ルールがいまだにオミクロン株に対応していないという根本問題の放置
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中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が9月8日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。政府が発表した新型コロナウイルス感染による自宅療養期間中の外出制限の緩和について解説した。
政府、新型コロナ陽性者の療養期間短縮 ~自宅療養中の制限も緩和
加藤厚生労働大臣は9月7日、新型コロナウイルス感染による自宅療養期間中の外出制限を緩和すると発表した。マスク着用などを条件に短時間の食料品買い出しなどを認める。6日に発表した療養期間の短縮と合わせて、7日から適用を開始した。
オミクロン株に対応していない現状 ~初期のルールを引きずってしまっている
新行)加藤厚生労働大臣は緩和の意義について「リスクを見なければいけないが、経済・社会活動を回していく必要もある」と述べています。
野村)加藤厚生労働大臣がおっしゃっているように、リスクと経済・社会活動を秤にかけているようにも見えますが、オミクロン株という病気の性質に、いままでのルールが合っていないということが根本問題なのです。
新行)オミクロン株に対して。
野村)コロナ禍の初期は、例えばすぐ肺炎になったり、感染すれば肺炎になるリスクを常に持っていて、肺炎になったら厳しい療養が必要だとされていました。あの時期につくったルールがずっと引きずられてきてしまった。
新行)最初の時期の。
野村)大きく分けると、軽症の方々は季節性インフルエンザとそう変わらないような治療で足ります。それに対して、なかには重症化してお亡くなりになる方がいる。ここをきちんと切り分けて、どちらかと言うと軽症で済む方については、なるべく季節性インフルエンザの対応と同じようにしていくという流れが、明確になってきたということではないでしょうか。
規制を変えるタイミング
新行)療養期間についても、症状がある場合は10日間から7日間に、無症状の場合は7日間から5日間に早めるということになりました。
野村)エビデンスから考えれば、10日経っても人にうつしている人もいるということなので、加藤大臣がおっしゃっているように「短縮すると多少リスクがある」ということです。しかし、その人数がそれほど多くないのであれば、ゼロコロナ政策をしているわけではないので、軽症で済む人が多いなか、この病気を封じ込める必要が本当にあるのかどうかということです。
新行)そうですね。
野村)みんながマスクをして短時間の買い物をするような形にしているのであれば、なるべく社会活動を戻していかないと、働くことすらできなくなってしまいます。そこは変えていかなければならないタイミングにきているのではないでしょうか。
基礎疾患のある感染者は肺炎になっていなくても重症者と同じケアをする必要がある
新行)ご高齢の方や基礎疾患がある方など、重症化リスクがある方に対して、医療リソースをより割いていくということですよね。
野村)ポイントは、「重症化とは何なのか」ということです。前の定義がまだ残っているのです。肺炎になりそうな人を重症と言っているのですが、実は軽症でも、つまり肺炎にならなくても亡くなっている人がいるのです。こういう方々は基礎疾患が悪化しているので、重症者としてきちんと把握できないと、亡くなる方が出てしまいます。
新行)基礎疾患が悪化している方。
野村)そういう方を早くケアできるようにしなければいけないので、基礎疾患のある方が感染した場合は、仮に肺炎になっていなくても、従来の重症者と同じように手厚くケアする必要があります。ここがポイントではないかなという気がします。
海外の新型コロナ政策とズレがある日本の政策 ~どのようにリスク管理をして受け入れていくか
新行)昨日(7日)から新型コロナの水際対策も緩和され、1日あたりの入国者上限が2万人から5万人に引き上げられました。添乗員を伴わないパッケージツアーの観光客の入国も認められて、入国・帰国者全員に義務付けられていた陰性証明の提示も、3回目のワクチン接種証明があれば不要になったということです。
野村)日本の政策と海外の政策にかなりのずれがあるので、海外の人は「なぜ入れないのか。なぜこんな検査を求められるのか」と思っている方も多いわけです。世界で人が動くようになってくると、標準化されつつある世界の水準に合わせていかなければ、日本だけ鎖国しているような感じになってしまいます。日本人がどうやってリスク管理を行い、感染予防しながら受け入れていくか。経済面でもインバウンド需要は必要ですので、大事な局面にきている気がしますね。
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