても微妙なわけです。どれだけ微妙かというと、トルコがロシア製の防空システムS400を導入したのに対し、アメリカは最新鋭ステルス戦闘機F35の共同開発計画からトルコを排除したという経緯があります。盾がロシア製で、矛がアメリカ製では利益相反ですからね。両方とも最新鋭が欲しいなんていい加減にしなさいよとアメリカに言われてたので、このままだと新しいものを供与してくれない。戦闘機は第5世代に今どの国も置き換わりつつありますけど、戦闘機は、ひと世代違うと全然戦えないんですよ。