東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が7月28日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。ロシアによるスパイ活動について解説した。
ロシア通商代表部の職員がスパイ活動 ~警視庁公安部が未然に先端技術漏洩を防止
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『ロシア通商代表部の職員が昨年、情報窃取を狙った諜報(スパイ)活動として日本の先端技術保有企業の社員に接触を図った疑いがあり、警視庁公安部が企業側に通報し情報漏洩を未然に防いでいたことが27日、捜査関係者への取材で分かった』
~『産経新聞』2022年7月28日配信記事 より
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新行)産経新聞の1面に、
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『<独自>露スパイ接触を企業に通報、技術漏洩阻止 警視庁公安部』
~『産経新聞』2022年7月28日配信記事 より
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新行)……という記事が掲載されています。驚いたのですが、先端技術保有企業の社員が、ロシア通商代表部の職員に会社の通用門付近で、偶然を装って声をかけられるという状況が確認されたと。通商代表部の職員は流暢な日本語で道案内を頼み、社員が善意で目的地まで連れて行く間に、社員から連絡先を聞き出した。「今度どこかに飲みに行きませんか」と社員を誘って、個別の関係を築こうとしたと見られているそうです。
井形)どう考えても不自然ですよね。
新行)こういうことがあるのですね。
井形)公安部のお手柄だと思います。実際にロシアや中国など、いろいろな国がいろいろな手段で情報を取ろうとしてきているのです。
警視庁公安部が経済安全保障の専従班を2021年に立ち上げ ~公安調査庁もガイドラインを作成
井形)警視庁公安部は2021年、先端技術の海外への流出を防ぐために、経済安全保障の専従班を立ち上げ、産業スパイなどへの注意喚起を企業に対して行っています。公安調査庁も経済安全保障については、「先端技術を守らねばならない」ということで、ガイドラインのようなものや解説動画をつくっています。
新行)そういう啓発をしているのですね。
他人事ではない情報窃取目的の諜報活動による被害
井形)他人事ではないなと思うのは、実は私も個人的に何回かありまして。
新行)こういう経験があるのですか?
井形)中国人の旧友がいて、中国共産党に入っているということも明言している方です。その方に先日、ロンドンへ行ったときに「一緒に飯でも食わないか」と言われ、夕方、チャイナタウンに連れて行かれて食事をしました。
新行)その方と。
井形)ラーメンは美味しかったのですが、そのラーメン屋さんにゴージャスな超美人の中国人女性が2人入ってきて、横に座ったのです。
新行)井形さんたちの。
井形)自然な感じで会話が始まって、いい雰囲気になって「連絡先を交換しようよ」ということになり、彼女たちからSNSのLinkedIn(リンクトイン)で友だち申請がありました。相手があまりにも美女すぎるので、「これはもしかして」と思っています。
新行)その女性は中国の方なのですか?
井形)ロンドンで金融系の仕事をしているとプロフィールには書いてありました。ただ、そのあとフォローアップで連絡が来ていないので、もしかしたらものすごいチャンスを逃しただけなのかなとも思っていますが。
一般の人たちの自由や権利を侵害しすぎない形での「反スパイ法」が必要では
新行)そういうことが実際にあると、スパイ行為自体を取り締まる法律が日本には存在しないので、「日本は大丈夫かな」という気持ちがあります。ただ、危機感は高まっているのですね。
井形)「反スパイ法が日本にも必要だ」という声は昔からあるのですが、ただ、反スパイ法ということになると、日本の一般人の自由に対しても何かしら制限が入り、侵害されてしまうのではないかという懸念を持つ方は多いと思います。
新行)そうですね。
井形)今後は、一般の日本人の方々への自由、権利を侵害しすぎないような形で、新たな権限を付与する必要があるのではないでしょうか。そういう方向で議論すべきではないかと思います。
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