東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が9月5日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスの感染状況と全数把握の見直しについて語った。
若い人の3回目のワクチン接種が進まない
飯田浩司アナウンサー)第7波と言われる東京都の感染状況について、会長はどうご覧になっていますか?
尾﨑)東京では、ピーク時の3万~4万人という状態は脱してきたのかなという印象を持っています。しかし、高止まりの状態がしばらく続くのではないでしょうか。
飯田)それだけ、オミクロン株の感染力が強いということですか?
尾﨑)感染力が非常に強いということと、ワクチン接種が進まないということです。高齢者の4回目のワクチン接種は速いスピードで進んでいるのですが、医療従事者や介護従事者の4回目、また20代~30代の若者の3回目接種が、1ヵ月で2.5%くらいの接種率なのです。
飯田)若い人の接種率が。
尾﨑)これでは6割~7割にはなかなか達することができません。スピードアップして打っていただけるようになると、もう少し変わってくるのではないでしょうか。
欧米では感染した可能性のある人をすべて検査したり、医療機関に行くわけではない
飯田)感染者数が毎日発表されますが、日本の感染者数が世界一だと言われています。この辺りはいかがでしょうか?
尾﨑)確かにワールドデータを見ると高くなっています。いま日本でも全数把握についての議論がありますが、欧米では感染したと思われる方々をすべて検査したり、日本のようにみんなが医療機関に行くわけではありません。ですので、欧米の感染者数は実際の数より少なめに出ている可能性が高いと思います。
飯田)実情は。
尾﨑)いずれにせよ、いままでのように「欧米と比べると日本の感染者数は少ない」という状況ではなくなっている、ということは言えると思います。
濃厚接触者の就業制限を緩めるべき
飯田)感染者のみならず、濃厚接触者と判定される方も多くいらっしゃいます。コンビニで「人が足りないので休みます」というようなことがあるなど、目に見えて影響が出ています。
尾﨑)濃厚接触者の扱いも、本来は(厳密に)行うべきでしょうが、これだけ行動制限せずに感染者数が増えると、感染者や濃厚接触者をいまのような形で厳密に制限していては、社会活動にも影響が出てしまいます。
飯田)そうですね。
尾﨑)外食産業をはじめ、さまざまな企業に影響が出ています。いま医療従事者はそういう形で勤務が許されていますが、抗原検査して陰性であれば、同じように働けるようにするということも考えないといけないのかなと思います。(編集部注:2022年9月5日の放送時点)
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます