健康を維持するためには、「腸内環境」と「自律神経」を整えること
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東京都医師会理事で順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏が9月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。健康の軸について解説した。
目標や軸が見えていなければ過程や結果も悪くなる
飯田浩司アナウンサー)今回はコロナ禍の影響で悪い流れとなってしまった体を、リセットの習慣で変える方法について伺います。
小林)まずは「軸を持つ、ブレをなくす」ということです。自分の軸となるものがないと、ブレて体調を崩したり、パフォーマンスを発揮できなくなることがあります。
飯田)自分の軸がないと。
小林)今回のコロナ禍でも、「ゼロコロナ」と「ウィズコロナ」の2つの軸があったと思います。そのときに、「どちらの軸でいくのか」ということが明確になっていれば国民もわかりやすいし、みんな進みやすいのです。そこがはっきりしていないと、みんなが迷ってしまいます。
飯田)迷ってしまったときに立ち返る先ということですか?
小林)そうですね。目標や軸が見えていないと、過程も悪くなりますし、その結果も悪くなってしまうと思います。
健康を維持するためには、腸内環境と自律神経を整えることが重要
飯田)先生はどういう軸をお持ちですか?
小林)私の場合は、患者さんを拝見することも多いので、健康の軸を考えます。
飯田)健康の軸。
小林)私のなかで健康の軸は2つあって、自律神経と腸内環境です。私の健康の概念は、「1つひとつの身体にある37兆個の細胞にどれだけ質のいい血液を流すことができるか」ということです。では、質は誰が決めているかと言うと、腸内環境が決めていますし、流れを決めるのは自律神経です。ですから健康を維持するためには、腸内環境と自律神経を整えることが重要だと思います。
「あなた=私」ではない
飯田)逆に「これを軸にしてはいけない」というものはありますか?
小林)よく医学部の学生に教えるのですが、いまは倫理というものがあります。
飯田)倫理。
小林)医学倫理です。「倫理とは何か」を答えさせるのですが、倫理というのは「あなた=私」ではないのです。
飯田)「あなた=私」ではない。
「これだけ教えたのだから、当然できるでしょう」と相手に期待しない ~期待しなければ、冷静に判断でき、乱れることはない
小林)ところが、ほとんどの方が「あなた=私」になってしまっている。「私がこれだけやってあげたのだから感謝するのは当然でしょう」、「私がこれだけやったのだからあなたもそう思うのは当然でしょう」、「これだけ教えたのだからできるのは当然でしょう」と、すべて相手に期待してしまうのです。
飯田)なるほど。
小林)物事が期待通りにいかないときは、自律神経が乱れてしまいます。「何であの人たちはこうなのだろう?」、「何で文句を言うのだろう?」という感じになってしまう。
飯田)なりますね。
小林)しかし、「あなた=私」でなければ期待もしない。「期待しない」ということを意識していれば、乱れることはありません。「そういう考えの人もいるでしょう」、「そういう考えもあるよね」、「できないのはこちらが悪いのかな」と。そうすると、冷静に判断することができるのです。
期待しなければ、負の結果は予想通りなので自律神経は乱れない
飯田)周りに期待してしまったり、自分と比べて考えてしまうことがあります。
新行市佳アナウンサー)求められていることに精一杯応えているけれど、評価してもらえなかったときに「何のためにやっているのだろう?」と思います。
小林)特に介護している方などは、「自分はこれだけやっているのに」と、どうしても見返りを求めてしまう。でも期待することによって、自律神経は乱れます。期待しなければ、負の結果は予期していた結果ですから、自律神経も乱れずに次の改革に進めます。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます