東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が9月7日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。今後の日本とインドの関係について解説した。
日インド2プラス2
9月8日に東京都内で開催されるインドとの外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)は、2019年11月の初開催以来、今回が2回目となる。インドは現在ロシアの大規模軍事演習「ボストーク2022」にも参加中。
新行)インドとの2プラス2ですが、どうご覧になりますか?
井形)インドはやはり難しい国なのです。日本、アメリカ、オーストラリア、インドで「仲よくやっていこうぜ」というクアッドの枠組みに入っていると思ったら、今回のように、ロシアと一緒に軍事演習にも参加してしまうし、武器も買っています。また、中国に対しての批判もなかなかできないということで、両方に適度な距離感を保つような「第三局外交」をずっとやっています。
「適度な距離感」を保ち続ける外交が重要
新行)インドとの関係ですが、日本はどうすればいいのでしょうか?
井形)難しいのですけれども、最低ラインとして「向こうに行かないでね」と、つなぎ止めるという意味でも日印2プラス2を開催する。さらに積極的に、向こうに行かないだけではなく、「こちらに来てね」というところまで引っ張りたいのが日本側です。しかし、インド側も外交が上手なので多分、そこまでは来てくれないでしょう。「適度な距離感」を保ち続ける外交が重要なのだと思います。
インドが日本に期待すること ~経済と安全保障の分野で協力を進める
新行)インドが日本に期待していることは何ですか?
井形)経済協力を進めたいという考えがあると思います。今回の2プラス2は、基本的には外交と安全保障の2つということになっていますが、今後は先日行われた日米2プラス2のように、安全保障というより、「経済と安全保障の分野で協力を進める」という方向性が、もしかしたらインド側としては嬉しいのではないかと思います。
日米豪の関係性をクアッドに広げていく
新行)クアッドのなかでインドに期待することは何でしょうか?
井形)クアッドからインドを抜いた日本、アメリカ、オーストラリアの3ヵ国の間では、いろいろな分野で協力が進んでいるのです。サイバーセキュリティ協力や経済でもそうなのですが、安全保障や軍事など、さまざまな分野で進んでいます。しかし、クアッドになるとインドが入るため、できることが少なくなってしまうのです。
新行)クアッドになると。
井形)少しでもこの3ヵ国でやっていることに関し、「インドさん、今度は新しいことを一緒にやっていきましょうよ」と、3ヵ国の関係性を(インドも含めた)クアッドにジワジワ広げていきたいですよね。
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