外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が8月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ情勢の今後について解説した。
実は8年続いているロシアとウクライナの戦争
飯田)ロシアによるウクライナへの侵略ですが、8月24日で半年が経ちました。
宮家)残念ながら予想通りですね。最近、この話をすると質問は3つに限られてきます。
飯田)3つに。
宮家)「いつまで続くのですか?」、「停戦はできないのですか?」、そして「第三者が仲介してはダメなのですか?」の3つです。
飯田)なるほど。
宮家)いつまで続くかということですが、「今年(2022年)の2月24日に侵攻が始まった」とみんな言っているではないですか。しかし、この戦争は2014年に始まったのです。だからもう8年かかっています。2月24日までは、正規軍が必ずしも入ってこない形でやっていたというだけです。
飯田)今回の侵攻までは。
宮家)グレイゾーンのハイブリッド戦と言われているものを、ロシアが過去8年やったわけです。今回は本格的に正規軍を投入しているだけで、戦争は8年間続いています。それが1~2ヵ月で終わるわけがありません。
飯田)2014年のクリミア併合から。
宮家)そして、ロシアはドンバスの一部を占領してしまった。
戦場で物事が動かない限り、戦争は終わらない
宮家)戦争というのは、外野がいろいろ言っても仕方がない。内野で何をやっているかが大事なのです。
飯田)当事者。
宮家)私の限られた経験では、戦場で物事が動かない限り、戦争は終わらない。戦争は当事者が「負けそうだな」と思ったら、「そろそろ停戦しなければ」となるのですが、プーチンさんはまったく負けるつもりはありません。勝っているつもりでいるのです。
飯田)プーチン大統領は。
宮家)ゼレンスキーさんは一時期、危なくなったときには相当心配して停戦を考えましたけれど、いまは盛り返していますからね。ここでロシアと妥協でもしようものなら、英雄から裏切り者になってしまいます。そう考えたら、彼もやめられない。だから戦争は続くのです。停戦協定は破るためにあるのです。
飯田)破るために。
宮家)だいたい停戦協定が1回で決まった試しがない。私の知る限り、ほとんどありません。
飯田)そうですか。
宮家)そうなると、第三者による仲介はできないのかという話になる。簡単に言うと、小国同士が戦っていれば、最後は資金がなくなるか、エネルギーがなくなるかという結果になります。そこへ大国がやってきて、「やめろ」と言えば「シュン」となるわけです。
資源のあるロシアは戦争を続けられる
宮家)ところが、今回はロシアという大国が戦っている上に、ロシアは資源を持っています。イラン・イラク戦争も8年かかったでしょう。資源を持っている国は、ブラックマーケットからお金が入ってくるものです。
飯田)資源を持っている国は。
宮家)だから続けられる。ロシアはエネルギーを持っていて、核兵器も持っています。これをねじ伏せられるのは、もうアメリカしかいません。でも、今回はそのアメリカが間接的に関与しているではないですか。どうやってやめるのでしょう。
飯田)アメリカも関与していて。
宮家)トルコだろうが、イスラエルだろうが、中国や国連だろうが、仲介しようとしても効果はないと思います。結果的に戦場で何かが起きて、どちらかが負けそうだなと思ったときに、ようやく第三国、特に国連の出番があるわけです。それまでは難しいのではないかと思います。
飯田)そうすると、年単位で続いていく可能性がある。
宮家)年単位かどうかはわかりませんが、少なくともあと1年は続くでしょうね。
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