現地から高く評価される日本の「ウクライナへの支援」

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筑波大学教授の東野篤子が8月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理が新型コロナウイルスに感染したという政府の発表について解説した。

現地から高く評価される日本の「ウクライナへの支援」

演説するゼレンスキー大統領=Ukrinform/時事通信フォト

岸田総理大臣が新型コロナに感染、アフリカ開発会議への出席は見送りへ

政府は8月21日、岸田総理大臣が新型コロナウイルスに感染したと発表した。30日まで総理公邸で療養し、公務はオンラインを活用して実施。27日からチュニジアで予定されていたアフリカ開発会議(TICAD)への出席は見送り、オンラインでの参加を検討する。

飯田)岸田総理は夏休みを取っていて、22日から公務に復帰する予定でしたが、復帰は早くても31日となり、しばらくはオンラインを活用して公務を行うということです。国会がいま会期中ではないので、この機会に外交をさまざまやっていこうという矢先だったわけですね。

TICADはアフリカ支援の要の会議 ~外交では廊下での立ち話が重要になることも

東野)TICADは日本のアフリカ支援の要のようなもので、日本外交的にも大事な行事です。それに出席できないということは、仕方がないこととは言え、残念ですね。

飯田)オンラインでの参加が検討されているようですが、やはり対面とオンラインでは違いますか?

東野)例えば、廊下での立ち話も外交では大事ですので、やはりその場で顔を合わせる、直に話をするということを考えると、オンラインではさまざまな制限があるのではないでしょうか。

飯田)廊下での話が重要になる。

東野)また、TICADとしては、日本に来てもらえる大事な機会でもあったと思うので、おそらくいろいろな効果が限定的になってしまうと思います。しかし、新型コロナは誰でも感染する可能性があるので、仕方ありませんね。

8月23日に開催される「第2回クリミア・プラットフォーム」にオンラインで出席できるか

飯田)オンラインでも首脳クラスが集まる国際会議がこの夏も目白押しです。いま取り沙汰されているウクライナ、クリミアに関しての会議も、直近に開かれる予定はあるのでしょうか?

東野)8月23日には、去年(2021年)に引き続き、「第2回クリミア・プラットフォーム」という首脳会議が開かれる予定です。これには岸田総理もオンラインで出席するということです。もともと日本からオンラインで参加することが決まっていました。

飯田)対面ではなく。

東野)感染が明らかになったばかりで、23日の会議にオンラインとは言え、出席できるのかどうかは不安がありますね。

飯田)そうですね。

東野)無理はされない方がいいと思いますけれども、ウクライナ側としては、岸田総理の出席は高く評価されていて、オンラインであっても「とても楽しみだ」という反応を示していた人も多くいました。もし出席が叶わないということになると、残念がられるでしょうね。

高く評価される日本のウクライナへの支援 ~G7の枠組みでの汚職問題への厳しい提言も

飯田)ウクライナに対する日本の支援はいかがでしょうか。評価されているものなのですか?

東野)ウクライナでは、日本はきめ細かく支援してくれているということで、実は評価が高いのです。日本ではあまり知られていませんが、ウクライナにおいて、日本の支援は高く評価されています。

飯田)評価が高い。

東野)特にG7の枠組みで「G7大使会合」というものがあります。ウクライナはさまざまな課題を抱えていて、なかでも重要なのが汚職対策です。

飯田)汚職対策。

東野)ウクライナが一定の支援を受ける以上、深刻な汚職問題に対処しなければ、支援を受けられないということになります。G7の枠組みで、日本を含めて具体的に、ときには厳しい提言をウクライナ政府に向けて行ってきたのです。

ウクライナ東部の病院に精密医療機器を提供してきた日本 ~ウクライナの人の命をダイレクトに救う

東野)そのような支援もありますし、ウクライナ東部ではここ8年間も戦いが続いていたのですが、日本は東部の病院に対して、精密医療機器を提供してきた経緯があります。しかも息の長い支援で、これもウクライナではよく知られています。目立ちにくい支援かも知れませんが、現地の方からは高く評価されています。

飯田)ロシアのウクライナに対する侵略が始まってから、ウクライナへの支援というと武器や装備品の供与が注目されていますが、日本はその前から血の通った支援を行っていたのですね。

東野)先日、「ウクライナ復興会議」がスイスのルガーノで行われました。ウクライナを地域別に分けて、例えばマリウポリはギリシャが担当、ブチャはリトアニアが担当するというようななかに日本の名前がなかったので、「足りないのではないか」という声がありました。

飯田)日本の名前がなく。

東野)私は必ずしも日本はこの地方を担当する、地域を包括的に支援するというものではなく、例えば会議では、がれきの撤去の話も出ました。そのような支援や、先ほど申し上げたような医療関係の支援は、ウクライナの人々の命をダイレクトに救済するものだと思います。いままでやってきた支援をもう1回見直して、いいところは積極的に行っていくということだと思います。

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