キャスターの辛坊治郎が9月7日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。新型コロナウイルスをめぐり、政府が新たな方針を明らかにした水際対策の緩和について、「やめると決めたなら、全部やめてしまえ」と苦言を呈した。
岸田文雄首相は6日、新型コロナの自宅療養の期間について症状のある人は現在の原則10日間から7日間に、症状のない人は検査の結果によって7日間から5日間に短縮する方針を明らかにした。また、水際対策については7日から、1日当たりの入国者数の上限をこれまでの2万人から5万人に引き上げるとともに、日本人を含む全ての入国者に求めてきた陰性証明書の提出について3回目のワクチン接種を済ませていることを条件に免除する。
辛坊)中国など日本よりも対策が厳しい国はいまだに存在はしますが、そういう特殊な国を除くと、ほとんどの国で新型コロナに関しては普通の病気扱いを始めています。日本はイギリスなどに比べると半年くらい遅れていますが、ようやく正常化に向けて進み始めたというのが正直な印象ですね。
日本国内に対策の緩和をめぐって賛否がいまだにあるというのは、マスコミが新型コロナという病気について、かなり特殊な扱いをしてきたことも要因の一つです。連日、テレビを見ているような人の中には、特殊な病気であるという印象を非常に強く持っている人がいて、いまだに「対策はできるだけ厳しく」と思われているんですね。
安倍政権から菅政権、それに岸田政権の発足当初の世論調査を見ていると、対策をできるだけ厳しくしたほうが内閣支持率が上がるという傾向がありました。しかし、この半年くらい、いわゆる第7波に入ると、「やはり弊害のほうが大きい」というムードがいろいろなところで見え始めています。
今回、水際対策も緩和されました。海外から日本に帰国する際に、厚生労働省が居所確認・健康状態報告を目的に作ったシステム「MySOS(マイエスオーエス)」ですが、このシステムのアプリへの入力が結構、大変なんですよ。これまでは、帰国の飛行機に乗る前の72時間以内の検査結果を入力しなければならなかったんですが、入力しなくてもいいことになりました。では、システム運用をやめるのかというと、残るんです。
また、全員が OK なわけではなく、コロナワクチンを3回以上接種したとか、いくつかの条件をクリアしないと、その簡易な入国システムに対応してもらえないんです。逆に言うと、そうではない人たちも一定数いるわけで、一定数いる人たちのためにシステムを残さなければいけないので、同じように人員を配置しての今後も運用し続けるわけです。しかし、そんなふうに水際対策を厳しくしている国はほとんどないですからね。「やめると決めたのなら、全部やめてしまえ」という話です。でも、なかなかそうはいかないようです。
「症状もないのに7日間も動きを止められたら商売にならない」「症状はあるけど、喉の奥がちょっと痛いだけで10日間も、(発症日が0日目という数え方になるので)都合11日間も療養」ということなら、医者に行くのをやめようという人も出てきますよ。そもそも、通常の病気は、どこか調子が悪いと感じたら医者に行って診断してもらい薬を出してもらうというプロセスですよね。何もなければ、それは病気ではないわけですから、普通に生活するということになります。
やはり、症状に応じて適切に治療をするという通常の病気扱いにするタイミングになってきたんじゃないかと素朴に思います。ですが、そういう方向性になりませんね。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)